私は30年以上にわたり
ホリスティック医学に関わっており、
また、ホリスティック医学を
実践していると言っている医療者とも
たくさんのかかわりを持っています。

しかしそんな医療者の中には、
「それってホリスティック医学じゃない!」と
つっこみを入れたくなるような人も結構います。

以前、自分はホリスティック医学を
実践しているという医師と
話をしたことがありました。

彼はとてもアクティブで
西洋医学はもちろんのこと、
代替療法に関してもかなりの知識を持っており、
たくさんの患者さんを診ていました。

その先生は以下のようなことを
しきりに言っていました。

患者さんは病気を治して欲しいと言って
クリニックを訪れます。
あたかも代替療法を受ければ、
たちどころに病気が治るような
そんな気でいるのです。

そんな患者さんには、はっきり言います。
病気を作り出したのはあなたであり、
あなたの間違った生活や心の持ち方、
病気に対する考え方を正さない限り、
いくら治療を受けても治りません。

ですから、
患者さんに対してはとことん質問を繰り返し、
問題となっている原因を
しっかりと突き止める必要があります。

確かに、このような厳しめな対応をすることで
初めて自分の過ちに気づき、
生活や心構えを変える患者さんもいるでしょう。

しかし、このようなかかわり方に、
私にはどうしても違和感があるのです。

それは、患者さんに対して、
ホリスティック医学の考え方を
ただ単に押しつけているだけのように
感じられるからです。

また、原因となっている問題点を探し出し、
それを改善しなければ
病気はよくならないという考え方にも
疑問を感じます。

ただし、
ここで誤解のないように言っておきますが、
この先生は決して間違ったことを
言っているわけではありません。

また、乳がんの患者さんであれば、
代替療法一辺倒でいくよりも、
手術や抗がん剤を勧めると言っていましたが、
これも西洋医学と代替療法の双方のメリットを
十分に理解しているからこそ
言えることだと思います。

その意味ではまさに、
ホリスティック医学の考え方を
しっかりと持っている先生だと思いました。

しかし、それを実践するとなると話は違います。
患者さんにホリスティック医学の考え方を伝え、
それを実践しろと言っても、
それを受け入れ、実践できる患者さんは稀です。

悪い生活習慣や考え方を変えるというのは、
頭では分かっていても、
そう簡単にできることではないのです。

ですから、
そのような理想論を患者さんに押しつけ、
実践できなければ、
それは患者さんのせいだと
言わんばかりの態度で接するのは
少々問題だと思いますし、
またそのような態度は、
ホリスティックな医療を
実践しているとは言えません。

私は、患者さんに安心感や信頼感を
持ってもらえるような関わり方や、
患者さんが実行してみようという気になるような、
そんなアドバイスの仕方も含め、
「治療」だと思っていますし、
それがホリスティック医学を
実践することだと思っています。

それからもうひとつの問題点は、
原因を追求しすぎてしまうことです。
食べ過ぎ、飲み過ぎ、ダラダラし過ぎといった、
生活面での問題点は
本人もある程度自覚しているはずです。

間違った行動をわからずにしているのであれば、
それを指摘し、正すことはよいでしょうが、
わかっちゃいるけどやめられない状態の
患者さんにとっては、
いくらその問題点を指摘しても、
無力感や自己嫌悪感を募らせるだけです。

患者さんに、そんな思いをさせてしまう
関わりや質問の仕方をするのは、
私はホリスティックな医療をしているとは
言えないと思っています。

しかし、現実にはこのような先生方が、
自分はホリスティック医学を実践していると、
堂々と謳っています。

そんな様子を見るたびに、
違和感を禁じえずにはいられないのです。
こんな現状を何とかしたいものです。