ブログ:経済成長と自然破壊
これは最近読んだ本の中で、
久々に衝撃を受けました!
ジェイソン・ヒッケル著、
「資本主義の次に来る世界」(東洋経済)
です。
何に衝撃を受けたかと言うと、
資本主義の根幹をなす成長主義が
いかに自然を破壊し、
貧困にあえぐ国々の人々を
苦しめているかを知ったからです。
皆さんは世界の裕福層の上位1%の人たちが
全世界の富の50%を
所有しているということを
ご存じだったでしょうか。
一方で下層の50%の人たちは、
富はほとんど持っておらず、
所有する富は全体でわずか0.4%だと
いうのです。
この事実は、
あまりにも富が偏りすぎていることを
如実に表すものです。
しかしその一方で、
世の中を動かすのはお金だという事実も
認めざるをえません。
つまり、お金をたくさん持っている人が
世の中に影響を及ぼし、
政治を動かすことができるのです。
政治家や政治組織に寄付をすれば、
政治的決定に
便宜を図ってもらうことも可能でしょう。
マスコミやテレビのスポンサーになれば、
商品の宣伝をたくさんでき、
逆に都合の悪い情報は
流さないようにできます。
医学会や医学部の教室に寄付をすれば
教授や有名な先生の意向に
影響を及ぼすことができます。
WHO(世界保健機関)という国際組織ですら
寄付金でまかなわれているので、
製薬会社の意向が
大きな影響を与えるというのが現実です。
つまりお金があればあるほど、
自分の都合のよい方向に世の中を
持っていくことが可能だということです。
さらに問題なのは、
経済成長を永遠に続ける宿命にある
資本主義社会のもとでは、
儲けは「金持ち」のところに
どんどん集まるというシステムに
なっている点です。
そのため、世の中は「金持ち」の意向で
動いていると言っても過言では
ありません。
一方で、その煽りをうけるのが
自然環境と貧困国の人々です。
私たちは毎日スマホやパソコンを使い、
毎年のように新しい機種に買い換え、
企業もそれを煽るために
ありとあらゆる宣伝をします。
これらの製品を作る上で、
必要不可欠な原材料は
どこから調達されているのでしょうか。
実は、その大半を
アフリカや南アメリカなどの
貧困国からの採取に頼っていのるのです。
例えば、スマホに使われる
コルタンという鉱石の一種は
コンゴの鉱山で採掘されています。
電気自動車のバッテリーなどの使われる
リチウムはボリビアの山で採掘されています。
さらに毎年、1億5000万台の
廃棄されたコンピューターが
ナイジェリアなどに輸送されます。
金属を回収したあと、
野外のゴミ捨て場に山積みされ、
水銀、ヒ素、その他の有害物質が地面に
垂れ流しになっています。
現在、地球上の鉱物や化石燃料、
バイオマス(動植物などから
生まれた資源)が大量に消費されています。
地球を守るためには、
これらの消費量を年間500億トンまでに
抑える必要があると言われています。
しかし現在、
その2倍以上が消費されており、
その超過分は事実上すべて
高所得国での過剰消費によって
もたらされています。
さらに、アマゾンの森林や草原地帯の多くは
急速なペースで樹木の伐採や整地により、
牧草地や農地になっています。
それは先進国の食卓にのぼる牛肉を
供給するためです。
実際、世界の農地の60%近くが
牛肉を生産するために
牧草地や飼料を育てる農地として
使われています。
その一方で、
食料の3分の1以上が
食べずにムダにされています。
これらの多くは、
いわゆる経済大国といわれるような
国々が中心となり、
経済成長や開発、発展の名のもちに
行われていることです。
その結果、土地や森林、漁場、大気に
大きなダメージを与え、
生態系のバランスをも崩しています。
実際、ドイツの自然保護区では、
この25年間で昆虫の4分の3が消えました。
その原因は森林が農地に変えられ、
農薬が大量に使用されたことによります。
フランスの農業地域では昆虫の減少が原因で
この15年間で鳥の個体数が
3分の1に減りました。
また、研究者たちは、陸上昆虫の数が
10年毎に9%減少していることを突き止め、
警鐘を鳴らしています。
昆虫が絶滅すると、
生命の木の大部分が
失われることになり、
それは自然の危機を意味しています。
さらに工業化に伴う大気への影響も
気候変動に大きな影響を与え、
それが猛暑による森林火災や
干ばつによる飢餓など、
アフリカやアジア、南アメリカの人々にも
甚大な影響を与えているのです。
このような自然破壊、環境破壊は
イケイケどんどんの成長主義に基づく
結果なのです。
(続く)