ブログ:肥満は伝染する

10年くらい前に買った
「つながり」(講談社)という本ですが、
読もうと思いながらも
少々読みにくさがあり
なかなか読み切れませんでした。

でも、いろいろなところで
引用されているため、
それを見る度に「あの本か」と
思い出していました。

そしてついに読む気になり、
年末に一気に読みました。

サブタイトルは
「社会的ネットワークの驚くべき力」です。

この本を読んで、
改めて社会的ネットワークにおける
「つながり」の影響力の大きさを
認識させられると同時に、
いかに多くのことが
つながりを通して「伝染」するかが
わかりました。

この世の中の人とは、
友達(知り合い)の友達の友達‥と
続けて行くと、
世界中の誰とでも
いつかはつながることになります。

例えば大谷翔平や藤井聡太と
直接の知り合いだと言う人は
多分いないと思います。

でも、何人くらい友達を経ると
このような有名人とつながることが
できるでしょうか?

答えは6人です。

私はこれを知って、
そんなに少ないと?と
思ってしまいましたが
皆さんも多分同じ印象を
持ったのではないでしょうか。

これが有名な「六次の隔たり」です。

では、今度は
影響力について見てみましょう。

口コミでも幸福感でも
何でもよいのですが、
相手に対して影響を及ぼすのは
何次の友達まででしょうか?

ここにもルールがあります。
それが「三次の影響ルール」です。

つまり、影響力は三次まで広がる傾向が
あるということです。

例えば、
直接つながっている人(一次の隔たり)が
幸福だと本人も約15%幸福になり、
二次の隔たりでは10%、
三次の隔たりでは6%幸福になるという
いうことです。

また、
直接つながっている人が孤独であれば、
あなたは約52%余計に孤独を感じ、
二次の隔たりだと25%、
三次だと15%影響を受けるのです。

なお、四次の隔たり以降になると
その影響力はなくなります。

このように幸福や孤独といった感情は
つながりを通して伝染することが
知られています。

ただし、これらの感情は
通常、1年以内に元の状態に戻ります。

つまり友人の幸福は
人に影響を及ぼしますが、
その影響は1年程度しか持たないのです。

なぜならば、そこには
遺伝などいくつかの要素が
関与しているからです。

ある研究によると、
長期的な幸福の50%は遺伝的な設定値に、
10%は環境に、
40%はその人がどう考え
何をしようとするかに依存していると
いうのです。

実際、宝くじで10億円当たり
とても幸せな気持ちになっていても、
交通事故で半身不随になり、
ひどく落ち込んでしまったとしても、
1年~2年もすれば幸福も悲嘆も
もとの状態に戻り、
普通の人と差がなくなります。

つながりの影響は
夫婦の間でも当然見られます。

結婚生活により男性の寿命は7年延び、
女性の寿命は2年延びると言われており、
これは医療から受ける恩恵よりも
大きな影響です。

その理由として、
男性は結婚することで、
社会的支援を受けられたり、
妻を介してより
広い世界とつながるからであり、
女性の場合は経済的に
豊かになるからだと言われています。

さらに妻を失って1年以内の男性は
死亡リスクが30~100%も上昇しますが、
これは数年のうちに峠を越えます。

また、つながりにより
健康も伝染することが知られています。

例えば、平均的な肥満者の友人、
友人の友人、そのまた友人も
肥満者である可能性は、
偶然よりもはるかに高くなります。

ただし三次の隔たりを越えると
その影響は見られなくなります。

また、互いに認め合う友人が肥満になると、
自分も肥満になるリスクが3倍近くになります。

これは見ているだけ
ミラーニューロンが反応するため
将来同じ行動が現れやすくなることが
影響している可能性が指摘されています。

行動の模倣は意識的な場合も
無意識的な場合もあります。

もっとも、相手が友達だと思っていても
自分はそうは思っていない場合は、
相手からの影響は受けません。

ですから、肥満が伝染するのは
様々な要因が関与した結果だと思われます。

伝染するのは肥満だけではなく、
腰痛もそのひとつだと言われています。
(続く)

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