人は誰でも、自己中心的に生きています。
それが人の本質のひとつです。

ただし、ここで言う自己中心的とは、
必ずしも悪い意味ではありません。
というか、自然なことなのです。

例えば、人は誰でも自分が注目されていると
思いがちです。
これをスポットライト効果と言います。

みんな、自分のことを
どう思っているのだろうか、
変に思われないだろうかと
気になってしまう心理が、
まさにスポットライト効果の表れなのです。

特に人前で失敗してしまったり、
髪を切り過ぎてしまったり、
場違いなところに来てしまった場合などは、
みんな私のことを、
変な奴だと思っているに違いないと
感じてしまうものです。

つまり、人は実際以上に、
自分は他人から注目されていると
感じてしまうために、
状況によっては不安や緊張が高まり、
いたたまれない気持ちになってしまうのです。

しかし実際は、
他人はあなたにずっと注目しているわけではなく、
またそれほど関心があるわけでもないのです。

それを裏付ける多くの研究があります。
例えば、ある学生に派手なTシャツを着て
大教室での授業に出席してもらいます。

本人の予想では半分くらいの人が、
そのTシャツに気づくだろうと予想しましたが、
実際に気づいたのは10パーセント以下でした。

このように人は、
実際以上に自分が注目されているという思いを
抱いてしまう傾向があるのです。
そう言う意味で、人はみな自己中心的なのです。

ではなぜ、そう思ってしまうのでしょうか。
それは、人は自分の視点から世界を見ており、
自ずと外の世界の人たちも
自分と同じ視点で物事を見ていると
錯覚してしまうからなのです。

だからこそ、恥をかいた当の本人は、
そのことがずっと気になっているため、
周囲の人もずっと自分のことを
注目していると感じてしまうのです。

また大失敗をしたり、大恥をかいたりすると
そのことを他人はずっと覚えていると
思ってしまうものです。

確かに、しばらくは覚えているかもしれませんが、
多くの場合、よほど関心があることでない限り、
周りの人はすっかり忘れていることがほとんどです。

例えば年末になると必ず新聞なので、
今年の10大ニュースというものが載ります。

それを見ると、
大きな事件や出来事であっても、
そう言えば、あったなあという程度であり、
紙面を見ない限り思い出せないことも
多々あるものです。

ましてやそれが3年前、5年前、10年前となると
なおさらのことです。

私もかつて、
こんな大恥をかいたことがありました。

友人夫婦が来た際、
シャンパンを振る舞ったのですが、
その際、栓を開けた瞬間、
中身が噴き出てしまいました。

その瞬間、何を思ったか、
シャンパンを口でくわえてしまったのです。

そのときの、友人夫婦が目を大きく見開き、
口をポカーンと開け、
唖然として私を見ていた光景を
今でも忘れることができません。

以来、その友人に会うたびに、
そのことを思い出しては、
一人赤面し、いたたまれない気持ちに
なっていました。

そのことが長年気になっていましたが、
あるとき思い切ってその時のことを覚えているか
たずねてみました。

すると以外にも、
家に遊びに来たことは覚えていましたが、
そのシャンパン事件のことは
全く覚えていないとのことでした。

以来、その友人に会っても、
そのことを思い出すことはなくなり、
長年気になっていた気恥ずかしい出来事は
楽しい思い出に変わりました。

このように、
自分は絶対に忘れられないことでも、
相手からすると、
たいしたことではないと感じていることが多く、
だからこそ、しばらくすると
記憶から消え去ってしまうのでしょう。

要するに、
人は自己中心的であるがゆえに、
自分の視点から見たり感じたりすることを
他人も同じように感じているだろうと
思ってしまうクセがあります。

もちろん、理屈では
そんなことはないとわかっているのですが、
日常生活の中では、
どうしてもそのように感じてしまうのです。
それが人間という生き物なのです。