ブログ:東北横断、ケセラセラの旅(最終回)

(前回からの続き)
今日はいよいよ、
三泊四日の旅の最終日です。

最終日くらいは
平穏に過ごしたかったのですが…

本日のメインは鳥海山山麓のドライブです。

ホテルを8時過ぎには出発し、
レンタカーを借りに行きました。

そこは自動車修理工場のようでしたが、
レンタカーのサービスも
しているところでした。

用意されていたパジェロミニに乗り、
先ずは「奈曽の白滝」に行きました。

走って20分くらいで到着、
順調な滑り出しです。

案内板に書いてあるように
ちょっとした山道を歩くと、
滝の水が落ちる音が聞こえてきました。

途中、下方に降りる道と、
そのまま真っすぐに進み道がありました。

私はまっすぐの道の方が
正規のルートではと言ったのですが、
嫁さんは滝が見られるのは、
下に降りる道の方に決っていると
言い張るのです。

先日のガソリンスタンドの件は、
もうすっかり忘れているようでした。

下に降りていくと、
確かに滝壺のすぐ近くまで
行くことができました。

ただ、大きな岩がゴロゴロしており
足下がかなり悪く、
かつ、大きな木が邪魔になり
滝の全貌が十分に見えませんでした。

でも、間近で豪快に流れ落ちる
滝の迫力は感じることができました。

その後再び元に道に戻り、
最初に行こうと行った道を進むと、
そこには展望台があるではないですか!

先ほどのより、やや遠目になりますが、
こちらの方がずっと滝の全貌が見られる
よいスポットでした。

そこにあった案内板をみると、
やはり正規のルートはこちらの方でした。

嫁さんに、
「この展望台からの眺め、最高だよ!」
と言うと、
「私はさっき見たからいい!」と言って、
敢えて展望台をスルーして、
道をまっすぐ進んでしまいました。

別にいいんですけど。
私は何も悪いことは言ってませんし、
怒らすようなことも言ってません。
信じて下さい、みなさん。

その後は、別ルートを通り
駐車場まで戻ってきました。

ここのすぐそばに、
「元滝(もとたき)伏流水」といいう、
岩間から伏流水が吹き出している
景勝スポットがあるので、
そこに行くことにしました。

地図上ではすぐ近くのはずなのですが、
道路の案内板が見つかりません。

鳥海ブルーラインを走る途中に
あるはずなのですが、
なかなか見つかりません。

嫁さんは
「ブルーライン沿いで、
さっきの所から3.5kmと出ているから
もう少し走ったらあるはず!」と、
つい30分前の強気の発言が
誤りだったことも
またもやすっかり忘れているようです。

結局、さらに20分ほど走り続けたところで、
「やっぱりないね」と、
ようやく自分の非を認めたようでした。

結局、そのまま鳥海ブルーラインを走り、
鳥海山五合目にある展望台まで行きました。

その日は、旅行中で初めて
天候があまりよくない日でした。

でも、なんとか日本海が一望でき、
とりあえずの目的は達し得ました。

そこから最初に行った
「奈曽の白滝」まで戻る途中に
「元滝」の案内板があるかを確認しながら、
注意深く走りました。

すると、「奈曽の白滝」の案内板と
同じところに「元滝」はこっちと
矢印が出ているではないですか。

3.5kmではなく0メートルでした。

車を駐車場に置き、
案内板に沿って歩き出しました。

山道をしばらく歩き続けると、
ありました!

岩間から勢いよく水が
吹き出しているのですが、
これは鳥海山に降った雨や雪解け水が
長い年月をかけて染み込み、
伏流水となって流れ出ているのです。

間近まで寄って伏流水を
見ることができたので、
「ここからの風景が
ガイドブックに載っていた写真と
同じところだよ」と教え、
「こっち、こっち」と手招きをしました。

