ブログ:ネガティブ思考こそ最高のスキル

今回はオリバー・バーグマン著、下隆全訳、
ネガティブ思考こそ最高のスキル
(河出書房新社)を
紹介したいと思います。

前回の「反ポジティブ思考のすすめ」は
この本を読んで触発されて書きました。

この本も、
ネガティブ思考を薦めているというよりは、
ポジティブ思考に固執することへの
注意を喚起するとう内容の本でした。

また、ネガティブ思考は必ずしも
悪いわけではなく、
メリットもたくさんありますということも
言っています。

まず、この本で主張しているのは、
幸せを目指せば目指すほど、
手にする機会が少なくなり、
本当に幸せになりたいのであれば、
ネガティブな思いからできるだけ
逃げないようにすることが
必要だということです。

確かに、幸せを追い求めることは、
そこに固執してしまうがために
かえって空回りを生み、
どんどん幸せから遠ざかってしまうことは
様々なところで指摘されています。

実際、ラス・ハリス著、
「幸福になりたいなら
幸福になろうとしてはいけない」
(筑摩書房)という本もあるくらいですから
これはうなずけます。

また、ネガティブな思いから逃げず、
それとしっかりと対峙するというのも
大切だと思います。

なお著者は、それをさらに一歩すすめ、
最悪のことまでじっくり考えるのも
大切だと言っています。

たとえ最悪のことを考えたとしても、
現実はそんな状況にはまずなりません。

かりに最悪の状況になったとしても、
不安や恐れに対する心の準備は
ある程度できているので、
ショック度の合いも
それほどではなくなるというのです。

まあ、理屈はわからなくはありませんが、
意識的に最悪のことを考えることは
私には合いません。

そのときはそのときです。
嫌でも対処せざるを得ませんし、
あれこれ苦しむかもしれませんが、
最終的にはどうにかなると思っているので、
最悪のことを積極的に考えることは
私はしません。

ただし、現実に起こっている
ネガティブな状況を避けるのではなく、
じっくりと対峙するという考え方には
私も賛成です。

私たちが苦しいと思うのは、
その思いに自分が
巻き込まれてしまっているからです。

つまり客観的な事実と自分の思いや感情を
切り離して見ることが
できなくなってしまっているのです。

だからそこ、
思いや感情に巻き込まれないように
客観的に自分を見つめる
トレーニングも必要になるのです。

また、将来の目標や計画に対して
あまり精力を傾けない方が
よいとも言っています。

なぜならば、たいていの場合は
できもしない理想を目標に掲げ、
結局はあくせくするだけで終わるからです。

そうではなく、
ゴールをあきらめる代わりに、
不確実性を受け入れよと言うのです。

特定のゴールを設定しなければ、
視野や方向感覚が広くなり、
より適切な将来ビジョンが
見えてくるのです。

目的は明確にするものではなく、
それを持ちながらも試行錯誤する方が
よいというわけです。

また、安心や安全を追い求めるのではなく、
不安や脆弱性の中に身を置くことも
大切にしましょうとも言っています。

そもそも完全な安心や安全など
現実には存在しません。

明日、大地震やテロが起きて
自分が死ぬ可能性はゼロではないのです。

この世の中から、
細菌やウイルスを排除することは
不可能なので、
常に感染の可能性はあります。

ですから、
安全や安心を追求するのではなく、
それなりの不安や危険性、脆弱性の中で
どのように生きていくかを考える方が
よいのではないかということです。

また、成功を求めるのではなく、
失敗を積極的に受容することの大切さも
言っています。

失敗は、自分が成長するために
どうしても必要となる大切な経験です。

ですから、
成功ばかりに目を向けるのではなく、
失敗やリスクにあえて立ち向かうことも
大切だというわけです。

さらに、死について考えることも
よりよい生を生きるためには
とても重要なことです。

死は忌み嫌うものではなく、
自分の人生に
積極的に取り込んでいくものなのです。

例えば、
今自分が死ぬ直前であることを想像し、
「○○にもっと時間を使いたかった」
「××に費やす時間は
もっと少なくてよかった」といった文章を
完成させるワークがあります。

これなどは、自分の死から
今の生を見つめ直すための
とても有効な方法のひとつです。

このように、
この本にはネガティブ思考に関連した
様々なことが書かれています。

要するに、人生は不確実なものなので、
善悪二元論にこだわるのはやめて、
目の前の現実を受け止めながら
生きていきましょうということを
言っているのかなと思いました。

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