今回は、高血圧やコレステロールの
基準値が決められる過程における
疑問や問題点について見ていきます。

先ず言えるのは、
製薬会社と医師や学会との
結びつきを抜きにして、
医療の世界は語れないということです。

当然のことですが、
製薬会社も一般企業である限り
できるだけ収益を上げ、
会社を発展させる必要があります。

これは資本主義社会で生き抜き、
発展していくための基本です。

製薬会社の場合、利益をあげるためには
できるだけ多くの医者に
薬を処方してもらわなくてはいけません。

しかし、薬は病気の人が飲むものであり
健康な人が飲むことはありません。

しかし、そんなことを言っていたら、
薬の売り上げは頭打ちになり、
会社としての利潤を上げるという使命は
果たせなくなります。

ですから、
できるだけ病人を増やす必要があるのです。

そこで出てきたアイデアが、
高血圧やコレステロールの基準値を
下げるという方法でした。

例えば、
血圧も140以上が高血圧としていたのが
130以上を高血圧だということになると、
約1,000万人の患者さんが
増えることになります。

しかし、当然のことながら製薬会社の意向で
勝手に基準値を下げるわけにはいきません。

基準値を変えるためには、
科学的根拠のある論文をもとに、
それらを総合的に検討し、
必要だと判断された場合に限り
基準値は変更されます。

もちろん論文といっても、
内容や質も多種多様であり、
正反対の結論を述べているものも普通にあり、
また信頼性の高いものあれば
低いものもあります。

その中から適切なものを選び出し、
最終的に団体や学会としての結論を
出すことになります。

通常、臨床医学の学会のメンバーは
医者がほとんどです。

その中心メンバーは、
大学の教授や大病院の部長や院長など、
権威や影響力のある人たちです。

しかし、そこには落とし穴があります。
人間は誰であろうと、
「確証バイアス」とう
思考のクセを持っています。

つまり、自分の都合のよい情報は
積極的に集め、
自分に都合の悪い情報は
スルーしてしまうという思考のクセです。

ですから、
もう少し血圧の基準は下げた方がよいと
思っている医者からすると、
それを裏付ける論文が
集められる傾向があり、
それに反する論文は無視されます。

今の時代だと、
マスクに感染防止効果が
あるか否かの論文に
その例を見ることができます。

新型コロナウイルスが出てくる前までは
マスクによるウイルス感染予防効果は
ないという論文が多数出ていました。

しかもこれらの論文は
「メタアナリシス」という
最も信頼性の高い方法で書かれた論文です。

ですから、海外ではコロナが流行しても
マスクの着用に関しては否定的だったのは
そのためです。

しかし、世界的な感染拡大が進む一方で、
マスクをしている日本人の感染率や死亡率が
異常に低いことが注目されたせいか、
今度は「マスクは有効」という論文が
クローズアップされ、
これを根拠に世界中の人が
マスクをするようになりました。

ところが、
この「マスクは有効」という論文は
ほとんどが「後ろ向き研究」といって
さほど質が高くなく、
信頼性も低い論文でした。

つまり、信頼性の高い
「マスクは無効」という論文はスルーされ、
信頼性の低い「マスクは有効」という論文が
全面に押し出されることに
なってしまったのです。

このように、上の人間の意図により
都合のよい情報は積極的に取り上げられ、
都合の悪い情報は
たとえそれが、信頼性の高いものであっても
スルーされてしまうのです。

これが人間の思考のクセ、
つまり「確証バイアス」というものです。

話を戻しましょう。

学会のお偉方が
血圧やコレステロールの基準値を
もっと下げるべきだと思ってくれれば、
当然「確証バイアス」も入り込み、
その方向にことは動くことになります。

権威あるお医者さん方に
どうしたらそのような思いに
なってもらえるかは
製薬会社の腕の見せ所です。

以前にも述べましたが、
製薬会社の豊富な資金源を使って
影響力のあるそれなりの医者たちには、
その気になってもらえるように
積極的に働きかけます。  
(詳細はこちらをご覧ください)
           
そのためには、
製薬会社にとって都合のいい論文が
必要になってきます。
(続く)