新型コロナウイルスの話も
もううんざりという気がしますが、
世間一般では今なお毎日報道され、
人々の不安を駆り立てています。

経済の衰退という現実に直面し、
このままではまずいと思った政府は、
GoToトラベルを打ち出し、
もっと出かけましょう、
もっと旅館やホテルにも泊まりましょうと
呼びかけています。

しかし、その一方で
3密やソーシャルディスタンス、
5人以上の飲食を伴う集まりの自粛など、
感染予防も怠りのないよう、
注意も呼びかけています。

つまり、経済の活性と感染の予防を
どうしたら両立できるのか、
それにとても苦労している現実が見えてきます。

人の習性として、
楽しいことよりも不安なことの方が
どうしても気になってしまうものです。

これは脳に組み込まれた思考のクセですから
そう感じてしまうのは仕方ありません。

そのためか、GoToトラベルと言っても、
思った程の効果が
あげられなかったのかもしれません。

実際、会社や企業では、
積極的にGoToトラベルを勧めるよりも
感染対策の方が気になってしまい、
移動や集会の自粛を打ち出しているところの方が
多いのではないでしょうか。

病院ともなればなおさらのことです。
クラスターでも発生したならば、
入院や外来を制限せざるをえなくなり、
病院経営にとっても
死活問題になりかねません。

そのような現実は十分に理解できますが、
感染をゼロにすることも、
この時期、クラスターの発生を
ゼロにすることもできません。

故意に感染を広げようとする人は
いないでしょうが、
知らない間に感染してしまい、
知らない間に感染を広げてしまうことは
社会生活を営む限りあり得ることであり、
それをゼロにすることはできないのです。

それにもかかわらず、
万が一感染したら、万が一人にうつしたらと、
万が一のことばかり心配して、
行動を自粛しすぎたり、
感染予防を過度に気にしすぎたりする人が
かなりいます。

私はこれを「万が一病」と言っています。
万が一のことを中心に物事を考えるというのは
甚だ不自然で偏った見方であり、
これはひとつの病気だと言っても
過言ではないと思っているからです。

例えば、薬を飲んで起こる副作用で、
「まれにショックを起こすことがあります」
という記載はごく普通に見かけます。

このときの「まれ」というのは
0.1%未満のときに使う表現です。

つまり1000人に1人未満にしか
起こらないのであれば、
それは「まれ」と表現するのです。

その「まれ」にしか起こらないことを気にして、
じゃあ、この薬を飲むのをやめようといって、
飲まない人がどれくらいいるでしょうか。

一方、新型コロナウイルスに目を移すと、
最も感染者数の多い東京では、
8月31日現在20,569人の感染が確認され
そのうち17,530人はすでに回復しています。

東京都の人口は1,400万人ですので、
感染率は0.0015つまり0.15%です。
死者は358人ですから0.0025%です。

毎日、数百名の人の感染が新たになっていますが、
その数がたとえ500名だとしても、
その日に感染する可能性は0.004%未満です。

「まれ」が0.1%未満ですから、
この数字は「まれ」の
さらに25分の1の少なさです。

こんな「まれ」なことが起こったら
どうしようと考えてしまい、
東京に行くのは怖いからと言って、
出かけるのをやめる人がいますが、
全くもって笑止千万なことです。

うちの病院でも、
今の時期、どこにも外食には行けないと
嘆いていたナースがいましたが、
彼女も万が一病に感染しているのでしょう。

ただし、薬の使用説明書の副作用の記載のように
メーカー側は「まれ」なこともすべて
書かなくてはいけません。
これは立場上、仕方ありません。

同様に政府も、立場上言わざるをえません。
日本人の感染率は0.05%、
死亡率は0.001%であり、
「まれ」よりも少ない出来事なのですが、
やはり政府としては
注意を促さざるを得ないのです。

ただ、GoToトラベルでもわかるように、
本音としてはもっと出かけて、もっと遊んで、
もっと経済活動を活発にしてほしいと
思っているのではないでしょうか。

しかし、万が一病の人がたくさんおり、
その人たちがテレビやマスコミで騒ぎ立てると、
万が一病ではなかった人たちにも感染してしまい、
万が一病がさらに増える可能性があります。

皆さんも万が一病の感染には
気をつけてください。