ブログ:夢は必要か?

よく、自己啓発系の本やセミナーでは
「強く願えば夢は叶う」と言います。

確かに、強く願わないようでは
夢などは叶いません。

二刀流で大リーガーで活躍する大谷翔平や
十代で5冠になった棋士の藤井聡太は
小さい頃からの夢を叶えた代表と言えます。

しかし、こうした事実があるからと言って、
だから「強く願えば夢は叶う」などとは
単純にはいえません。

なぜならば、このような見方は
特殊な成功例だけから結論を導く
サバイバルバイアス(生存者バイアス)に
他ならないからです。

例えば、プロ野球選手やプロ棋士に
なりたいと小さい頃から強く願い、
一生懸命に努力してきた人は
たくさんいます。

しかしその中でプロになれる人は
ごく一握りであり、
さらに、一流になれるのは
その中のさらにごく一部の人だけです。

多くの宝くじ売り場では、
「この売り場から3億円が出ました!」
などという張り紙を見ることができます。

そのような売り場では
宝くじを買い求める人たちの行列が
できます。

これもサバイバルバイアスです。

1等が当たる夢を抱いて
宝くじを買うのでしょうが、
実際には、1等が当たる確率よりも、
買いに行く途中に交通事故で死ぬ確率の方が
高いと言われています。

要するに、夢を叶える人は必ずおり、
その人たちは大いに注目されますが、
その一方で、大多数の人の夢は
叶えられないということです。

ただし、そこまで大きな夢ではなく、
医者になるとか自分の店を持つといった
夢であれば、
実現できる可能性はぐっと高くなります。

もっとも、夢を抱くのは大いに結構ですが、
そのあと何もしないのであれば、
当然、夢の実現などありえません。

夢の実現に向かって
一生懸命に努力するからこそ
夢が現実味を帯びてくるのです。

その際、大切になってくるのが
継続する力です。

多くの人は、一時的には気持ちが高まり、
「よし!やるぞ!」と、
やる気満々になるのですが、
そんな思いは1週間も続きません。

中には、立派な目標を立てたことに満足し、
それであたかも目標が
達成できたかのような気になり、
結局、何もすることなく、
そのうち目標を立てたことすら
忘れてしまうという場合も
少なくありません。

このように、
夢を抱くことも大切ですが、
それよりももっと重要なことは、
日々少しずつ目標に向かって
努力を続けるという継続力です。

継続のポイントは習慣化であり、
これに関しては過去のブログや
YouTubeの動画で
何度も話したので
それを参照して下さい。
目からウロコの黒丸コミュニケーション

また、夢はコロコロ変わります。
小さい頃からの夢を追い求め、
それを実現するという人は希です。

人は現実世界の中で、
多くのことを学び、経験することを通して、
思いも変わっていきます。

そこから、また新たな夢が生まれるのです。

そんな夢の方が、
単なる憧れや願望によって抱いた夢よりも、
自分に適した夢であり、かつ、
身の丈に合った夢であることが多いため、
実現の可能性も高くなります。

ですから、
若い頃から夢を持たなければ
いけないわけではありませんし、
今現在、夢を持っていなくては
いけないわけでもありません。

長い人生の中で、
次第に見えてくる夢もあり、
それがはっきりするまでは、
目の前にある今やるべきことをしていれば
それでよいのです。

中には、定年退職を迎えてから、
初めて自由な時間が持てるようになり、
そこから夢に向かって歩み出す人もいます。

また、定年退職してからも、
特に夢らしい夢などないという人も
いるかもしれません。

それはそれでよいのです。
95%以上の人は、
夢らしい夢などなく、
一生を終えるのですから。

そんなのは寂しいとか、
何のための人生だったのかと
嘆く人もいるかもしれません。

でも、それは違います。

人はなぜ夢を実現したいのか、
それは、自分が幸せになりたいからに
他なりません。

幸せの形は人それぞれ違うでしょうが、
人は生きている限り、幸せを望むものです。

では、夢を叶えられなかった人や
夢を持ったことがない人は、
幸せにはなれないのでしょうか。

いや、そんなことはありません。
今の日常の些細な楽しみを
十分に味わえば、それでよいのです。

例えば、公園で楽しそうに遊んでいる
子供たちを眺めるとか、
じっくりと一人コーヒーを味わうとか、
夜空に輝く満月に見とれるとか、
そんなことでよいのです。

若い頃は、そんな些細なことは
どうでもよいと思うものですが、
年を取ってくると、
そんな些細なことにも
幸せを感じるようになるものです。

ですから、
「小さな楽しみ」でかまわないので、
今はそれをできるだけたくさん
経験したらよいのです。

私の場合、さしあたり
昼飲みしながらの読書や、
晩酌をしながらの夕食といった
ところでしょうか。

人間、夢があることに
越したことはありません。

でも、夢なんてなくても
そんな、日常の小さな楽しみを
たくさん味わうことが、
晩年、人生を振り返ったときに
「自分は幸せだった」と思えることに
つながるのです。

還暦をだいぶ過ぎた私は、
そんなふうに思うようになりました。

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