ブログ:人はなぜウソをつくのか②

(前回から続く)
他にもよくあるウソが、
逃げるためのウソです。

例えば、
行きたくない飲み会に誘われた場合、
「ちょっと用事があるので」と
ウソをつくのはごく一般的です。

また「いつか会いましょう」
「いつか行きます」と言って、
その場をやり過ごすためのウソも
よく言います。

実際には「いつか」という日は
永遠に訪れません。

ただたんに先送りをして
相手がそのまま忘れ去ってくれるか
あきらめてくれるかを待つための
方便に過ぎません。

これらは、逃げるためのウソですが、
自分を守るという目的があるので
必ずしも悪いウソではありません。

もちろん、
多少は本当に会ったり行ったりする
気持ちがあったかもしれません。

でも、それが本気であれば
具体的な日にちをその場で決めるとか
何日以内に連絡するとか言うはずですが、
そこまでの本気さはないので、
自然消滅してもいいやという思いから、
「いつか」という言葉でごまかすのです。

もっとも、このような場面では
ウソを言わず真実を言ってしまったら
人間関係を壊すことにもなりかねません。

飲み会に誘われて
「行きたくないので行きません」
「もう誘わないでください」などと
本音を言ってしまっては、
その後の関係性が
ギクシャクするであろうことは
明らかです。

ですから、
相手に不快な思いをさせないためにも
このようなウソは必要なのです。

また相手を傷つけないためのウソもあり、
これも悪いとは言えません。

例えば、倦怠期に入っている恋人同士が
「私のこと嫌いになった?」と問われると
「そんなことはない、今も好きだよ」
などとウソを言います。

実際には「嫌いではない」程度かも
しれませんが、
まさか「今は普通」などとは言えないので
ウソをつかざるをえません。

もちろん、好きなところもあるという意味で
「今も好き」と言えないこともありません。

このへんは、自分の言葉を
どう解釈するかにより
ウソか真実かが分れるのです。

ウソと真実の境界線は
とても曖昧なものなのです。

また、末期がんの患者さんに対しては、
家族はもっと露骨なウソをつきます。

家族だけが知っていて、
本人はがんであることを
知らないというケースは
日本では今もまだ見かけます。

家族からすれば、
本人が末期がんだと知れば
ショックを受け、きっと落ち込むだろうから
がんと言わずに他の病名を使って
ウソをつくのです。

これは明らかに
ウソをついている自覚はありますが、
あくまでも相手を思いやってのウソですから
必ずしも責められません。

ただ実際には、
がんだと知りショックを受けたら、
家族の方がどう対応していいのか困るし、
万が一自殺でもされたら大変なので、
だから真実は伝えたくないという
心理もあります。

もしそう考えるならば、
これも相手のことを思ってのウソではなく
自分たちの戸惑いや苦労から
「逃げるため」のウソと
いうことになります。

また、相手を勇気づけたり
励ましたりするためのウソも
悪いウソではありません。

仕事ができない部下に
「君はやればできる人間だと思っている」
と言うのは常套句です。

本当はそうは思ってはいなくても
相手を励ます意味で
これは必要なウソだと言えます。

他にも自分をよく見せるためのウソも
しばしば見かけます。

できるかどうかわからないのに
「ハイ、できます!」と
ハッタリをかましたり、
知りもしないことを
「知っています」と見栄を張ることは
日常でよく見られます。

まあ、このへんになると
ウソを言うつもりではなく、
つい断言してしまったという場合が
ほとんどだと思います。

もっとも、
「できます!」と言った背景には、
自分に対して決意表明をして
やる気を鼓舞するという意図もあるので
これも悪いウソとは言えません。

こうしてみると、
人はしばしばウソを言っていますが、
意図的にウソを言うというのは
意外と少ないかも知れません。

また、そのほとんどは、
自分も意識することなく
なんとなくついてしまう
「許されるウソ」のような気もします。

その背景には、
自分は正しいと思いたい、
自分をよく見せたい、
この場からうまく逃れたい、
相手を傷つけずにうまく収めたい、
といった無意識レベルの思いがありますが、
これらは必ずしも悪いことではありません。

人は毎日200回ウソを言うと言われますが、
それも確かにうなずけます。

要するに、
人はみなウソつきだということです。

皆さんはどう思いますか。

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