ブログ:「受け入れる」ということ

よく、相手の思いに寄り添い、
相手の立場になって考えることが
大切だと言われます。

私も、コミュニケーションの
セミナーをするさいには、
このことは常に強調しています。

ただし、
相手の思いを受け入れることと
受け止めることは全く違います。

またどんなことでも
受け止めることは可能ですが、
最終的に受け入れるか否かは
自分の判断になります。

例えば、自殺を考えている人と
話をする場合のことを考えてみます。

心療内科時代には
死にたいという思いを持つ
希死念慮の患者さんがよく来ました。

当然のことながら、
自殺を肯定することはしません。

まずは相手の思いに寄り添いつつ
話しを十分に聴き、
その人がどうして死にたいと思うのか、
その思いを受け止めようとします。

だからと言って、
相手の思いを受け入れる必要は
ありません。

もしそんなことをしたら、
自殺を肯定したり助長したり
することになるからです。

最終的に
止めることができるか否かは別として
なんとか踏みとどまってもらえるように
様々な視点からアプローチをしていきます。

その結果、自殺を思いとどまり、
苦しいながらも今を生き続けてくれたならば
ホッとします。

しかし、こうした私の対応にもかかわらず、
相手が自分の思いを変えてくれなければ
結局は自殺してしまうことになります。

これは仕方ないことであり、
自殺をしたからと言って、
私は誰からも責められることは
ないと思います。

もちろん、自殺を選んだ本人を
責めることもできません。

ですから、自殺の場合は、
私は受け止めることはしても
受け入れることはしません。

では以下のような場合はどうでしょうか。

ある末期がんの患者さんが、
この抗がん剤が効かなければ
もう次はないと言われながらも、
最後の抗がん剤に望みをかけ
治療を続けていたとしましょう。

検査をしてみると
がんはさらに大きくなっており
腫瘍マーカーも増え続けています。

この状態を見れば、
ほとんどの医者はこの抗がん剤は
もう効いていないと判断します。

そうであれば、
意味のない抗がん剤は中止し、
あとは緩和ケアに行くしかないと
患者さんに伝えます。

ところが
諦めたくないと思っている患者さんは
一縷の望みを託し。
抗がん剤を続けてくれと懇願します。

もし抗がん剤を続ければ、
さらに患者さんを苦しめ、
逆に死期を早めてしまうことも
十分にありえることは
医者であれば誰でもわかります。

ですから、
患者さんの思いを受け止めながらも、
抗がん剤を続けることは
いかにデメリットの方が多いかを
やんわりと伝えます。

にもかかわらず、
治療を諦めきれない患者さんは
抗がん剤を続けることに固執し、
医者に治療の継続を熱願します。

さて、このような場合、
医者はどのような対応を取るでしょうか。

そんなに言うのであればということで、
とりあえず治療を続ける医者は結構います。

つまり、患者さんの思いを
受け入れるのです。

どうころんでもそう長くはないので
そうであれば「まあいいか」と思い、
患者さんの希望に従うのです。

この場合、
患者さんの思いを
受け入れたということになります。

患者さんの希望に添うという意味では
よい選択だとも言えますが、
実際には身体への負担が大きくなり、
死を早めることにもなりかねません。

さらに、抗がん剤は1回何十万円、
ものによっては百万円以上します。

病院の利益にはなるので悪くはありませんが
患者さんの負担や、
ひいては税金の無駄遣いにもつながるため
この選択が正しいか否かは
難しいところがあります。

もちろん、意味のない抗がん剤は
やるべきではないという思いから、
治療を中止する選択をするよう説得したり、
「治療はできません」と
はっきり言う医者もいます。

この場合、希望を断ち切られる形になるので
多くの患者さんは
悔いを残す結果になります。

要するに、
抗がん剤治療の継続をしてもしなくても、
患者さんにとってはマイナスにしか
ならないということです。

私はこんな患者さんには、
丸山ワクチン(免疫療法)などの代替療法を
提案することにしています。

これが末期がんに効くかどうかは別として
治療を続けるという患者さんの思いは
叶えることができます。

さらに抗がん剤のように副作用もなければ、
経済的負担も月1万円程度ですから
それほどでもありません。

この方法であれば、
抗がん剤のデメリットを避けることができ、
なおかつ患者さんの思いも
受け入れられるので、
とてもよい方法だと思っています。

このように、
第三者としてかかわるときは、
相手の思いを先ずは受け止めながらも、
それを受け入れるか否かは、
こちらで判断することができます。

ところが、会社は組織となると
そう単純な話しではなくなります。

これについては次回お話しします。

    ブログ:「受け入れる」ということ” に対して2件のコメントがあります。

    1. 井出朋 より:

      受け入れると受け止めるの違い。
      なるほどと興味深く拝読しました。

      受け入れるのはイエスもノーもなく、
      ただその事実を受け入れる。
      受け止めるのはボールが自分にあり
      そのボールをどうするのか決めることになる。

      でもその問題は実は他人のものであり、
      他人の問題を自分ではどうしようもない。
      セミナーでも学びましたが、中々実践が難しいなぁと
      改めて感じました。

    2. holicommu より:

      井出さん、コメントありがとうございました。実際、物事はそう単純ではなく、かなり入り組んでいます。
      だからこそ多面的に考えられるよう、とりあえず受け止めて、その後どうするかは状況などに応じて
      考えていく必要があります。またセミナーにもおいで下さい。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA


    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください