ブログ:山崎先生に伝えたいこと

前回は末期がんになってしまった
緩和ケア医の山崎章郎先生が
がんの標準的治療をやめ、
試行錯誤の末に編み出した
「がん共存療法」を実行し、
今もがんと共存状態にあるという話を
しました。

詳細は山崎先生の著書
がんを悪化させない試み」(新潮選書)を
ご覧下さい。

誠に勝手ながら、
私は山崎先生とつながりを感じています。

山崎先生は、
2001年に開催された関西での
ホリスティック医学シンポジウムでも
「スピリチュアルケア」の講演を
お願いしたことがあるので、
よく存じ上げている先生ではあります。

また、緩和ケアに行くことを決めたのは
山崎先生のお陰だと言っても
いいかもしれません。

実は、心療内科医として
乗りに乗っていた平成11年に
突然、教授から、
緩和ケアに移ることを考えてくれないかと
言われたことがありました。
(今いるところとは異なる病院です)

その前年に、初めての本
人は自分を癒やす力を持っている
(ダイヤモンド社)を出版し、
心療内科が面白くて
仕方なかった時期だったので
ずいぶんと悩みました。

そのときに読んだ本が、
帯津良一×山崎章郎
いちばん納得できるガンとのつき合い方
(PHP研究所)でした。

当時は、末期がんが奇跡的に消える
がんの自然治癒(寛解)には
強い関心がありましたが、
末期がん患者さんの看取りには
全く興味がありませんでした。

ところが、この本を読んで
考えがわかりました。

帯津先生は
当時から現在に至るまで、
代替療法を積極的に取り入れた
がん治療を続けています。

私はそんながん治療に憧れていたのですが、
この本を読んでハッとしました。

帯津三敬病院に入院しているのは
ほとんどが末期がんの患者さんです。

そのため、3日に一人くらいの割合で
患者さんが亡くなるというのです。

これは、緩和ケア病棟と
ほとんど変わらないと思ったのです。

実際、その本で山崎先生も
末期がん患者さんへの
代替療法の重要性についても
述べていました。

そうであれば、
緩和ケア医になっても
代替療法を取り入れたケアが
できるかもしれないと思うようになり、
緩和ケアへの転科、転勤を
受け入れることを決断しました。

そういう意味で、
山崎先生は私が緩和ケアへ行くことを
後押ししてくれた存在だと言っても
過言ではありません。

しかし、緩和ケアへの転勤の話は
上層部のトラブルにより白紙にもどされ、
結局そのまま心療内科医として
続けることになりました。

ただ、そのときに悩んだからこそ、
それから3年後の平成14年に
今の病院の緩和ケア病棟への転勤を
打診された際には、
何らためらうことなく承諾できたのです。

そんなこともあり、
私は山崎先生とは一方的に
つながりを感じているというわけです。

そんな山崎先生が末期がんになり、
「がん共存療法」を
実践しているわけですから、
応援したくなるのも当然です。

ただ、この本を読ませていただく限り、
「心の治癒力」の側面が抜けているのが
少々残念な思いがしました。

糖質制限ケトン食療法も、
少量の抗がん剤を使った
がん休眠療法もよいと思います。

ただ、それらの療法が、
がんを縮小もしくは現状維持させていると
山崎先生は思っているようです。

実際には、
がん治療に積極的に取り組み姿勢、
つまり、その前向きな心の状態が
がんの増大を抑制しているという
側面もあるのですが、
残念ながらこの本では
それには言及されていませんでした。

ただ、山崎先生の目的は、
がん共存療法を保険診療で
受けられるようにしたいということです。

そうしないと、
副作用の大きい標準的な抗がん剤治療を
選択した患者さん以外は、
保険診療の恩恵を受けることが
できないからです。

今のシステムでは、山崎先生のように
標準治療以外の治療法を選択した患者さんは
経済的に大きな負担を
強いられることになるのです。

ですから、標準治療ではないがん共存療法が
保険診療で受けられるためには、
これが末期がんに有効だという
データを出す必要があるのです。

そのために現在、山崎先生は、
治験希望者を募り、
懸命にデータを集めている最中です。

これで有効性があるということが
立証されれば、
保険診療の道が開けるのです。

この治験は、従来の方法に則ったやり方ので
「心の治癒力」のことは
全く配慮されません。

治験というワクの中でやろうとする限り、
「心の治癒力」には目が向かないのは
当然と言えば当然です。

私であれば、
がん共存療法の有効性を高めるためにも
「心の治癒力」を活性化するような
かかわりを取り入れたらよいのではと
思うのです。

つまり、カウンセリングなどを通して、
期待感や希望、喜びといった思いを
もっと膨らませるようなかかわりをすれば
がん共存療法の効果は
確実に上がると思うのです。

こちらからしゃしゃりでるのは
おこがましいので、
このブログが偶然でもよいので
山崎先生の目にとまることを願ってます。

山崎先生、頑張って下さい!

    ブログ:山崎先生に伝えたいこと” に対して6件のコメントがあります。

    1. 松岡温美 より:

      とても素敵なお話です☆山崎先生と黒丸先生の思いが一つになって実現する事を願っています!

    2. holicommu より:

      ありがとうございます。

    3. 須藤哉子 より:

      「先生がまだ気づかれていないこと」とは「自然治癒力」のことだったのですね。

      『カウンセリングなどを通して、期待感や希望、喜びといった思いをもっと膨らませるようなかかわりをすればがん共存療法の効果は確実に上がると思うのです。』
      「ホリスティックにめざめるとき」を読んで復習しているところでしたので大変納得します。
      山崎先生の思いと行動に黒丸先生の思いが合わさり、保険診療が実現することを切に願っています。

    4. holicommu より:

      コメントありがとうございます。自然治癒力もそうですが、「心の治癒力」の方を私は大切にしています。これをうまく活性化するとより効果が高まると思っていますので。

    5. 田中智行 より:

      大変な良書をご紹介いただきありがとうございます
      緩和ケア医であるご自身が癌になった闘病記ですが
      医師らしくエビデンスを大切にしながらご自身で納得するまで治療法を吟味し実践する姿勢
      何より山﨑先生の真摯な人間性が文章に滲み出ており読み始めからカラダが反応し読了後胸が温かくなりました
      日本の抗がん剤治療に対して疑念を抱く方全員に読んでいただきたいと思います
      途中途中山﨑先生のワクワクした気持ち前向きな気持ちが見られましたが
      それが治療に良い効果を及ぼした影響も多分にあるのではないかと推察します
      そのような意味では黒丸先生がおっしゃる通り
      『心の治癒力を活性化させる取り組みを入れることで効果も上がる』
      僕もそう信じています

    6. holicommu より:

      田中さんへ。コメントありがとうございました。また心の治癒力の活性化の重要性も理解していただき嬉しい限りです。

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