ブログ:あえて罠にはまるのもよし

前回は、
人は自分に都合のよいデータばかりを集め、
都合の悪いデータはスルーするという
「確証バイアス」についてお話をしました。

今回はその続きです。

誰もがそうですが、
人は自分が信じたように
行動をします。

自分が信じたことが
もしかしたら確証バイアスによる
思い込み?などと考える人は
まずいません。

だからこそ間違った方向に
どんどん突き進んでいってしまう
危険性があるのです。

もっとも確証バイアスがあるからこそ
楽に生きられるという側面もあります。

例えば、パソコンを購入するさい、
なんとなく良さそうとだと思ったら、
それをすぐに買う人と
徹底的に他の製品と比較検討して
最良のものを選ぼうとする人がいます。

この両者を比べた場合、
明らかに前者の方が幸福度は高いのです。

なぜならば、完璧を求めることに執着せず、
十分と思えるところで満足できるので、
その分、時間や労力を使うことなく
十分に楽しめるようになるからです。

もちろん、そこには
自分の勝手な思い込みという
確証バイアスが入り込んでいるため、
細かく見ていくと、
実は意に沿わないパソコンを
買ってしまっている可能性もあります。

でも、それが致命的な問題でなければ
「まあ、いいか」とすぐに順応し、
いつも通りの日常を過ごすことができるので
何の問題もないのです。

ですから、確証バイアスは
日常を楽に生きていく上では、
必要な「思考のクセ」だとも言えます。

また、確証バイアスだとわかっていても
自分の信じる行動を
やめられないという場合も多々あります。

例えば儀式や「験を担ぐ」という行為です。

運動選手などは試合に勝ったら、
ひげを剃らないとか、
重要な会議をうまく乗り越えるために
勝負パンツ??をはいていくとかです。

本来であれば、
ひげを剃っても試合に勝てるのか、
普段どおりのパンツをはいていっても
会議をうまく乗り越えられるかを
確認する必要があります。

でも、そんなことを
わざわざ確認する人などいません。

さほど負担にも問題にもならず、
また、本人の気持ちが
それで落ち着くのであれば、
儀式や験担ぎであっても、
それを信じてやり続ければよいのです。

サプリメントや○○療法で
病気や症状がよくなったというのも
同じ原理です。

実際にはそのような治療を受けなくても
よくなることはたくさんいるでしょう。

しかし、法外の値段であるとか
リスクが高い方法だという場合を除けば、
本人がそれでよくなると
信じているのであれば、
あえて確証バイアスに陥っていることを
指摘する必要もなければ
認識する必要もありません。

逆に、その治療法が単なる暗示効果だと
わかっていても、
それをあえてしないという試みは、
その効果を信じている人にとっては
それなりのストレスになります。

すると今度は、
このサプリメントを飲まなかったから
きっと症状が悪くなるにちがいないという
確証バイアスが働き、
大方よくなっていたとしても、
ちょっとした症状の悪化に目が向き
やっぱり私には
このサプリが必要なんだと、
さらに思い込みを強めてしまうことも
十分にあります。

ですから、大きな問題がない限り、
たとえそれが確証バイアスだと
わかっていても
それをやり続ければよいのです。

その一方で、
確証バイアスに気づく必要がある場合も
多々あります。

例えば自分は内向的だ、
自分には価値がない、
といった思い込みです。

いかに自分は内向的なのか、
いかに自分は価値がないのかという
証拠ばかりを集め、
ほらやっぱり自分はダメだと確信するのが
確証バイアスです。

このような確証バイアスに気づくためには、
自分の思いと正反対の考えに関する
証拠集めをするのです。

例えば自分が内向的だと思っている人は
「自分は社交的である」という仮説の
証拠集めをすればよいのです。

すると、趣味の仲間といるときや
ワインを楽しんでいるときは
社交的に振る舞えるといったように
裏付けとなる事実が
それなりに出てくるものです。

こうすることで、
自分は内向的だという思い込みが
必ずしもそうではないと気づけるので、
確証バイアスが緩むというわけです。

このように確証バイアスには
よい面もあれば悪い面もあります。

実際には、
知らず知らずのうちにしてしまっている
判断や行動の背景にある確証バイアスには、
そう簡単に気づけません。

だからこそ、
ネガティブな思いをもっていたり、
自分が頑なになってしまっていると思ったら、
自分は確証バイアスの罠に
はまっているのではと考え、
「反証」に目を向けてみることが
大切になるのです。

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