ブログ:原因探しと有害援助

これから何回かにわたり、
悩み相談や問題解決に必要な
コミュニケーションの考え方とコツについて
お話しさせていただきます。

先ずは、有害援助のお話からです。
悩みや相談にのるという経験は、
誰にでもあると思います。

その際、相手のためを思って、
励ましやアドバイスをすることが
多いと思いますが、
実は、その際の対応が
「有害援助」になっていることが
しばしばあることが知られています。

有害援助とは、
相手に不快な思いをさせてしまったり、
かえって落ち込ませてしまうような
言葉かけやアドバイスのことです。

もっとも典型的な有害援助は
「クヨクヨしてないで前向きで行こう」
「いつも気持ちを明るく持つことが大切」
「今のつらい状況は必ず乗り越えられるから」
「もっと自信を持って、あなたならできる」

このような言葉かけは、
一見よさそうに思えるのですが、
それは「今、悩んでいない人」には、
そう思えるだけのことです。

悩んでいる当の本人にしてみれば、
前向きな気持ちや明るい気持ちなど
持てるわけがなく、
そんなことを言われると、
「この人は全然わかってくれていない」
という気持ちを抱いてしまうため、
かえって落ち込んでしまうのです。

もちろん、当の本人は、
社交辞令として
「ありがとう」とか「がんばってみます」とか
言ってくれるでしょうが、
内心では「相談なんかしなければよかった」と
思っている人の方が圧倒的に多いのです。

にもかかわらず、アドバイスをした側は
それが有害援助であることに気づいていません。
私はよいアドバイスができたと
勘違いしているので、
その後も、有害援助を続けてしまうのです。

さらに問題になるのが「原因探し」です。
その根本にある錯覚は、
目に見える「モノ」と目に見えない「心」を
同じものだと思って対応してしまうことです。

「モノ」と「心」を
同じものだと錯覚するわけがないと
思っているかもしれませんが、
問題解決のコミュニケーションでは、
しばしば起こっています。

最も典型的なのは、
その人の考え方や性格、
態度にかかわる問題のときです。

人間関係のトラブルにせよ、個人の悩みにせよ、
何が原因かを探っていくと、
その根本には、
自分勝手な思いや傲慢な態度といった、
心にかかわる問題が原因であることが
ほとんどです。

機械やロボットであれば、
問題部分を特定し、
それを修理したり部品を取り換えたりすれば
問題を解決することは可能です。

ところが、心そのものに問題がある場合は、
「自分勝手な心」を「優しい心」に替えるといった
あたかも悪い部品を交換するかのようなことなど
できないのです。

にもかかわらず、
壊れた機械の修理と同じように
「原因探し」をしてしまい、
心にある原因を見つけようとします。

そして、
「自分勝手な心」という原因を見つけると、
「もう少し相手の立場を考え、
優しくかかわることが大切ですよ」といった、
「自分勝手な心」を「優しい心」に
取り換えよと言わんばかりの、
実現不可能で、かつ有害無益なアドバイスを
平気でするのです。

まさに、このアドバイスこそが、
「有害援助」です。

人は、モノの問題でも心の問題でも
原因を見つければ問題は解決すると
勘違いしているため、
最後は有害援助をする羽目になり、
かえって相手を落ち込ませてしまうという
結果に終わるのです。

皆さんは、原因探しばかりしていたり、
有害援助をしたりはしていませんか?

    ブログ:原因探しと有害援助” に対して3件のコメントがあります。

    1. 高橋一浩 より:

      黒丸先生、おはようございます。いきなり、ブリーフの核心をつく問いかけですね。
      原因思考より解決志向とは分かってはいるつもりですが、
      上手くいかなかったり、悩んだりすると、どうしても、分析的になって原因さがしをしてしまいます。
      悩んでいるときに、別の事や上手くいっていることに意識をむけるコツってあるのかなぁ。
      ブログの続きが楽しみです。

    2. 高橋一浩 より:

      どうも気になって・・・。スマホで一人でYoutubeをみるのではなく、家族みんなでドラマをみることで、同じ家族の中でも違う意見、違う見方があると気づく。それを続けることで、物事の見方や考え方が柔軟になっていく。問題だと思っていたことも、相対的に、大したことでなくなっていく。
      これが、解決志向なのかなぁ。
      すみません、つぶやきで。

    3. holicommu より:

      いつもコメントありがとうございます。私は解決志向にこだわるつもりはありません。結果として相手に良い意味での変化が起こればそれでいいと思っています。ただし、無理に認知や行動を変えるというスタンスではなく、気づいたら変わっていたという、そんな対応ができたらいいなと考えています。まあ、ケースにもよりけりですけど。

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