先日、面白い本を見つけたので
早速買って読みました。

『僕らはそれに抵抗できない
~「依存症ビジネス」のつくられかた』
(アダム・オルター著、ダイヤモンド社)

この本に書かれているのは、
なぜスマホやゲームの依存症になるのか、
それらに人を夢中にさせるために、
どんな仕掛けを組み込んでいるのか、
さらには依存症にならないための
対策などもあり、
かなり中身の濃い本でした。

とても面白かったので、
このブログでも少し紹介しようと思います。

ジョブズは、誰もが1台ずつiPadを
持つべきだと言っていましたが、
その一方で、自分らの子供らには
iPadを使わせていないことを
ある取材で述べています。

それはなぜか。
テクノロジーの危険性を知っているからです。

昔はアルコール依存や薬物依存のように
物質依存が主なものでしたが、
現代はスマホやゲームに
はまり込んでしまうという「行動依存」が
新たな問題になっています。

ある調査では、
スマホを使っている時間は1日平均3時間、
スマホを手に取る回数は1日平均39回でした。

この数字を見て、
ほとんどの人は自分が自覚しているよりも
かなり多いと感じますが、
実際に測定してみると、
それに近い数字が出るため誰もが驚きます。

このことからも、いかに人は無自覚に
スマホを見ているのかということがわかります。

ではなぜ、私たちは行動依存に
なってしまうのでしょうか。

そこにはいくつかの要因がありますが、
以下のような事実から
次第に明らかになってきました。

ベトナム戦争にアメリカ兵が派遣されていた頃、
当地ではヘロインが簡単に手に入り、
そのため戦争終結時には、
アメリカ兵の35%はヘロインの使用経験があり、
19%は常習者でした。

一般に、ヘロイン常習者が使用をやめ、
その後クリーンでいられる割合は5%であり、
一度、依存症を経験すると、
そこから回復はできても、
再発しないでいることは極めて困難です。

ところが、治療により、
ヘロイン依存症から回復した帰還兵のうち、
再発したのはたったの5%だけでした。

なぜ帰還兵はヘロイン依存症が
再発しなかったのでしょうか。
そのなぞを解くカギは「環境」にありました。

依存症が再発する場合、
「快楽」の記憶を思い出させる「きっかけ」が
重要な役割を果たしています。

その「きっかけ」となるのが、
ヘロインをすぐに手に入れられる環境や、
それを使用していた仲間らとの接触です。

つまり、帰還兵が依存症を再発しなかったのは、
彼らが依存症になったベトナムという環境から
離れることができたからなのです。

再発は心が弱いからなるのではなく、
環境がそうさせていたのです。

それからもうひとつの要因があります。

それは、薬物にせよゲームにせよ、
それらが自分の寂しさや虚無感、
悲しみといった心理的苦痛を
和らげてくれるということを学んだとき、
人は依存症になる可能性が高くなります。

自分に害をもたらすものであると分かっていても
満たされない欲求を
満たしてくれるものであれば、
それを繰り返しているうちに、
脳の状態が「好き」モードから
「欲しい」モードに変わってしまうのです。

「好き」と「欲しい」は似て非なるものです。
たいていの場合、
「好き」と「欲しい」は一致します。

ところが依存症にのめり込んでいくと、
「好きではない」のに「欲しくなる」という
状態になってしまいます。

自分が満たされたという感覚が
脳に刻み込まれると、
「欲しい」という渇望の感覚が
消えなくなってしまうのです。

だからこそ頭ではいけないとわかっていても、
強烈な渇望がわき上がってくるせいで、
依存行動を止められなくなってしまうのです。

ギャンブル、買い物、アルコール、薬物など
その快感が繰り返され、
心が満たされる経験が続くことにより、
脳のモードは「好き」が「欲しい」に変わり、
その変化が依存症を作り上げるのです。

依存症になるのは、
物質や行動そのものだけで決まるのではなく、
環境という「引き金」や
心理的苦痛から解放されるという快感体験が、
脳のモードを変化させてしまうことにより
引き起こされるというわけです。
(続く)