ブログ:あなたの体は9割が細菌①

先日、アランナ・コリン著、矢野真千子訳、
「あなたの体は9割が細菌」(河出文庫)を
読みました。

私にとってはかなり刺激的な内容であり、
腸内細菌がいかに重要であり、
私たちの身体のみならず、
心にも大きな影響を与えているのかを
再認識させられました。

私たちの体を構成しているのは、
血液や筋肉、骨といった
ものだけではなく、
細菌も含まれています。

ヒトの細胞は37兆個に対して、
微生物は腸管内だけで
4,000種類、100兆個存在し、
指先の皮膚だけでも、
6,000万個以上の微生物が
付着しています。

ヒトには2万2,000個の遺伝子が
存在していますが、
これはミジンコの3万1,000個よりも
9,000個も少ないのです。

ミジンコには話す能力も創造力もないのに、
それでも遺伝子数だけでみると、
はるかにヒトのほうが少ないのです。

しかしヒトは、
一人で生きているわけではなく、
微生物と共生しており、
一心同体なのです。

そして、これらの微生物には
440万個の遺伝子が存在しており、
ヒトの遺伝子と協力しながら
生きているのです。

つまり、遺伝子数で言うならば、
ヒトの部分は0.5%だけであり、
99.95%は実は微生物の
遺伝子の力を借りているのです。

大腸には大量の腸内細菌が
生息していますが、
それらはヒトが食べた食物の残飯を
エネルギーにしています。

一方、私たちの大腸は、
腸内細菌の廃棄物を利用して
腸や身体を守っているのです。

ですから、
大腸は腸内細菌がいないと
しなびて死滅してしまうのです。

便はほとんどが食物の残骸だと
思われていますが、
実際は、その75%が細菌であり、
食物繊維のカスは17%だけです。

また、異物から体を守る免疫系の組織が
最も多く集まっているのは腸であり、
全体の60%が存在しています。

腸管内は人の体の内側だと
思っているかもしれませんが、
実際には体の外側です。

そのため、腸の免疫系の組織は、
有害物質が体の中に取り込まれないよう、
厳重に見張りをしているのです。

これだけでも腸が腸内細菌と協力して
私たちの健康を維持してくれているかが
よくわかります。

実は腸内細菌は
肥満とも関係していると言われています。

私たちはなぜ太るのかを説明するのに、
遺伝子のせいにすることがあります。

しかしヒトの3万2,000個の遺伝子のうち
体重増加に関連する遺伝は、
たったの32個しかありません。

では何が肥満を引き起こしているのか、
それは腸内環境の平和が
乱された結果だというのです。

腸内細菌の組成比が
食べ物からエネルギーを
どれだけ引き出すかを決めています。

腸内細菌の好みにより、
大腸に流れ込んできた食事の残りを分解し、
吸収しています。

甘いものを好むヒトの腸には、
大量の脂肪好きの細菌がいるため、
食べたドーナツは片っ端から分解され、
ほとんどのカロリーが吸収されます。

また、腸内細菌はヒトの遺伝子に、
エネルギーを脂肪細胞に貯蔵するよう
命令を出しています。

つまり、摂取カロリーは
実際にどれだけ食べるかよりも、
吸収を手伝ってくれる腸内細菌が
どれくらいいるかにより決まるのです。

消費カロリーについても同様のことが言え、
腸内細菌次第で、
エネルギーを蓄えておくのか、
すぐに燃やしてしまうのかが
大きく異なってきます。

つまり、食事量と運動量だけで
カロリーの吸収量や消費量、
蓄積量が決まるほど、
人の体は単純ではないということです。

肥満のことを真剣に考えるのであれば、
腸内細菌に目を向け、
何が健全な腸内環境のバランスを
乱しているのかを
考える必要があるということです。

さらに腸内細菌は体の健康だけではなく、
心の健康をも左右しています。

かつて自閉症は1万人に一人出る程度の
まれな病気でした。

その後、患者はどんどん増え、
現在アメリカでは、36人に一人が
自閉症だと診断されており、
今後も増え続けることが予想されています。

この自閉症と腸内細菌との関連も
指摘されています。

また、幸せホルモンと言われるセロトニンは
その9割を腸が作っています。

このセロトニンはうつ病と深い関係があり、
腸内細菌の乱れがうつ病を
発症しやすくしているとも言われています。

こうしてみると、
腸内細菌は、心や身体の健康を
大きく左右する存在であることが
よくわかると思います。
(続く)

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