(前回から続く)
医学論文を書くのは
ほとんどの場合、医者です。

例えば、血圧を下げた方が
よいという論文を書くためには、
外来で多くの患者さんに薬を投与し、
データを取る必要があります。

もちろん、医者もめんどくさいことは
あまりしたくはないので、
データをまとめ、
論文作成をするというのは、
製薬会社に雇われたプロのライターが
やってくれるというのは珍しくありません。

しかし、そうは言っても
都合のよい論文を書こうにも、
臨床研究で必ずしも
よい結果が出るとは限りません。

都合のよい結果がでなければ、
当然、そのような論文は
発表したくないので、
表に出ないことも少なくありません。

これは、いわゆる
「出版バイアス」と言われるもので、
都合のよい結果が出れば当然発表しますが、
都合の悪い結果が出た場合は、
発表されにくくなるという
傾向のことを言います。

このように都合の悪いデータは
隠されてしまうことになると、
医者の見る論文のほとんどは
著者や製薬会社にとって
都合のよいものが大多数となるため
公平な判断ができなくなってしまいます。

出版バイアスに関しては
以前、抗うつ剤の効果が
大きな論争になりました。

抗うつ剤はうつ病に有効だというデータが
たくさんありますが、
出版されずに埋もれていた研究データも
すべてを総合して調べた結果、
言われているほどの効果はなく、
あったとしても
ほんのわずかだということがわかりました。
参照:「抗うつ薬は本当に効くのか」
(アービング・カーシュ著、石黒千秋訳)

ついでに言うと、
インフルエンザ薬のタミフルも
出版バイアスやゴーストライター問題で
だいぶ話題になりました。

つまりタミフルが
認可される根拠となった試験の大半は、
メーカーの出資によるもので、
その結果のほとんどが未発表でした。

また発表された論文は、
メーカーから報酬を得て書いた
ゴーストライターのものでした。

結局、
都合の悪い多くのデータは隠され、
表に出された論文は
タミフルの有効性を
謳ったものだけだったのです。

2014年になって、
ようやくすべてのデータが公開されたので
隠されたデータもすべてを対象にして
分析がし直されました。

その結果、当初言われていたような
有効性は認められませんでした。

世界中のタミフルの
75%を使っていたという日本人は、
いいカモにされていたというわけです。

ついでのついでに言いますが、
今のコロナワクチンについても
タミフル問題の反省もなく、
同じことをしています。

コロナワクチンは、
現在、世界中で生体実験(治験)が
進行中ですが、
2025年5月までは
データを公開しないという意向を
メーカー側ははっきりと示しています。

当然、効果や副作用の有無などを含め、
すべての作業が、
ファイザー内で行われているので
専門家ですら、
その内容を知ることはできない状態です。

データが公開された際には、
タミフル以上に多くの問題が暴露され、
世界レベルで訴訟が起きるのではないでしょうか。

もっともメーカー側は
その点も十分に計算済みですので、
各国にワクチンを販売するにあたり、
どんなことがあってもメーカーは
訴えられないという契約になっています。

ですから、
実際にはメーカーは訴えられず、
ワクチンの販売を認めた国が責任を
取ることになります。

さすがに海千山千のメーカーですね。

だいぶ横道にそれてしまいました。
元に戻します。

論文のデータ分析の件ですが、
解析結果、惜しいところで
「有効」にはならなかったという場合も
あります。

そんな時には、データを改ざんし
論文をでっちあげるということも
人知れずされています。

降圧剤で有名なのは
「デュオバン」事件です。

大学で行われた臨床試験のデータを
ノバルティスファーマ社の社員が、
都合のよい結果が出たように改ざんし、
1兆円以上の売上を上げたという事件です。

ここまで露骨な犯罪を犯さないまでも、
論文の見せ方いかんで、
その気にさせるようなデータの出し方は
十分にできます。

それは統計学者が得意とするところです。
(興味のある方は以下のブログを参照)
グラフは見せ方で判断が正反対になる!
ブログ:グラフは見せ方で判断が正反対になる!
ブログ:数字の見せ方で判断が正反対になる!

こうして製薬会社に都合のよい論文が
たくさん世に出回り、
都合の悪い論文はあまり表にでないという
不公平の状況が作られているのです。

ですから、医学論文といっても、
目につく論文に偏りがあったり
論文自体に改ざんがあったりするので
どこまで論文を信じていいのか、
難しいところがあります。

このような出版バイアスや
確証バイアスの問題もありますが、
さらに根深い問題があります。

それが製薬会社から医者に流れる
「お金」の問題です。
これについては次回お話します。
(続く)