ブログ：「不思議」を信じ込ませるテクニック

前回は「不思議な現象」の背景にある
錯覚についてお話をしました。

今回は「不思議な現象」を作り出す方法、
つまり、相手に「不思議」を信じ込ませる
コミュニケーションテクニックについて
お話しさせていただきます。

例えば、自分が普段は表に出さない部分や
普通の人が知り得ない情報を
相手が知っていたら、
この人は私の心が読める？と、
思ってしまうかもしれません。

実際は読めるのではなく、
読まれていると錯覚させるように
誘導しているだけです。

例えばこんな言い方です。
「あなたはとても思いやりがある人ですが、
ときとして自分の中に利己的な
傾向を見ることもありますよね」

「普段は物静かで控えめですが、
状況によっては、
その場を大いに盛り上げる役に回ることも
できる方ですね」

ぱっと見で、その人が社交的なのか
内向的なのかはある程度わかります。

また、人は誰でも
正反対の部分を持っています。

ですから、
見た目と逆のことを付け加えれば、
普段は他人には決して見せない側面が
この人はなぜわかるの？と驚かれるのです。

また、多くの人に当てはまることを
伝えるというテクニックも
よく用いられます。

「若い頃に抱いていた夢は
どうなってしまったのだろうと
思うことはよくありますよね。
でも今は、決ったやり方ではなく、
自分のやり方でやればいいと、
そんなふうに思っている部分が
心の奥底にはあるのではないでしょうか」

言われた方は、自分の人生を振り返り
多少なりとも思い当たることがあれば、
当たっていると思ってしまいます。

また、多くの人は「自分のやり方でやる」と
思っているはずなのでこれも当たります。

さらに巧みなのは、
そうは思っていないと感じたとしても、
「心の奥底にはあるのでは」と言われれば、
自分では意識化されていないレベルで
あるかもしれないと考えられるため、
言われたことを否定できないのです。

またパーナム効果を利用するのも
よく見られる手法です。

これは、人の性格を巧みに一般化し、
ほとんどの人が、自分に当てはまると
思ってしまうような言葉を
並べるという方法です。

「あなたは人から好かれたいという
思いがあります」
「自分にはまだ使っていない能力が
たくさんあるのに、
周りの人はその能力を
必ずしも十分に評価してくれないと
感じる傾向があります」

また、曖昧な事実を言うことで
あたかも自分しか知らないことを
この人は知っていると、
思わせることも可能です。

「‥胃腸にやや問題がなる
兆候を感じます」
「家族や親戚、身近な人のどなたかが
最近亡くなっていませんか？」

胃痛や胃の不快感、もたれ感、
下痢や便秘気味という人は多いので
こういう言い方をすると
たいていの場合は当たります。

また身の回りの人で、
友人や親戚まで含めれば
一人や二人亡くなっているものです。

さらに「最近」という言い方も
数日前から数年前まで、
どうにでも解釈できてしまうのです。

また、多くの家で見つかるものを
題材に使うこともできます。

他界した家族が持っていた装飾品、
昔、定期購読していた古い雑誌、
どこで使うかを忘れてしまった鍵、
壊れた時計‥

これらの言葉をちりばめれば、
あたかも家の中にあるものが
見えているかのように
思わせることも可能です。

また予言に関しいても
いろいろなテクニックがあります。

例えば確実に起こる予言は
以下のようなものです。

「あなたは今後の人生で
新たな出会いが待っています」
「ちょっとした病気やケガの
兆候が見て取れます」

この言葉には「いつ」という
時間的なことには触れていません。

近い将来なのか、3年後や5年後なのかは
わかりませんが、
ほとんどの人は、新たな出会いや
ちょっとした病気やケガはあるものです。

もしすぐに起これば
見事に予言は当たったことになりますし、
数年後に起こったならば、
そんな先のことまで見通せたのだと
思ってくれるのです。

また、信頼感ができていると、
相手は言葉を拡大解釈してくれます。

例えば、昔の知人に久しぶりに会ったことを
「新たな出会い」と拡大解釈し、
自分ではなく、
家族がケガや病気をしたという場合でも
予言が当たったと拡大解釈してくれるのです。

予言が当たる可能性を信じていると、
知らず知らずのうちに
それが当たっている方向に
解釈してしまうのはごく普通のことです。

他にもたくさんのテクニックがありますが、
要するに、このように曖昧さや
相手の都合のよい解釈を促すような
言い方をすることで、
相手は自分の心が読まれていると
勝手に錯覚してくれるのです。

皆さんは心当たりがありませんか？