ブログ:オンライン習慣と認知症

過去二回にわたり、
スマホ等の使いすぎは
子供の脳の発達を止めてしまい、
オンラインでの会話は心と心がつながらず、
あまり頭が働かないコミュニケーションに
なってしまうという話をさせて頂きました。

今回は、オンライン習慣が
認知症のリスクを高める可能性について、
引き続き榊浩平著、
「スマホはどこまで脳を壊すのか」
(朝日新書)の内容をもとに、
お話しさせて頂きます。

脳は負荷をかけることで発達します。

しかし、オンライン習慣を続け、
脳を使わないでいると、
だんだんと脳がむしばまれていき、
認知症を発症する可能性が
大きくなることが指摘されています。

ドイツの精神科医である
マンフレッド・スピッツァー博士は、
デジタル機器の使用によって引き起こされる
認知障害を「デジタル認知症」と呼び、
警鐘を鳴らしています。

カナダの研究者らは、
日常的にインターネットを使用している
1980年代以降に生まれた人たちが
高齢者になる2060年には
認知症のリスクが今の4~6倍になると
言っています。

認知症には12のリスク要因があると言われ、
そのうち、オンライン習慣と
密接なかかわりがあると思われるものは
「15歳までの教育歴不足」「うつ病」
「社会的孤立」「運動不足」の4つです。

15歳までの教育歴不足というのは
学歴ではなく教育の質のことです。

スマホ等のデジタル機器を
たくさん使用している子供たちの脳は
発達が止まっているという話は
2月24日のブログでもお話ししました。

そのような子供たちは、
脳の機能を保つ「耐性」が
低下している可能性が高いのです。

つまり、オンライン習慣により
脳が十分に発達しなかった子供たちは
脳の萎縮や変性への耐性が低いため
将来、認知症になりやすいというわけです。

また、
インターネットへの依存傾向が高い人は
「うつ病」になる可能性も高くなります。

うつとインターネットの関係については
世界中で多くの研究結果が
発表されています。

それによると
インターネットへの依存傾向の高い人の
うつ病有病率は26.3%であるのに対し、
依存傾向が低い人は11.7%であり、
両者の間には2倍以上の開きがありました。

なぜ、インターネットを使うことが
うつ病と関連するのでしょうか。

それはSNSの使用と関係があると
言われています。

SNSの投稿は、
人生において輝いている瞬間を
切り取って投稿されているにすぎません。

ときには写真も綺麗に加工されています。

そんな他人の人生の最大値と
自分自身の平均的な日常を比較して
見劣りを感じ、
勝手に落ち込んでしまうのです。

また、オンライン習慣が睡眠にも
悪影響を与えるため、
それらの要因もうつ病の発症率を
高めると言われています。

このような理由から、
インターネットはうつ病を増やし、
それが将来の認知症のリスクを
高めることになるのです。

また、インターネットは、
人とのつながりができるので、
本来は「孤独」から解放されるはずですが
実際はそうではありません。

調査の結果、SNSを全くしない人のうち
孤独を感じている人は39.1%でしたが、
SNSを週4~5回以上する人は
33.1%が孤独を感じており、
あまり大きな違いはありませんでした。

一方、同居していない家族や友人と
直接会って話をすることは
全くないと答えた人のうち
孤独を感じると答えたのは48.6%でした。

それに対して、週4~5回以上、
直接会って話をする機会がある人が
孤独を感じるという割合は28.7%であり、
かなり低下します。

この結果から、
対面コミュニケーションと比べ、
SNSの使用による孤独感の軽減は
あまり大きな効果がないということが
わかりました。

つまり、オンラインコミュニケーションは、
「社会的孤立」の解決にはつながらず、
インターネット依存傾向を高めることで
逆に孤独感を強くするため、
将来の認知症リスクを高めることに
なるということです。

さらに、オンライン習慣は
「運動不足」につながることになり、
それは、認知症リスクのみならず、
生活習慣病のリスクをも
高めることになります。

このようにスマホや
インターネットの長時間の使用は
学習能力やコミュニケーションの質を
低下させるばかりではなく、
認知症の発症リスクをも
高めることになります。

ですから、
今後は可能な限りの脱オンラインを
習慣化していくことが
重要になってくると言われています。

いわゆる「デジタル・デドックス」です。

ただし、スマホやインターネットの使用が
当たり前になっている日常では
言うは易く行うは難しです。

実際にデドックスをするためには、
先ずは日常でどれくらい
オンラインに頼っているのか、
その実態を認識することから
始める必要があります。

この本には著者自身の
デドックス体験も載っていました。

インターネットの危険性を
訴えている著者ですら、
平日は2時間、休日は3時間
インターネットを使っていました。

今の時代、インターネットや
スマホを使わないことは
社会の流れに反するためほぼ不可能です。

そうであれば、
どうしても必要なものに限り使用し、
他は極力使わない工夫をするというのが
現実的なところではないでしょうか。

著者の場合は、スマホ決済、
天気予報アプリ、1日1回のLINEは
オンライン習慣として残していました。

逆に、ネットニュースは新聞に変え、
研究中のスマホでのやりとりや
LINEへの返事はしないというように
していました。

みなさんも、
コミュニケーションの質を保ち、
認知症や生活習慣病予防のためにも、
デジタル・デドックスに取り組んでみたら
いかがでしょうか。

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