ブログ:再生回数300万回越え

先日、奈良で行なわれた
日本サイコオンコロジー学会に
行ってきました。

大会長は、関西医大心療内科時代の
後輩であった四宮敏章先生でした。

彼は今、奈良県立医科大学で
緩和ケアセンター長を務めています。

もともと心療内科医だった彼は、
教授のすすめもあり
緩和ケア医になりました。

昨年「また、あちらで会いましょう」
(かんき出版)という本も出しています。

彼の特筆すべきことは
「ドクタートッシュ緩和ケアの本流」という
YouTubeです。

現在、登録者数が12万人以上、
最も多い再生回数を記録した動画は
300万回を超えています。

それが
「人がなくなる直前に現れる5つの兆候」です。
緩和ケア医であれば
誰でも知っている当たり前のことですが、
一般の人からすると
全く知らない世界のひとつかもしれません。

特に、自分自身や家族が
近い将来亡くなる可能性が高い場合、
とても関心が高いテーマです。

人が亡くなる直前に現れる
5つの兆候とは以下のものです。

1,意識混濁
2,死前喘鳴
3,下顎呼吸
4,四肢のチアノーゼ
5,橈骨動脈の触知不可

亡くなる1~2週間前頃から
意識が朦朧となってきます。
これが意識混濁です。

人は状態が悪くなり飲み食いが
ほとんどできなくなると、
天然の麻酔がかかる仕組みになっています。

その結果、朦朧となるのですが、
これにより最後の苦しみを
あまり感じずにすむようになっています。

ですから、最後のときを迎える際には、
点滴などの余計なことをしない方が
よいと言われています。

ましてやむくみや腹水、胸水がある場合は
なおさらのことです。

しかし、緩和ケア医以外の医者のほとんどは
最後まで点滴を続ける傾向があります。
これは医者の「クセ」のひとつです。

その結果、意識混濁が起こりにくくなり、
苦しい思いを長引かせて
しまうことになるのです。

2番目は死前喘鳴(しぜんぜんめい)です。

人は意識がなくなり昏睡状態になると
唾液や痰がうまく飲み込めなくなるので
呼吸をするたびにゴロゴロという
音がするようになります。

これが死前喘鳴ですが、
本人は意識がないので苦しくはないのですが
傍にいる家族からすると
苦しがっているように感じてしまいます。

亡くなる数日前くらいから
見られることが多いのですが、
すべての患者さんに起こるわけでは
ありません。

三つ目は下顎呼吸ですが、
これは亡くなる前日くらいから
見られる呼吸です。

一般的に状態が悪くなると、
最初は呼吸が速くなってきます。

その後少しずつ呼吸回数が減り、
最終的には呼吸が止まります。

その過程で、
顎を上下に動かして
アップアップするような呼吸の仕方を
するようになります。

これが下顎呼吸であり、
この呼吸状態になると、
今日、明日くらいかなと思います。

もちろん個人差があるので
下顎呼吸のまま数日頑張る人もいれば、
下顎呼吸になった10分後には
呼吸が止まっているという人もいます。

いずれせよ、
普段と違った呼吸の仕方になってきたら
そろそろだというサインなのです。

四つ目が四肢のチアノーゼです。

チアノーゼとは手足の指先が
青紫色になる状態を言います。

これは血圧が低下し、
十分な酸素が手足の先まで
行き届かないときに起こります。

亡くなる前の人の多くに見られますが、
チアノーゼが見られるようになると
あと数日くらいといったところです。

最後が橈骨動脈の触知不可です。

いわゆる、手首の脈が
触れなくなるというものです。

上の血圧が50mmHgくらいあれば
脈は十分に触れるのですが、
これが30や20になると
血圧を測定するのも困難になり、
脈もほとんど触れなくなります。

ただし、手首の脈が触れていなくても
肘の裏側(正中動脈)の脈は
触れることがあります。

ここの脈も触れなくなるようだと
もう数時間以内かなと思います。

あと、亡くなる前日くらいには
尿も出なくなりますので、
これも一つの目安になります。

いずれにせよ、
人は徐々に亡くなっていくイメージであり、
ドラマでよく見るような、
最後に一言述べて、
ガクッとなって亡くなるようなことは
ありません。

医学的な視点からすれば、
ガクッとなったときには
まだ生きている状態だと思われます。

今述べたような兆候以外にも
よく見られるのがせん妄です。

せん妄とは、
どこにいるかわからなくなったり、
変なものが見えたり聞こえたりといった
幻視や幻聴が現れる状態を言います。

モルヒネなどの副作用で起きることも
しばしばありますが、
その場合はたいてい元に戻ります。

しかし状態が悪くなるにつれ、
せん妄は元に戻らなくなります。

最後に近づいてくると
内臓の働きが悪くなるのと同様、
脳の働きも低下し、
それが原因で起こる症状の一つです。

もっとも意識が低下してしまえば
そのときには話もできないので
せん妄があろうとなかろうと
あまり関係なくなりますが。

いずれにせよ、
このような症状が出てくると
最後が近づいてきたと医者は思います。

それにしても、
この動画が300万回越えとは
すごいですね。

私のYouTubeで最も再生回数が多かった
「夫の死により救われる妻たち」
約2000回です。

300万回にはわずかに?届きません。
もう少し頑張ります。

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