ブログ：ムダな時間は必要

私は以前、
無駄な時間をできるだけなくすことが
よいことだと思っていました。

高校時代などは、
休む時間があるんだったら
勉強しようと思っていたくらいです。

もっとも実際には、
休憩もとらずに勉強をやり続けることなど
できませんし、
やったとしても効率が極端に下がることは
今ではわかります。

でも学生時代は
そうは思っていませんでした。

実際、夜中の2時、3時まで
勉強をしていましたが、
ほとんどは眠気との闘いであり、
参考書が1ページも進まないということも
しばしばでした。

当時は眠ってしまうのは
根性が足りないからだと思っていたので
そんな非効率な勉強の仕方を
延々繰り返していました。

ナポレオン睡眠にも憧れていたので
3～4時間の睡眠時間でも大丈夫なように
練習もしたりしていましたが、
全くだめでした。

よく朝食を食べながら寝ており、
母親に怒られていたのを思い出します。

休息が重要だと
本気で意識するようになったのは、
40歳を超えてからではないでしょうか。

今では、
「早く終わるように少し休む」という意味も
実感としてよくわかります。

やろうと思えば2～3時間続けて
仕事をすることは可能です。

明らかに疲れているのがわかりますが、
ついきりのいいところまでと思い、
やり続けてしまうのです。

これがかえって効率を下げ、
結局、すべてを終えるのが
遅くなってしまうのです。

今ではこまめに休憩を取りますし、
病院でも午後15分程度の仮眠を
取るようにしています。

そのさい大切なことがあります。
それはボーッとしている時間を
作るということです。

せっかくの休憩時間に
スマホやパソコンを開いてしまうと
結局、頭を使うことになり
休息になりません。

今は誰もがスマホを使っている時代です。

子供たちが家に来ても、
絶えずスマホを手にしていますし、
テレビを見ながらでもスマホを見ています。

そこには以前のような
さりげない会話など
入り込む隙間はありません。

もっともスマホは人と会話をする時間を
奪うだけではなく、
ボーッとする時間をも奪ってしまうのです。

これは由々しき問題です。

なぜならば脳は、
ボーッとしている時間で
蓄積された情報の再構築や
気づきを促したりしているからです。

実際、ふとアイデアが浮かぶのは
ボーッとしているときです。

ですからアイデアが浮かびやすい場所として
4Bが有名です。

4BとはBathroom、Bed、Bus、Barです。
つまりトイレ、寝室、移動中、酒場です。

しかし今は便座に座ると
スマホを見始める人が
いるのではないでしょうか。

さすがに他人が用をたしているところを
見たことはないので、
定かではありませんが。

また寝室まで持ち込んで寝る前に
見ている人も少なくないようです。

移動中の電車の中では言うまでもなく、
ほとんどの人がスマホを見ていますし、
外を歩きながら見ている人も普通にいます。

さすがに複数人でお酒を飲みながら
ずっとスマホを見ている人は
ほとんどいません。

相手がいればスマホは見ないのかと思いきや
そうでもなさそうです。

喫茶店などでは
ずっとスマホを見ているカップルを
よく見かけます。

多分、お酒を飲むと気分がよくなるので
そのときはいろいろと話しをしたくなるので
スマホにあまりとらわれなくなるのでしょう。

お酒を飲みながらの会話は
酔って思考回路がゆるゆるになっているので
いろいろなアイデアが浮かび、
結構楽しいものです。

もっとも私の場合、
そのときのアイデアは思い出せなかったり、
書いておいて後で見返したとしても
さほど面白くなかったりすることが
しばしばですが。

いずれにせよ、
4Bはアイデアの宝庫であり、
あれこれ集中して考えている時間よりも
ある意味、重要な時間なのです。

このような一見ムダに思える
ボーッとしている時間が、
今、急速に失われてしまった気がします。

昔はちょっとした隙間時間ができると、
ボーッとしていることが
多かったように思います。

しかし今は違います。
ほんの僅かな隙間時間ができれば
すべてスマホが持って行ってしまいます。

企業はいかにしてスマホを手に取らせ、
夢中にさせることで利益を上げるかに
あの手この手で仕掛けてきます。

当然、それに乗ってしまう人が大多数であり
まさに思う壺状態です。

子供には高校になるまで
スマホは持たせないとか言っていた時代が
懐かしいです。

今は幼児がスマホを使ってゲームをし、
小学生がタブレットで勉強する時代ですから
本当に世の中は変わりました。

この子供たちが成人したとき、
どのようになっているかが心配ですが、
その頃まで私は生きているかどうかも
わかりませんのでよしとしましょう。

私のような考えの人間は時代遅れと言われ
取り残されていくのでしょうが、
そんな時代の中に取り込まれ
利用されるのもいやなので、
時代遅れ人間のまま
これからも生きていくことにします。