ブログ:新聞の取材を受けました①

私が代表を務める
カウンセリングルーム「セラとぴあ」が
ネットニュースで流れたこともあり、
何件かの取材が入りました。

そのうちの一つ、
中日新聞の取材を先日受け、
それが10月21日の滋賀県版に載りました。

今回はなぜか、
私が緩和ケア医になって
ちょうど20年目の節目にあたるため、
この20年間を振り返ってということで
取材を受けました。

どうも、セラとぴあの取材は
名古屋支社の記者に先を越されてしまい、
仕方なく?代表者の取材でも
するかということで、
私のところに回ってきたようです。

それはそうと、記者さんからは
いろいろな質問をされました。

その中で、
私がこうあるべきだと考え、
実現したことはありますか?
という質問がありました。

まあ、いろいろありますが、
一番大きいのは様々な代替療法を
緩和ケア病棟に取り入れたという
ことでしょうか。

20年前というと、
アロマセラピーですら、
緩和ケア病棟で取り入れているところが
少なかった時代です。

まだまだ医療の世界に
代替療法を取り入れることに
懐疑的な人が多かった時代です。

しかし私は当初より、
様々な代替療法の方々と
つながりを持っており、
おかげで多くの方にボランティアとして
来てもらうことができました。

振り返ってみると、
今まで取り入れた代替療法は
アロマセラピー、リフレクソロジー、
マッサージ、カラーセラピー、音楽療法、
アニマルセラピー、タッピングタッチ、
ヒーリングタッチ(レイキ)、
レインポー療法(鍼治療のひとつ)、
サイモントン療法など様々です。

多いときは2日に1回、
誰かしらが来て下さり、
セラピーをしてくれていました。

多分、全国の緩和ケア病棟の中で、
最も多くの代替療法を取り入れ、
最も多くのボランティアの
セラピストがいた病院だと思います。

しかしこれらは、
2年前のコロナの流行に伴いすべてなくなり
アロマセラピーの一部をのぞき、
今なおその状態は続いています。

とにかくコロナは、
緩和ケアのあり方を一変させる
破壊力がありました。
残念でなりません。

もう一つ、私の思いを実現できたものに、
諦めたくないと思っている患者さんに
治療的な代替療法を積極的に
導入したというのがあります。

そもそも心療内科時代から、
心や体の持つ自然治癒力を高めることで
がんを治すことに関心がありました。

一方で、緩和ケアは
もうよくならない末期がんの患者さんの
苦痛を取ることで
最後の時間を楽にすごしてもらうことを
目的としています。

しかし、実際には末期がんであっても
まだ諦めたくないという患者さんが
少なからずいることを実感し、
積極的に治療的代替療法を
受け入れることにしました。

経済的な点を考えると丸山ワクチンなどが
手頃だとは思っているのですが、
中にはリンパ球療法や
ビタミンC大量療法などの
高額な治療をされた患者もいました。

実は、これらの治療的代替療法は
「治す」ためではなく「癒やす」ためであり、
希望を支えることが目的でした。

末期がんの患者さんが、
これらの代替療法でよくなると考えるのは
あまり現実的ではありません。

ただ、可能性はゼロではないと
常に思っていますし、
患者さんにもそのような説明をしていました。

そのような「希望」や「可能性」が
心の治癒力を活性化させ、
よくならないまでも、
中には思いのほか長生きできたと
思われる人も実際います。

たとえよくならなかったとしても、
ただ絶望に打ちひしがれ、
悶々とした最後の日々を過ごすよりは、
多少なりとも希望や可能性をもって
最後の時を過ごしてもらった方が
よいのではないかと思うのです。

私が赴任してから
5年の間に入院した患者さん691人のうち
約3分の1の人が
何かしらの治療的代替療法を
行っていました。

今考えると、
かなりの頻度だと思います。

もっとも、
何か治療はできないのかと言われ、
私から提案したというのは
全体の1割程度です。

他は、すでに何かしらの代替療法を
行っていた患者さんであり、
それを継続することを
認めてあげたというケースです。

特にサプリメント系が多かったですが、
枇杷の葉温灸や玄米菜食、
腕ふり運動などをしている人もいました。

通常、緩和ケアでは
がんを治す目的の治療的介入はしません。

治療ができない末期がんの患者さんが
来るというのが大前提ですので
それは理解できます。

ただし、患者さんのなかには
来たくて来たわけではなく、
治療法がないから緩和ケアに行けと言われて
渋々来たという人も少なからずいます。

そんな人たちは
まだ治療を諦めたくないのですから、
何かしらの治療をしてあげることが
患者さんの思いの寄り添った
関わりだと私は考えていました。

ですから、そのような人には
副作用がほとんどない治療的代替療法を
おすすめしていたわけです。

ただ20年前に比べ、
代替療法にこだわり、
なんとかしてほしいという患者さんは
かなり少なくなったという印象があります。

これも時代の流れなのでしょうか。

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