ブログ:社会システムの裏側

先週は「WHOLE(ホール)」に基づき、
リダクショニズム(細分主義)の問題点や
動物性タンパク質の大量消費が
健康問題や環境問題、貧困問題を
引き起こしているという話しをしました。

しかし、そんなことを言われても
私たちは今の生活に
さほど不便や問題を感じていませんし、
ある意味、楽しく食事もできています。

ではなぜ、ほとんどの人は
このような問題に気づくことが
できないのでしょうか。

その答えが
「WHOLE(ホール)」の第3部で
150ページにもわたり書かれており、
私はこの部分に一番興味を持ちました。

ここにはどんなことが
書かれているかと言うと、
一言で言えば社会システムの裏側にある
問題についてです。

つまり巨額の富を持っている人が、
ほとんど目に見えない形で
政府やメディア、大衆文化、
さらには私たちの思考にも影響を及ぼし、
最終的には彼らの利益を
増やし続けるという仕組みについて
詳細に書かれています。

著者はこのような社会システムに
大きな危機感を抱いています。

今の世の中では
問題を問題として認識されないように
うまく社会の仕組みが作り上げられおり、
私たちの危機感や欲望を上手に煽る形で、
彼らの思う方向に
誘導されているというのです。

そのため問題に気づかないどころか、
逆にありがたい、おいしい、便利だと言って
喜んでいるのが現状です。

そのあたりのことを
もう少し具体的にお話しします。

リダクショニズムによる研究では、
全体の中の一部の要素を取り出し、
実際にはそれが有害であったとしても、
いかにそれが健康に役立つのかを
証明できてしまうという問題を
はらんでいます。

例えばコーヒーはがんの予防に、
ビタミンEは虚血性心疾患の予防になると
言われています。

それを示す論文はたくさんありますが、
その一方で、コーヒーは
がんの発生率を高めるとか、
ビタミンEを摂取すると
総死亡率を高めるという研究もあります。

つまり、リダクショニズムによる研究では
全体を扱うわけではないので、
研究方法や対象の選び方、
データをどのように切り取るかにより
結果が逆転することはしばしばあるのです。

著者は時間とお金さえあれば
コーラやチョコバーが健康を増進すると
証明することも可能だと言っています。

あとは、そのデータを証拠として
薬や食品を認めてもらうために
利権産業がロビー活動などを通して
政府への働きかけをします。

コレステロールを下げる薬などは
実際には健康を害する可能性が
あるにもかかわらず、
積極的なロビー活動などを通して、
医学界ではすっかり常識として
浸透しています。

どんな企業であれ、
利益を上げなければ潰れます。

ですから利益を上げることは
問題ではありません。

しかしそれが、
健康を害することに加担するようなもので
利益を上げるというのは、
多少疑問が残ります。

牛乳もそうです。

牛乳は健康によいと言われています。
しかし著者は、
牛乳に含まれるタンパク質の80%を占める
カゼインは発がんを促進することを発見、
そのため牛乳は
飲まない方がよいと言っています。

ところが、学校給食などでは当然にように
牛乳が出されています。

少なくともアメリカでは
乳製品業界は過去60年にわたり
多額の資金を投じ、
栄養改善の基礎のひとつとして
乳製品の消費を促すよう
ロビー活動を行なってきました。

このような活動は
医療業界や製薬業界、食品業界だけでなく、
他の様々な業界でも行なわれています。

もちろん、
その際には科学的研究に基づく、
健康によいというデータを提出します。

ところが、その研究結果も
かなり歪められている可能性があることも
多くのところで指摘されています。

例えば、ビタミンEが悪玉コレステロールを
下げるというデータが欲しい場合、
企業は資金を提供し研究を依頼されます。

その際、
企業の意に沿うような結果がでるように
圧力をかけられることも少なくありません。

実際、研究者の15%が
資金提供元の圧力を受け、
手を加えたことを認めており、
それが有名雑誌「ネイチャー」2005年6月号に
「悪行を働く科学者たち」
(原題:Scientists Behaving Badly)という論文として
掲載されています。

また大きな学会(心臓、がん、糖尿病など)も、
大手製薬企業などから
多額の資金援助を受けているので、
ある程度、企業に利する方向で
動く傾向があります。

もちろん、マスコミも同様であり、
広告主やスポンサーの意向に
そぐわないという理由で、
コロナワクチンの危険性といった
健康に関する重要な情報でも
報道されないようになっています。

このように偏った情報や有害な情報でも
普通の人には
それが間違っているという判断をすることが
難しい世の中になっているのです。

これが、私たちが問題を問題と認識できない
社会システムの裏にある仕組みなのです。

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