ブログ:頭の中のひとりごと②
前回は、
悩みや問題を抱えているときに騒ぎ出す
「頭の中のひとりごと」への対処法について
お話をさせていただきました。
今回はその続きで、
他人の頭の中のひとりごとに対する支援は
どのようにしたらよいのかという話を
させていただきます。
前回同様、
イーサン・クロス著、鬼澤忍訳、
『チャッター「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』(東洋経済新報社)に基づいて
お話しさせていただきます。
他人の頭の中で走り回る内なる声、
チャッターへの対応としては、
先ずはじっくりと
相手の話を聴いてあげることです。
これはカウンセリングでいう
傾聴そのものです。
その際、相手の感情的ニーズに
応えてあげる必要があります。
つまり思いやりや共感の態度を
示すということです。
ただここで、
注意しなくてはいけないことがあります。
それは傾聴するさい、
あまり深入りしては
いけないということです。
人は誰でも自分に
共感してもらいたいと思うものです。
ましてや悩んでいたり、
つらい思いをしているときは
なおさらのことです。
そのため、相手の悩みを
もっと深く理解してあげたいと思い、
悩みや出来事について、
あれこれ具体的にたずねてしまう場合が
少なくありません。
これは「共同反芻(はんすう)」といい、
相手の感情や経験を
追体験させることになります。
これは相手を「支援」しているつもりが、
いつのまにか、
相手のネガティブな感情や思いを
「扇動」してしまっている可能性が
あるのです。
共同反芻は、往々にして
燃え上がっている内なる声の炎に
新たな薪を投げ込むようなものです。
語りを繰り返すことで、
不快な感情が蘇り、悶々とした気分を
さらに助長することになりかねません。
要するに、
相手のやっかいなチャッターは
ただそれを語らせるだけでは、
穏やかにはなってくれないということです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
ここで必要になるのが
認知的ニーズを満たすという作業です。
つまり、自分自身のチャッターへの対応が
「距離をおく」だったのと同様、
相手も自分のチャッターから
距離をおいて眺められるようになるよう、
サポートやアドバイスをすることが
大切になってくるのです。
もちろん、最初から
自分のチャッターから少し離れる方法を
アドバイスしたところで、
それは入りません。
当然、そこには信頼関係が必要ですし、
そのためにはある程度の傾聴や共感が
必要なのです。
それがあってこそ、
相手は心の冷静さを取り戻し、
少し落ち着いて
物事を考えられるようになるのです。
話を聴き、一段落ついた段階で
今度は感情ではなく理性や思考に働きかけ、
どうしたらよいのかを
一緒に考えていくという作業が
必要になってきます。
自分のチャッターへの対応と同様、
「自分の名前」や二人称で
会話をしたりすることで
チャッターと距離を持つことが
有用であることを
教えてあげるのもよいでしょう。
また間接的に目に見えない形で
支援するという方法もあります。
例えば、直接アドバイスをするのではなく
同じような経験に対処した人の話を
一般論として語るという方法があります。
第三者としての話の方が、
人は話を受け入れやすいからです。
また環境を利用した方法として、
「畏怖(いふ)」を誘う経験を
させてあげるという方法もあります。
畏怖とは、
大自然の中での素晴らしい夕日や
美しい眺望などを目にしたときに感じる、
自己を超越した感情、感覚のことです。
言葉にはできない
雄大なものの存在を前にすると、
頭の中の声であるチャッターが中心だとは
考えられなくなってくるものです。
だからこそ畏怖を感じる経験が
チャッターとの距離を取るための
ひとつの方法にもなるのです。
ただ、もっと一般的なかかわりとしては、
悩みや問題にばかり目が向いている状況から、
相手の視野を広げ、
問題の解決になるような方向性を
一緒に探すという作業が重要になります。
その具体的な方法については、
実はこの本には書かれてはいませんが、
私はこの点にとても興味があり、
このブログでも
今までたくさん書いてきました。
実際、私が開催しているセミナーでは、
主にこの部分をワークなどを通して
実践的に教えています。
興味のある方は、ホームページにある
「ホリスティックコミュニケーションとは」を
ご覧いただければと思います。
ということで、
今週はチャッターへの対応のお話でした。
これって、結構、使えると思いません?