最初にこの言葉を目にしたとき、
何を言っているのか全く理解できませんでした。
20年ほど前のことです。

でも今はそれなりに理解できます。
確かに、この世はすべて催眠術だと思います。

もっともここで言う催眠は、
皆さんが知っている催眠とは少々異なります。

先日も研修医に
「催眠と聞くとどんなイメージ?」とたずねると
「オカルト的」という答えが返ってきました。

一般の人(医者も含め)のイメージとしては、
未だに何か怪しげなものと
思われている節があります。

多分それは、テレビで見る「ショー催眠」や、
振り子を使って暗示をかけて眠らすような
そんなシーンを思い出すからかもしれません。

確かに、
怪しげなものもあることは否定しませんが、
一部の医師は催眠を治療に使っており、
臨床催眠学会という組織も存在しています。

つまり、催眠はオカルトでもまやかしでもなく、
歴とした心理療法のひとつなのです。

話を最初に戻します。
実は催眠にもいろいろな種類がありますが、
私の言っている催眠は
現代催眠(エリクソン催眠)のことです。

これは、おもむろに
相手に暗示をかけるような催眠ではなく、
普通の会話をしながら、
知らず知らずのうちに
暗示をかけるという方法です。

簡単に言うと、会話の中で
「なんか知らないけどその気になってしまう」
「いつのまにかやる気になってきた」
といった状況を作るための
コミュニケーションスキルです。

本来は、治療や
問題解決を目的としたクライエントとの
やり取りの中で行うものです。

私はこれを拡大解釈し、
どんな状況や方法であれ、
気持ちが変わったり、その気になったりした場合、
それはすべて催眠にかかったと理解しています。

もっとも現代催眠も、
今言った広い意味での催眠も、
本人からすれば、
催眠にかけられているという自覚は全くありません。

例えば、コンビニに行ったら、
買うつもりのなかったお菓子を
つい買ってしまったというのもそうです。

要するに、知らず知らずのうちに、
自分の思いをコントロールされてしまう状態が
広い意味での催眠なのです。

私が開催しているセミナーで教えている
ホリスティックコミュニケーションも
この現代催眠の要素をかなり取り入れています。

何をしているかというと、
無意識や潜在意識に働きかける
コミュニケーションをしているのです。

そうすることで、
思いに変化が生じたり、
日常での行動が「知らず知らずのうちに」
変わってきたりするのです。
そういう意味ではまさに現代催眠そのものです。

もっとも、私との直接的な
コミュニケーションがなくても、
人はだれでも日常の中で、
暗示をかけられているのです。

例えば、つい余計な物を買ってしまったり、
ゲームにはまってしまったり、
男に騙されたりとかがまさにそれです。

もちろん、ネガティブなものばかりではなく、
誰かの一言でやる気が起きたり、
ディズニーランドに何度も行ったり、
ダイエットに成功したりといったことも
広い意味での催眠にかかった結果なのです。

そこには、自分をその気にさせるような
言葉や宣伝、広告、暗示、
体験、雰囲気、環境があり、
それらがいつの間にか私たちの無意識に
影響を及ぼしているのです。

つまり、
私たちが関わる人やモノはもちろんのこと、
私たちを取り巻くすべての環境から、
知らず知らずのうちに影響を受け、

いつの間にかその気になり、
それに応じた行動を
取ってしまっているのです。

その意味で私たちは
ありとあらゆるものから暗示をかけられ、
コントロールされているということになります。

それが
「この世はすべて催眠術」という意味です。
おわかり頂けたでしょうか。