ブログ:思考が先か、感情が先か

多くの人は思考と感情を
ともに「心」と表現するため
この両者は同じもののように
思われがちですが、
実際には全く異なるものです。

「心の持ち方が大切」と
「心がざわつく」は
同じ「心」という言葉を使っていますが、
その意味するところは全く違います。

前者の「心」は物の見方や考え方を意味し、
後者は快・不快といった感覚を意味します。

例えば、仕事で失敗した場合、
「クヨクヨしても仕方ないから
これからのことを考えよう」というのが
思考の働きです。

一方、失敗したことで
気分が落ち込む状態になるのが
感情の働きです。

ただし、ここで言うところの思考は、
何かを考えるということだけではなく
頭の中でのひとりごとなども含まれます。

「どうしようかな」
「なんでうまくいかないんだろう」
「この本面白そうだな」
といった何気ない頭の中でのつぶやきです。

私たちは無意識レベルで、
このようなひとりごとや判断を
一日に何万回もしています。

一方、後者でいうところの「心」は、
快・不快や好き嫌いといった
感情や感覚が中心です。

感情と言うと
つい怒りや不安、悲しみや喜びといった
強い感情を思い浮かべがちですが、
日常における感情は
もっと漠然とした
快・不快や好き嫌いといったものが
ほとんどです。

ただし思考と感情はつながっており
お互いに影響を及ぼしあっています。

さらに状況を複雑にしているのが
これに「身体」や「環境」が
絡んでくることです。

例えば空腹感などは
「身体」から発せられるメッセージです。

お腹がすけば、
何か食べたいという「感情」が生じ、
その結果、お菓子でも食べようと「思い」、
チョコレートを食べるという
「行動」につながるのです。

一方で、ダイエット中だから、
食べたいけどやめとこうと思い、
そのまま仕事を続けるのは
「思考」による判断です。

ただし、デスクの引き出しに
チョコレートを忍ばせている人は、
いけないという思いがあっても、
食べたいという気持ちに負け、
チョコレートに手を伸ばしてしまう人も
少なくありません。

この場合、
すぐそばにチョコレートがあるから
食べてしまうのであり、
なければ食べずにすんだかもしれません。

つまり、お菓子の有無という
「環境」要因が
思考や感情に影響を及ぼしているのです。

こうして見てみると、
お菓子を食べるという単純な行動でも
思考や感情、身体、環境が
相互に影響を
及ぼしあっていることがわかります。

もうひとつの例を見てみましょう

人通りの多い道で
人が道で倒れていたとしましょう。

誰もが「大丈夫かな?」と心配になります。
でも多くの人は自分が声かけをしなくても
誰かが声かけをしてくれるだろうから
まあいいかと思って通り過ぎてしまいます。

そのときは、
自分は忙しいから
ここで時間を費やすわけにはいかないという
「思い」が瞬時に浮かび、
その判断が通り過ぎるという行動を
とらせたのかもしれません。

ところが、
倒れている人がかわいい女性や
イケメンの若者だったりした場合は
状況がガラッと変わります。

多くの人は一瞬にして
「かわいい」「かっこいい」
「かわいそう」「なんとかしてあげたい」
という感情がわき上がってきます。

その結果、忙しいからといった「思い」は
どこかに飛んでしまい、
すぐに駆け寄り、
「大丈夫ですか」と声をかけたりします。

逆に、倒れている人が、
薄汚いヨレヨレの服を着た
おじさんだったりすれば、
当然スルーしてしまう可能性は
高くなります。

もちろん人は、
イケメンの男性を見た瞬間、
「もしかしたらこれがきっかけで
この人と将来の結婚するかもしれない」
などという妄想から
駆け寄るわけではありません。

そんな理屈や思いではなく
「かっこいい」「好みかも」といった感情が
優先された結果なのです。

しかし、かっこいいから駆け寄った、
汚らしいおじさんだからスルーしたという
感情を理由とした行動は
人にあまりよい印象を与えません。

そのため、「行動」の理由を
「思考」によって後付けすことになります。

イケメン男性のときは、
「大変だと思ったから駆け寄った」と、
ヨレヨレおじさんだったら
「急いでいるから他の人に任そうと思った」
といった具合です。

このとき感情が先か思考が先かは
あまり意識されないのが普通です。

どちらか先に働くかは、
環境や身体との絡みもあり、
何とも言えないところがあります。

私は思考も感情も同時に生まれ、
そのときの状況によって
思考が優先されたり、
感情が優先されたりするのかなと
考えています。

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