私の知り合いに週末婚の夫婦がいます。
と言っても、最初から
週末婚というスタイルを
取っていたわけではありません。

当初は普通の結婚をし、
一緒に暮らしていました。
しかし、長年の結婚生活の中で、
夫婦の間で様々なすれ違いが生じ、
喧嘩をすることも多くなっていきました。

お互い、共働きであり、
子供もいなかったこともあり、
真剣に離婚のことも考えていたようです。

そんなある時、彼女の母親が病に倒れたのです。
彼女からすれば、
夫としばらく離れられる大義名分ができ、
これ幸いとばかりに実家に帰ってしまいました。

そうは言っても
正式に別居や離婚を切り出したわけでもなく、
全く家に戻らないというのも気が引けたようで、
二週間に一度、土日だけ家に戻る生活を
することになりました。

そんな生活をしばらくしていると、
あるときふと気づいたというのです。
あれほど、
もう一緒にいたくないと思っていた夫が、
あまり嫌でなくなってきたのです。

平日は実家の近くでアルバイトを始め、
月に2回だけ週末に帰る生活は、
冷めかけていた彼女の心に
再び灯火が灯ることになりました。

毎日夫と一緒にいる生活をしているときは
色々と不満が溜まり、
ときには爆発することもあったようですが、
週末に会うというスタイルに変わってからは
昔のように穏やかでほのぼのとした生活が
戻ってきたというのです。

私はこの話を聞いて、
週末婚という形は、
すれ違った夫婦の関係性を修復するための
きっかけをつくるのには
よいスタイルなのかもしれないと思いました。

どんなに仲むつまじい夫婦であったとしても、
ときには一人になったり、
自由に振る舞ったりしたいと思うものです。

ましてや、何かとストレスを感じ、
すれ違いが多くなってきた夫婦であれば
なおさらのことです。

彼女にとっても、
平日は夫と離れ、自由に過ごし、
週末は二人で過ごすという形は、
ちょうどよい距離感を保つための
最良の選択だったのだと思います。

月に2回だけだと思うと、
それくらいなら、
がんばってお世話をしてあげてもいいかな、
という思いになり、
だからこそ、再びよい関係に戻れたと
言っていました。

実は、この感覚は治療関係にも
当てはまります。

例えば、同じ患者さんの外来が
毎日あったならば、
私などはかなり苦痛を感じると思います。

深刻な悩みや問題を抱えている
心療内科の患者さんの話を聴くのも、
月に1回程度だったからこそ、
毎回一生懸命にかかわれたのだと思います。

ところが、入院患者さんの場合は、
毎日顔を合わせることになるので、
そういうわけにはいきません。

最初のうちは毎日一生懸命に
患者さんの話に耳を傾けていましたが、
やはり結構辛いものがありました。

そこで、途中から、
じっくり話をするのは週に2回だけにし、
あとの日は必要最小限の回診だけで
終わるというスタイルに変更しました。

それからは回診が、
ずいぶんと楽になったのを覚えています。
今思い返すと、これはちょうど、
週末婚のスタイルに似ているなと思いました。

また昔は一般患者さんの
往診にも行っていましたが、
これも同じことが言えます。

入院患者さんのように、
毎日、診ないといけない患者さんと
週に1~2回往診という形で1時間程、
お宅を訪れるのとでは、
明らかに後者のほうがイキイキしていました。

これも、ずっと一緒にいるよりも
週に1~2回だけ、
じっくりとお付きあいするという形の方が、
適度な距離を保てる分、気持ちの負担も少なく、
またその分、お会いした時には
一生懸命にかかわろうという思いに
なれるのではないでしょうか。

まさに、週末婚がうまくいく理屈と一緒です。

皆さんはどのように思いますか。