ブログ：非常識が常識に！

マスクの着用が任意になってから
半年以上が経ちましたが、
現在でも半分程度の人が
外を歩いているときも
マスクをしています。

これが意味するところは、
原則マスクをしない人と
どんなときでも必ずマスクをする人とに
二分されてしまったということです。

多分、この傾向は
もう変わらないと思います。

今後、必要以上にマスクをすることが
免疫力の低下を招くなどの健康被害を
もたらすといった注意喚起が
大々的にうたわれるようにならない限り
今の状態は続くだろうということです。

そうは言いながらも、
駅や電車の中、スーパーでも
マスクをしている人は
半分程度には減ったかと思います。

このこと自体は、以前と比べれば
だいぶ正常に戻ってきたと思います。

その一方で、
今もって昔のままの状態なのが
病院や高齢者施設です。

私の病院の入り口にも
「マスクを必ずつけてください」という
大きな張り紙が貼ってあります。

また各病棟の受付にも
「マスクをつけて下さい」という
張り紙がされています。

さすがに、
外来受付の仕切りパネルや
ソーシャルディスタンスを保つための
「ここには座らないで下さい」という
待合室の椅子の張り紙はなくなりました。

そんな中、病院内にはいっている
セブンイレブンは、
今もってレジの所には
ビニールカーテンによる仕切りがあります。
（一般のセブンイレブンもそうですが）

それもほこりで薄汚れています。
なんのための仕切りなのか
よくわかりません。
全くもって本末転倒です。

私が最も嫌だと思うのは
病棟で、患者さんと一緒に
写真を撮るときです。

緩和ケア病棟では
毎月何かしらの催しをしますが、
その際、入院患者さんと一緒に
写真を撮ります。

その際ナースも一緒に入るのですが、
ナースはマスクをしたまま
写真を撮るのです。

コロナ前は
マスクをつけて写真を撮るなんて
非常識極まりないことでした。

それが今や常識になってしまったのが
驚きというか、悲しいというか、
憤りすら感じます。

なぜならば、
余命幾ばくもない患者さんの
最後になるかもしれない写真です。

それなのに、
担当ナースや主治医が
マスクをしたまま写るというのは
私からすると許しがたいのです。

最後になるかもしれない写真くらい
素顔で写ったらいいのではと
思ってしまうのです。

コロナの真っ最中のときですら、
写真を撮るときは
マスクははずしてもよいという
ことになっていました。

それなのに5類になり、
コロナがはやっているわけでもないのに
今もって写真を撮るときすら
マスクを取ってくれないのは
とても悲しいことです。

この3年間で、
ここまで日本人の常識が
破壊されてしまったかと思うと
残念でなりません。

先日はこんなこともありました。

病棟の患者さんが
高齢者施設に移ることになりました。

この患者さんは
時々37度台の発熱がありましたが、
数日で自然と解熱していました。

がんの患者さんの場合、
腫瘍熱といって
このようなことがしばしばあります。

施設に移る2日前に
再び微熱が出たので、
いつもどおりの解熱剤で対応しました。

ところが、施設側からは
念のためコロナの検査を
してくださいとの連絡がありました。

これを聞いて私は呆れてしまいました。
いまだに「コロナの呪い」が
解けていないのです。

ここで誤解してほしくないのは、
転院の際、
微熱があれば必ずコロナの検査を
しなくてはいけないということに
呆れているのではありません。

なぜコロナの検査は要求するのに
インフルエンザの検査に関しては、
何も言わないのかということに
呆れているのです。

ご存じのように
今はコロナは5類になり
インフルエンザと同じ扱いです。

しかも転院時、
インフルエンザの方が流行っており、
感染者数は全国で8万人程度、
コロナは1万8千人程度ですので
インフルエンザの5分の1です。

本来であれば
インフルエンザの検査を
優先すべきではないですか？
という意味です。

もしくは、
インフルエンザとコロナの
両方の検査をして下ださいというのであれば
まだ理解できます。

しかし、いまだにコロナだけを
必要以上に怖がり、
目の敵にしていることに
呆れているのです。

そろそろ「コロナの呪い」から
開放されてもいいと思うのですが、
医療施設や高齢者施設は
無理かもしれませんね。

多くの日本人がマスク依存症に
なってしまったこともあり、
病院や高齢者施設では、
多分、「永遠に」マスクの着用を要求し、
発熱に対して「永遠に」コロナの検査を
要求し続けるのではないでしょうか。

コロナの呪いから逃れられるのは
一体いつになるのでしょうか。

何とも悲しい世の中になってしまいました。