ブログ:心をハッキングする②

今回も前回の続きで
クリストファー・ハドナジー著、
「人の心をハックする」(光文社)から
お話をさせていただきます。

人を望み通りに動かすテクニックは
前回お話ししましたが、
相手が秘密にしている情報を
思わず漏らしてしまうようにしむける
テクニックもあります。

そのひとつが
「誘出(イリシテーション)」です。

このテクニックは、
様々な国のスパイが使っています。

それにより国家機密や会社の秘密が
まんまと引き出されているのです。

この著者も友人とレストランに行き、
そこで出会った全く知らない何人かから
このテクニックを使って
カードの暗証番号を
聞き出す試みをしています。

もちろんお金を盗むつもりはなく、
ただ遊びでできるかどうかを試したら
うまくできたというのです。

ここで行なった方法はとても簡単です。

あるイタリア料理店に入ると、
そこはテーブル同士が近く
両隣でカップルが食事をしていました。

事前の打ち合わせ通り、
友人が次のような話しをします。

「今日の新聞記事読んだ?
何と68%の人が誕生日を
銀行の暗証番号にしているって」

著者はそれを受け、
「そうだろうね、
僕の暗証番号も0704だからね」

もちろん、それは誕生日でも
暗証番号でもないのですが、
周りの人はそんなことは知りません。

今度は友人が、
「それはいくらなんでも間抜けだろう、
おれは家内と自分の誕生日を組み合わせて
1204にしているよ」

その会話に聞き耳を立てていた隣の男性が
妻に言いました。
「君の誕生日を使うのは
まずいって言ったろ」

すると妻が
「そうね、でも覚えやすいでしょ1018って」

さらに妻は
「でも、あなたの番号は
誰も覚えられないわよ、
243714なんて」

すると今度は夫が、
「違うよ、243794だよ」

その話しを聞き、
著者のグラスに水を注いでいた
ウエイトレスまでが
話しに加わってきました。

「私はバンク・オブ・アメリカを
使っているんだけど、
ここの暗証番号は文字も使えるの、
だから娘のぬいぐるみの名前を
使って「パンダ」にしているの」

こんな具合です。

もし著者らが、
「すみませんが、
暗証番号を教えていただけませんか、
数字に興味があるので」とたずねても
教えてくれるわけがありません。

ところが著者らの会話を耳にすることで
暗証番号のことを話しても
かまわないんだという雰囲気に
させられてしまったのです。

他にもショッピングモールで
著者と受講生が遊び心で、
ターゲットとした見ず知らずの若い女性から
フルネームと職場の場所、故郷を
聞き出すことができるかに
著者はトライしています。

彼女は魅力的な女性だったので
言い寄る男をあしらうのに
慣れているだろうから
きっと難しいと思うというのが
受講生たちの予想でした。

ところがこの難題も
見事にクリアしたのでした。

なるほど、こんなふうに声かけをしたら、
相手は勝手にしゃべってくれるんだと
改めて感心してしまいました。

どのような声かけをしたかは、
本書を読んでの
お楽しみとしておきましょう。

この「誘出」テクニックには
いくつかのポイントがあります。

その中でも特に面白いなと思ったのは
あえて間違ったことを言うという
テクニックです。

人は間違ったことを聞くと、
修正したくなるという習性があります。

この習性を利用して、
相手の情報を引き出すという方法です。

例えば食堂で見ず知らずに人に
誕生日を聞き出すために
次のように声かけをします。

「こんにちは、
今あなたはイチゴを食べていますよね。
ということは2月生まれですね」

もちろんイチゴを食べていることと
誕生日が2月であることには
何ら関係がありません。

すると相手は、
「いいえ、7月です」

「あっ、じゃあ4日ですか」

「いいえ、21日です」

こんな具合です。

このようにして、
間違った情報を修正したいという
クセを利用して
誕生日を聞き出すことができるのです。

また、人は悪いことが
起こるとわかっている未来よりも
不確実な未来の方にストレスを感じます。

この心理を利用して
社員に仕事をさせることも可能です。

人を解雇する場合、
単純に解雇を言い渡すのではなく、
何ヶ月後に何人解雇すると明言するのです。

すると、自分は大丈夫だろうと思いながらも
不安感にかられ今まで以上に一生懸命に
働くようになるというわけです。

いずれにせよ、
ここに書かれているテクニックは
私たちの日常やカウンセリングでも
大いに利用できるなと思いました。

興味のある方は読んでみてください。
面白いですよ。

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