先日、コミュニケーション医学連続講座の
1回目を開催しました。

今回は会場に集まってもOK、
後日視聴でもOKという形にしましたが、
はやり、実際にみんなの前で話す方が
いいですね。

第1回のテーマはズバリ、
「コミュニケーション医学と心の治癒力」
でした。

昨年は動画撮影で
4回シリーズをやりましたが、
今回はそれを濃縮し
さらにバージョンアップしたものを
2回に分けて話をする予定です。

この講演で一番に言いたかったことは
「心の治癒力なくして治療なし」
ということです。

医者やセラピスト、治療家が携わる
医療、健康業界においては、
当然のことながら、
どうしたら病気や症状がよくなるか、
いかにして、
健康が維持できるかといったことに
関心が向けられます。

ちまたには、
こんな治療法があるとか、
○○療法が有効だとか、
この健康食品がいいといった情報で
あふれかえっています。

もちろん医者の場合は、
薬や点滴、手術をすることで
病気を治すと思っています。

私はこの「思い込み」に対して、
本当にそうですか?と疑問を投げかけ、
実は、薬や治療、サプリメントが
病気や症状を改善しているわけでは
ないということを
2時間にわたり話しました。

もちろん、治療そのものが、
病気や症状を全く改善していないと
言うつもりはありません。

しかし多くの場合、
治療そのものよりも、
患者さんの持つ「心の治癒力」が
病気や症状を
改善させているという側面の方が
圧倒的に大きいのです。

そのことについて、
様々な研究データを提示しながら
話をさせてもらいました。

例えば、薬の場合、
薬そのものによる効果と、
薬を飲んだことによる
「安心感」や「期待感」といった
「心の治癒力」による効果との
総合的な働きによって
症状の改善が認められることが
知られています。

つまり、どんな薬でも
薬効と「心の治癒力」の効果の
両者が関与しているということです。

その視点で様々な薬の効果を調べてみると、
消炎鎮痛剤の貼り薬の場合、
薬効が19%、心の治癒力が81%、
抗うつ剤は、
薬効が25%、心の治癒力が75%
という結果でした。

要するに、
薬でよくなったと思っていても、
多くの場合、
薬を飲んだり貼ったりすることによる
安心感や期待感といった
心の働きによる効果の方が
大きいということです。

これが「心の治癒力なくして治療なし」の
意味するところです。

ただし、心の治癒力の効果が
発揮されやすい病気と
発揮されにくい病気があることも
わかっています。

例えば、痛みやうつ病、パーキンソン病、
不安、疲労、不眠などは
心の治癒力の威力が顕著に現れます。

一方で、がんなどは
その効果が少ないこともわかっています。

ただし、少ないと言っても
ある信頼性の高い研究によると、
心の治癒力により
がんが縮小してしまう人は
がん患者全体の2.7%(375人中10人)であり、
これを多いととるか、少ないととるかは、
意見の分かれるところだと思います。

私は、心の治癒力によって2.7%もの人が
抗がん剤を投与したときと同じように
がんが縮小してしまうんだと、
驚きをもってこの論文を読みました。

なぜならば、
抗がん剤を使わずとも
がん患者さんの37人に1人は
心の治癒力でがんが縮小するなんて
すごいことだと思いませんか?

皆さんがとても怖がっている
コロナによる感染死は
日本の人口1億2475万人のうち
死者は9月25日現在で44,356人であり、
2,812人に1人の割合で
亡くなっている計算になり、
心の治癒力によりがんが縮小する割合の
76分の1でしかありません。

本来ならば、
コロナ感染死への恐れの76倍くらい、
心の治癒力でがんが縮小することに
驚嘆してもらってもよいのですが‥

いかに、
一方では過剰に恐怖心を抱き、
一方では過小にしか評価されないかが
よくわかります。

コロナの話に絡めると
つい興奮してしまいます。
すみません、話を元に戻します。

あと、手術をしたふりをして、
実際には手術をしない場合
(これをシャム手術と言います)でも、
膝の痛みやメニエル病の症状が
改善することが
研究で明らかになっています。

つまり患者さんは
シャム手術を受けることで、
もう大丈夫という
安心感や期待感が引き出され、
その結果、実際の手術をした人と
同じように症状が改善するのです。

まさに、安心感や期待感という
心の治癒力のたまものだと言えます。
(続く)