ブログ:スマホで子供の脳が壊れていく

先日、榊浩平著、川島隆太監修、
「スマホはどこまで脳を壊すのか」
(朝日新書)を読みました。

結構、衝撃的な内容の本です。

著者は東北大学加齢医学研究所助教であり、
「脳トレ」で有名な川島隆太先生の
お弟子さんという方です。

そんなこともあり、15年前から
脳の発達について多くの人を対象に
研究を続けており、
この本はそこで集められた
研究データに基づいて書かれています。

現在、スマホの保有率は
小5や小6で65%程度、
中1になると77%に跳ね上がり、
中3では88%となっています。

ではスマホ等のデジタル機器の使用時間と、
学力との関係を見てみましょう。

1時間未満であれば偏差値は50以上ですが、
1時間以上使用している学生は、
時間が長くなるにつれ偏差値が下がります。

1時間以上のスマホ等の使用は、
学力に悪影響を与えることが
明らかになりました。

その理由のひとつとして、
スマホ等を使用することにより、
睡眠時間が削られるという
可能性があります。

ところが調べてみると、
驚くべき結果が出たのです。

1日3時間以上、スマホ等をしている学生は
いくら勉強時間を長くしても、
成績が平均未満に沈むということが
わかったのです。

つまり、睡眠時間に関係なく、
スマホ等の使用が、
子供の学力に直接的な悪影響を
与えている可能性が高いということです。

実際、スマホ等の使用時間を減らし、
1時間未満にできた子供たちは、
その後の2年間で成績が順調に伸びました。

逆に、1時間以上使用するようになると
学力はどんどん低下するという結果でした。

ただし、
ここで新たな問題が見えてきました。

それはスマホ等を1時間以内に
減らせた子供は全体の1割程度でした。

一方、9割近くの子供たちは
1時間以上使い続けていたのです。

やはりスマホは、
タバコやお酒、ギャンブルと同様、
一度はまってしまうと、
なかなか抜け出すことができない
依存性があることがわかります。

また「ながら勉強」の研究もあります。

ながら勉強とは、
勉強中に勉強以外の目的で
スマホを使用することを言い、
子供たちの半数以上が
ながら勉強をしています。

特に、学年が上がるにつれその率も上がり、
中3では80%以上の子供が
ながら勉強をしています。

ところが、
この「ながら勉強」は3時間以上しても
ながら勉強せずに30分未満しか
勉強しない学生の成績と
あまり変わらなかったのです。

要するに、スマホをいじりながら
3時間勉強したとしても、
実質30分勉強した程度の
学習効果しかないということです。

さらに、LINE等のインスタントメッセージも
子供の学力をかなり低下させることが
わかっています。

通知音が鳴るたびに集中力が切れ、
早く返信をしなくてはという思いが
さらに集中力を低下させます。

これは、ながら勉強ではなく、
机の上にスマホが
あるだけで起こることです。

やはり、勉強するときには、
スマホの電源は切り、
目に入らないところにしまうということを
徹底する必要があるようです。

また、スマホやタブレットでの学習では
脳が働かない可能性も示されています。

例えば、紙の辞書で単語を調べたときとは、
脳の活動が急激に上がるのですが、
スマホで調べたときでは
その活動がほとんど見られないのです。

実際、スマホで調べた情報は、
次の日には覚えていないことが
しばしばあります。

これが「グーグル効果」とか
「デジテル性健忘」と言われる現象です。

人の脳は本来、楽をさせると働かず、
負荷をかけると働くようになっています。

ですから、スマホやタブレットによる勉強は
便利かもしれませんが、
脳の発達からみると怖い側面があるのです。

実際、世界72カ国の国と地域に住む
15歳の子供たち約54万人を対象とした
調査結果では、
学校でインターネットを使うことが多い国ほど、
子供たちの読解力が低いと報告されています。

最も衝撃的だったのは、
MRIを使った
子供の脳の発達を調べた研究です。

インターネットを毎日使い、
脳をあまり使わない子供は
なんと3年間での
脳の発達がほぼゼロだったのです!

こんなことが起こっていたので
スマホ等を3時間以上使っている子供たちは
いくら勉強をしても十分睡眠を取っても、
成績が平均以下にとどまるわけです。

スマホ等が子供の脳に及ぼす悪影響は
想像以上に深刻なものだということが
改めて認識させられました。

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