ブログ:組織内での対応は難しい

前回は、家族に対してのカウンセリングは
あまりうまくいかないという話をしました。

第三者のクライエントに対しては
客観的で冷静な態度がとれますが、
家族の場合は心の距離感が近く、
様々な思いや感情をすでに持っているため
ちょっとした言動に対して
つい感情が動いてしまうからです。

実はこのことは家族以外でも起こりえます。
それは自分が所属している組織です。

組織での人間関係は大切なのですが、
その一方で必ずと言ってよいほどあるのが
人間関係のトラブルです。

家族とは異なり、
プライベートの時間まで
一緒にいるわけではないので、
仕事だと割り切れば
嫌な人であってもなんとか付き合えます。

最悪、どうしても耐えられない場合は
退職という手段をとることもできます。
(夫婦でも離婚という手段はありますが‥)

しかし現実は、そんな我慢したり
逃げたりすることばかりというわけにも
いきません。

そんなときには上司に相談したり、
みんなで話しあったりすることになります。

職場の場合、
仕事さえうまくこなせれば
それでよいというところがあります。

家族ほど密ではない分、
客観的かつ冷静に見ることも
ある程度までは可能でしょうし、
仕事を成し遂げるという目標もあるので
多少の不快感や嫌悪感は
コントロールせざるをえないところも
あります。

その意味では、
家族内の問題よりは
対処しやすいかもしれません。

そうは言いながらも、
やはりうまくいかない場合もあります。

そんなときは、第三者に入ってもらい
客観的な視点で対処してもらうのが
よいかと思います。

第三者のカウンセリングをするのと同様、
組織でもコンサルタントやコーチに
関与してもらうのはよい方法です。

また、組織内にそのようなトラブルを
解決するような部署があるのであれば、
その人たちに中立的な立場で
関与してもらうというのも
よいかもしれません。

以前、緩和医療学会において、
組織の問題やトラブルを専門に解決する
セラピスト3人の講演を聴きました。

とても素晴らしい方々であり
実績も十分あったのですが、
ある疑問が浮かんできました。

それは、そのセラピストが所属している
組織でのトラブルは
どう対処するのだろうかという疑問です。

講演後の質疑応答で
その件をたずねてみたところ、
自分が所属している組織は
自分では対応はできないので
他の専門家に関与してもらっています、
と言っていました。

正直な答えだなと思います。

つまり、組織内のトラブルを
解決する専門家であっても、
自分が直接かかわっている組織のトラブルは
解決できないということです。

これは、家族療法で有名なカウンセラーが
自分の家族の問題は解決できないのと
同じです。

実際、家族療法の専門家の家庭が
崩壊しているとか、
結婚カウンセラーが
自分自身の離婚問題でもめているという話は
よく聞きます。

でも、そのような状況になるのは、
人がかかわる限り当然のことであり、
何ら非難されることでありません。

誰でもそうですが、
他人のことはよく見えますし、
客観的にも対応できます。

でも自分のことになると
そうはいかないのです。

どうしても
主観的、感情的、自分中心の見方に
なってしまうのからです。

できるだけ、他者の視点で考え、
客観的に自分を見つめることが
大切だとか言いますが、
それは一人で冷静になっているときに
できることです。

自分の感情を揺さぶる人が目の前にいたり
イライラする状況に置かれている場合、
なかなか冷静かつ客観的に見ることなど
できないのが人間という生き物なのです。

自分の感情を
うまくコントロールできるという人なら
ある程度はできるかもしれませんが、
そのためにはかなりのトレーニングが
必要だと思います。

すべてを自分だけで解決しなければ
ならないわけではないので、
そこまで徹底して自分を
コントロールしようとしなくても
よいのではないでしょうか。

第三者がそこに入るだけで、
ずいぶんと冷静になれますし、
違った視点でものごとが見れたり、
新たな気づきもあるものです。

ですから、自分が絡む問題は
第三者の助けを借りるのがよいと
私は思っています。

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