ブログ:錯覚、誘導、読心術

先日、本格的な?マジックを
披露する機会がありました。

小さな会場に20名近い人が集まり、
1時間ほどでしたが楽しい時間を
過ごさせていただきました。

テーマは「錯覚」です。
人は錯覚だとわかっていても錯覚します。

最も有名なもののひとつが
フック錯覚と呼ばれるT字形の錯覚です。

T字の縦と横の長さが
全く同じであるにもかかわらず
どうしても縦の棒の方が
長く見えてしまうという錯覚です。

先ずはこのT字錯覚を見せ、
人は頭ではわかっていても
そうは見えないことが
しばしばあると説明しました。

次に、カードを使って
同様の錯覚現象(マジック)を
お見せしましょうと言って
6枚のカードを取り出しました。

まず3枚の同じ黒のカード(♣2)を右手に
3枚の同じ赤のカード(♦A)を左手に、
それぞれを裏側にして持ちます。

その後、1枚ずつ表を見せて
赤と黒を確認しながら、
赤黒赤黒赤黒と
机の上に交互に重ねていきます。

6枚ともすべてを重ね終わったあと
表を向けて広げて見ると、
赤と黒が交互ではなく、
赤赤赤黒黒黒と
3枚ずつにちゃんと分れているという
マジックです。

次に表向きのままでカードを持ち、
赤と黒を1枚ずつ
机の上に置いていくのですが、
その際、
カードの左肩にある数字が見えるように、
少しずらした形で
交互に重ねていきます。

これだと、
赤と黒が交互になっているのが
はっきりとわかります。

ところが全部をそろえて重ねた後に
そのままもう一度広げてみると
これまた赤と黒が3枚ずつに
分れているのです。

ひとつひとつの動作は明瞭であり、
怪しげなところは全くありません。

まずはちょっとした
錯覚気分を味わってもらいました。

二つ目のマジックは、
相手の心を誘導し、
こちらの思っているものを頭に描いてもらい
それを当てるというものです。

最初に好きな色や数字を言ってもらいます。
今回は「青」と「3」でした。

次にヨーロッパの都市と
花の種類を思い浮かべてもらいましたが、
これも最終的には
「パリ」と「バラ」になりました。

机の上には最初から置かれていた
紙に包まれたチップがあります。

この紙を剥がすと
中からチップが出てきます。

そのチップの縁は「青」であり、
表には「3」「パリ」「バラ」が
描かれているのです。

これは人の思考のクセを利用した
メンタルマジックです。

本人は、すべてを自分の意思で
選んでいるように思っているのですが、
実際には誘導されているだけのことです。

このように人はいとも簡単に誘導され、
しかも誘導されているという事実に
気づかないのです。

日常生活でも
「誘導」は頻繁に行なわれています。

例えば、コンビニの棚に商品を置く場合、
売りたいものを目線の高さに置けば、
その商品は売れるようになります。

これなども、
私たちが知らず知らずのうちに
誘導されている典型的な例の一つです。

話しを戻しましょう。

最後は読心術であり、
本を使った有名なマジックです。

230ページ程度ある文庫本の小説を
参加者の一人に手渡します。

もちろん、ごく普通の文庫本です。

他の参加者に、
任意のページを選んでもらい、
本を手にした人は
そのページの最初の数行を読み、
内容をイメージしてもらいます。

よく、最初の文字だとか、
最初に出てくる漢字を
読み取るというのはありますが、
これは、内容を読み取るというものです。

イメージされた内容を私が読み取り、
みごとに取り言い当てました。

これは2回やりましたが、
2回ともうまくいきました。

これなども、
読み取っているという「錯覚」です。

もちろん実際には
イメージを読み取ることなんて
できるわけありません。

でも、巧妙なトリックを使うことで
何ページに書かれている内容であろうと、
読み取っているように思わせることが
ができてしまうのです。

いつも思うのですが、
マジックを考える人は
本当に頭がいいと思います。

通常の思いや反応を逆手に取り、
見事に人を錯覚させたり、
思いを誘導したりするのですから。

この発想を、
心理療法やカウンセリングにも取り入れ
実践しているのが
私のやっているホリスティックコミュニケーション実践セミナーです。

いかに相手をその気にさせるのか、
いかに人の判断や行動に変化をもたらすのかに
大いに応用できるのです。

もっとも詐欺などにも悪用できるので
その意味では危険性もあります。

でも、参加者のみなさんは
みんな善人だと信じていますから
たいていのことは教えています。

終了後は、私の作った切り絵を
何人かの人にプレゼントしました。

これは私が意図したものではなく、
主催者が私の切り絵を勝手に持ち去り、
それを無断で配ったというだけのことです。

まあ、私も切り絵をすること自体に
興味があるだけで、
できあがってしまった作品には
もう興味がないので、
それはそれでいいんですけどね。

終了後は飲み会も催され、
私もお酒を大いに楽しませてもらいました。

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