ブログ:「不思議な現象」の心理学

先週は「あっち系」の話を少ししましたが、
今週は「不思議な現象」の背景にある
錯覚や思い込みについて
お話したいと思います。

よく、自分の勘は当たるとか、
自分は結構、相手の気持ちが読めると
「誤解」している人がたくさんいます。

でも、当の本人は全く疑うことなく、
本当にそう思っていますし、
中にはスピリチュアルな力が強いと
信じて疑わない人もいます。

例えば虫の知らせです。

Aさんのことをふと思い出したら、
何十年ぶりにAさんから電話があったとか、
Bさんの夢を見たら、
次の日にBさんが亡くなったという
知らせがあったという話はよく聞きます。

また、虫の知らせではありませんが、
ちょっとしたトラブルで予定していた飛行機に
乗れなかったが、
その後、その飛行機が墜落したのを知って
死ななくてすんだという話も
本や週刊誌では時々読みます。

このようなことがあると
明らかに不思議な現象として扱われますが、
実はそうではありません。

例えばふとAさんのことを思い出したりしても
電話がかかってこなかったことは
なかったのでしょうか。

実際には、そのような状況の方が
圧倒的に多いのです。

もっともそれがBさんでも
Cさんでもいいのですが、
要はふと心に浮かんだ人から
連絡がなかったという事実の方が
実際にははるかに多いということです。

さらに、Aさんらのことを
思い浮かばなかったにもかかわらず
Aさんから突然電話があったということも
当然あります。

私たちは、Aさんのことを思ったあとに
電話があったりすると、
これは強いインパクトをもって
記憶に残ります。

しかし、それ以外のパターンの事実は
すぐに忘れ去られます。

人は毎日、無意識レベルで
数万回以上の決定をしていると
言われています。

ましてや無意識レベルで
何かを思い浮かべるとなると
その数はどれくらいになるか分かりません。

これは確率の問題なのです。

宝くじを買ったら、
それがたまたま1等だったということは
稀ではあっても起こりえます。

自分に1等が当たるかどうかは
わかりませんが、
宝くじを買ったすべての人のうち
誰かに1等が当たるという出来事は
不思議な現象でも何でもなく、
確率的には十分にあり得ることなのです。

こんな事実をご存じでしょうか。

30人のクラスのなかで
同じ誕生日の人がいたら、
かなり稀なことが起きたと
思うかもしれません。

しかし、その可能性はなんと
70%以上あります。

つまり、30人のクラスの中で
同じ誕生日の人がいない方が
少ないのです。

確率的には23人を超えると
同じ誕生日の人がいる可能性は
50%を越えますし、
41人以上だと90%を越えます。

このように不思議な現象だと思うことでも、
確率的に現実を見てみると、
たまたまそういうことが起こる可能性が
十分にあり得る出来事だったと
いうことです。

自分は人の気持ちが分かるというのも
同じことです。

相手の気持ちがわかるという場合は、
相手の表情や雰囲気、
ときにはその人の家庭環境など
かなり情報量が多いので
そこからある程度察しをつけることは
可能かもしれません。

そうは言っても、
いろいろな研究からわかっているのは、
相手の思いがわかったと思っても
それが本当に正しいのは
3~4割程度だということです。

つまり半分以上は
自分がそうだと思ったことは
間違っていると言うことです。

ところが、現実場面では
自分の思いが正しいか否かを
直接確かめることは
めったにできません。

たま、確認したら
ちょっと違っていたことがわかった場合は、
この事実はスルーされます。

自分が正しかったことは記憶に残り、
自分が間違っていたことは
なかったことにされるというのが
人の無意識のクセなのです。

このようなことは日常生活で
しばしば生じることです。

ふと目を覚ましたら
4時44分であることがよくあるとか、
私が出かける日は
必ず雨が降るといったこともそうです。

これも同じことで、
ふと目を覚ましたときに
4時44分以外だったときの方が
圧倒的に多いはずですが、
そのような事実はスルーされるため
記憶に残りません。

出かけたときに晴れだった日も
自分の思いに反する事実なので
無意識になかったことに
されてしまうのです。

たまたま4時44分だったり
出かけたら雨に降られたという事実だけが
記憶に残るため、
私たちはあたかもそのようなことが
しばしば起こると錯覚してしまうのです。

人でもみんな、自分の信念に合うように
物事を理解、解釈し、
自分の意に合わない事実は
あたかもなかったかのように
記憶から抜け落ちるのです。

自分は勘がいいと思っている人や
人の心が読める方だと思っている人は
少々、注意が必要です

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA


    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください