ブログ:動物性タンパク質の問題点

前回紹介した
WHOLE(ホール)」の著者、
T・コリン・キャンベル博士は、
動物性タンパク質を摂ることの
危険性についても述べています。

私は牛肉や豚肉は
あまり好きではありませんが、
焼き鳥や唐揚げは好きなので、
少々耳が痛い話しではあります。

著者は適切な栄養を摂取していれば、
身体のダメージを修復する働きを
サポートできると言っています。

しかし、動物性タンパク質は
その働きを阻害し、
健康にマイナスの作用を引き起こし、
ときにがん細胞の生成を
促進してしまうというのです。

また、栄養やライフスタイルといった
後天的な要素が、
病気を発症する遺伝子の発現を
遮断することもわかっています。

実際、日本人が別の国に移住すると、
遺伝子は変わらないのに、
発がん率は移住先の国の発がん率に
近づくことが知られています。

これは食事やライフスタイルの変化が
遺伝子発現のオンオフを
コントロールしていることを
示唆しています。

つまり、病気に関して言うならば
遺伝子よりも栄養の方が重要だと
いうことです。

私も食事やライフスタイルが
遺伝子に影響を及ぼすと思っていますが、
そこにもうひとつ、
「心の治癒力」の存在も
仲間に入れて欲しいと思います。

心の存在を抜きに、
健康や病気は語れないことは
明らかですので。

しかし著者は
身体レベルの研究者のせいか、
そこにはほとんど言及していません。

あくまでも栄養状態が病気の根本原因であり、
適切な食事が重要であるということに
終始しているところが
私からすると少々残念な気がします。

話しを動物性タンパク質に戻しましょう。

動物性タンパク質とは
牛肉や豚肉といったものが中心ですが、
もちろん卵や乳製品、魚介類も入ります。

ただし、この本では
あまり魚介類には触れられていません。

いわゆる畜産目的で飼われている
牛や豚などのことを
主に言っているのだと思います。

実は動物性タンパク質を
大量に摂るということは
健康問題だけではなく
環境問題をも引き起こしているという
側面があります。

どういうことかと言うと
動物ベースの食べ物を大量消費することで
土壌劣化、地下水汚染、森林破壊、
化石燃料の消耗、深部帯水層の枯渇などの
環境問題を大きくしているのです。

植物ベースの食べ物と
同じカロリーの食べ物を
動物で摂ろうとすると
約5~50倍の土地と水源が必要になります。

動物性タンパク質を摂取するために
どれほど環境破壊に手を貸しているかは
以下の研究データからもわかります。

①動物性タンパク質の生成には
植物性タンパク質の8倍相当の
化石燃料が必要となる。

②アメリカの家畜全体で
人口全体の5倍相当の穀物を消費する。

③1kgの牛肉の生産に
水10万リットルが必要なのに対し、
小麦は900リットル、
ジャガイモは500リットルにすぎない。

④熱帯地方の森林伐採の80%の大半が
家畜の放牧や飼料のために使われる。

また、牛のゲップにより大気中に排出される
メタンガスも問題視されています。

地球温暖化を防ぐためには
CO₂(二酸化炭素)の削減が重要だと
しきりに言われています。

しかし温室効果の程度を見てみると
メタンガスはCO₂の25倍もあります。

さらに、メタンガスの半減期は
7年であるのに対し、
CO₂の半減期は100年以上かかります。

つまり、温暖化問題を考えるならば、
メタンガスの削減の方を優先して考える方が
より効率的だということです。

実際、動物ベースの食事を続けると
地球温暖化が18%進むと指摘されています。

このように肉食生活の普及は
環境問題の悪化を促す
大きな要因のひとつになっているのです。

実は動物性タンパク質の大量摂取は
問題は環境破壊にとどまらず、
貧困問題にも影響を及ぼしています。

例えば、食肉を生産するたに
自給自足の耕作地を取り上げ、
飼育場に転換しています。

つまり、耕作地を取り上げられた人たちは
不幸と苦しみ、空腹しか残らないのです。

世界人口の1割近くの人が
飢えに苦しんでいる現状を鑑みると、
これも由々しき問題だと言えます。

このような大規模な環境破壊や
貧困問題を引き起こしつつ、
膨大な利益を得ているのは、
システムを運用している一部の裕福層であり
そこで生産された食肉などにお金を払い、
私たちはおいしいおいしいと言って
食べているのです。

全く肉を食べない
ベジタリアンやビーガンになろうという気は
全くありません。

でも健康問題や環境問題、
貧困問題を考えると、
せめて、家での食事は
肉類を食べることを減らすことを
意識することも必要かもしれません。

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