それを見た嫁さんは、
敢えて?反対方向に進み出しました。

どうも、わたしの言う通りには
してはいけないと思っているようです。

いいんです、信用なんかしてもらえず、
私の言うことと反対のことをしても…

さて、あと2時間あるので、
最後の目的地である
「獅子ヶ鼻湿原」に向かうことにしました。

実は、今回ここに来た一番の目的は
この湿原を散策しながら、
樹齢300年以上と言われる
「あがりこ大王」を見ることでした。

今までの些細な小競り合いなどなんのその、
気持ちは「獅子ヶ鼻湿原」にまっしぐら。

ところが、車を走らせると、
何か変な音がするのです。

先ほどまでは全く聞こえなかった
カタカタという音が確かにするのです。

最初はパンクでもしたと思ったのですが、
どうもそうではないようです。

嫁さんは、何度も懸命に
木の枝がタイヤに引っかかっているのでは
主張していましたが、
そんなはずもありません。

このまま走り続けるのは
さすがに怖いと思い、
いったん、車を借りたところまで
戻ることにしました。

幸い、そこは車の修理工場でもあったので、
レンタカーを貸してくれたおじさんが、
すぐさま車を点検し始めました。

結局15分ほどで修理は終わり、
変な音はなくなり元に戻りました。

何が原因だったのですかとたずねると、
「タイヤのハブボルトが緩んでいたんです。
全部締め直しましたのでもう大丈夫です」
とのことでした。

私が「事故ってたら大変でしたね」言うと、
ニコニコしながら
「そうですね、よかったです」との返事。

後日、「ハブボルト」を調べてみると、
車とタイヤをとめるボルトのことで、
1本でも折れたり外れたりすると
大事故になる危険性があると書いてありました。

それを読んだ瞬間、
あのおじさんのニコニコした顔を思い出し、
「笑い事じゃ、ないやんけ!」と
またまた心の中で叫んでしまいました。

結局、楽しみにしていた
「獅子ヶ鼻湿原」はパーとなり、
やむなく、すぐ近くの「道の駅」で
買い物と昼飯を食べることにしました。

道の駅のレストランで、
おいしくもない親子丼を食べながら、
セブンイレブンの親子丼の方がましや!と
一人、心の中でブツブツ言っていました。

一方の嫁さんはと言うと、
優雅に天ざるそばを食べていました。

最終的にレンタカーを返したときも、
何事もなかったかのように
「ありがとうございました」で終わり。

おい、おい、それで終わりかよ~と
心の中で突っ込みを入れていましたが、
まあ、タイヤが外れて死なないですんだので
これはこれでよしとすることにしました。

あとは帰るだけです。
象潟から普通列車に揺られながら
1時間ちょっとで秋田駅に到着。

車両は空いていましたが、
私はずっと立って外を眺めていました。

車窓から見える景色は
いろいろな顔を見せるので
いくら見ていても見飽きないですね。

一方の嫁さんは…
やはりスマホと居眠りの繰り返しでした。
風景にはあまり興味がないようです。

秋田駅からはバスに乗り、
15時過ぎには秋田空港に到着、
荷物をあずけ、空港レストランへ。

出発まで2時間ほどあったので、
憂さ晴らしもかねた
最後の晩餐に臨みました。

つまみをあれこれ頼み、
ビールと日本酒を3本ずつ飲み、
嫁さんは途中から買い物に出かけ、
あとは私一人で飲んだくれていました。

すると、嫁さんが戻ってきて、
「放送で呼ばれている、早く!」とのこと。

まだ余裕だと思っていたのですが、
出発20分前になっていました。

あまり記憶が定かではないまま、
飛行機に乗り込み、
いつの間にか名古屋中部空港へ、
と思っていたら米原駅でした。

駅までは次男の嫁が迎えに来てくれており、
そこから15分で自宅に到着、
無事、三泊四日の旅を終えました。

我が家に着くと、早速嫁さんは
次男夫婦と、キャッキャいいながら
タイヤのボルトが緩んでいた事件について
嬉々として話していました。

旅行中には、
ついに一度たりとも見ることができなかった
とびっきりの笑顔です。

まあ、人生、こんなもんでしょう。
そう言って自分を慰めつつ、
一人静かに床につきました。
(終わり)

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

    CAPTCHA


    このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください