コレステロールの薬は必要か

(前回から続く)
先ほどの研究でもわかるように、
男性の場合はLDLコレステロールが
80㎎/dlの場合が最も総死亡率が高く、
その後LDLコレステロール値が高くなるにつれ
総死亡率は低下してきます。

しかし、140㎎/dlを超えると、
今度は少し増える傾向にあります。

一方女性はと言うと、
男性と同様、
LDLコレステロール80㎎/dl未満の人が
最も死亡率が高く、
その後、値が上がるにしたがって
総死亡率は低下し、
140㎎/dl以上の人が最も低くなります。

なお、神奈川県伊勢原市での調査では、
男性の場合、LDLコレステロール値が
140~159㎎/dlの人の死亡率が最も低く、
それ以上高くなると死亡率も
高くなることが示されています。

以上のことから判断すると、
今示されている基準値、つまり、
140㎎/dl以上を高LDLコレステロール、
120~139㎎/dlを
境界域高LDLコレステロールと定め、
危険視するというのは
どうも説得力に欠けます。

それどころか、
LDLコレステロールが高い方が
総死亡率は低くなる傾向にあるのですから、
この基準値そのものが、
実は問題ではないかとも思われるほどです。

さらに、もう一つ重要なことがあります。
それは女性の
高LDLコレステロールについてです。

女性の場合、更年期になると
LDLコレステロールは上昇しますが、
これは全くもって自然なことです。

なぜならば、更年期になると
女性ホルモンであるエストロゲンが
減少します。

実はこのエストロゲンには
LDLコレステロールを下げ、
HDLコレステロールを増加させる
働きがあるのです。

そのため、
更年期になると女性は誰でも
LDLコレステロールが上昇するのです。

にもかかわらず、
LDLコレステロールの基準値は
男性でも女性でも同じになっているため
日本の女性は男性よりも約2倍、
コレステロールを下げる薬を
飲んでいる(飲まされている)というのが
実状です。

しかしデータを見ると、
女性はLDLコレステロールが
140㎎/dl以上の人の方が、
正常値の人よりも総死亡率が
少ないという結果が出ています。

欧米の研究でも、
心筋梗塞や脳卒中の既往がない女性の場合、
薬を飲んでも総死亡率や心筋梗塞の死亡率は
低下しないことが分かっています。

さらに、心筋梗塞などの既往がある女性でも
薬を飲むことでそれらによる死亡率は
低下させることができても、
がんなどの他の疾患が増加するため
総死亡率は減少しないこともわかりました。

このような理由から、
欧米では女性に対しては
コレステロールを下げる薬は
不要とされています。

そんなこともあってか
日本人間ドック学会は
LDLコレステロールの基準値を
男性は一律72~178㎎/dlとし、
女性は年齢的に分け
45~64歳は73~183㎎/dl、
65~80歳は84~190㎎/dlとしています。

こちらの方がまだ理にかなっています。

なお、日本動脈硬化学会は
LDLコレステロールの基準値を
男女別にはせず、
一律140㎎/dl以上を
高LDLコレステロールとしています。

この背景には
医者と製薬会社との癒着の問題もあり、
どうしても製薬会社が儲かるような
基準設定になってしまうのです。

このことは何も
コレステロールに限ったことでははく、
高血圧やうつの診断基準の設定でも
癒着の問題が指摘されています。

なお、ニコークリニックの
田中裕幸院長は
多くの女性患者の臨床を通して
54歳まではコレステロールのことは
あまり心配せず、
55歳以上でLDLコレステロールが
180㎎/dlを超えるようであれば
注意が必要と言っています。

なお、動脈硬化による
脳梗塞や心筋梗塞のリスクは
LDLコレステロールのみで
決まるわけではありません。

肥満や高血圧、高血糖、喫煙、加齢なども
関係することがわかっています。

逆に言うと、
これらのリスクがなく
LDLコレステロールだけが
多少高いという程度であれば、
何ら問題はないということになります。

では、動脈硬化を引き起こす真の原因である
酸化LDLコレステロールを抑え、
またHDLコレステロールを高くするためには
どうしたらよいのでしょうか。

それは抗酸化物質を多く含む食品を
摂ることです。

その代表はニンジンやキャベツ、
ピーマンなどの緑黄野菜です。

他にもトマトやナス、
ネギ、ニンニク、ショウガなども
体の酸化を防いでくれる食べ物です。

また、HDLコレステロールを
増やす食べ物としては
いわゆる青魚があります。

アジやイワシ、サバなどに含まれる
DHA(ドコサヘキサエン酸)や
EPA(エイコサペンタエン酸)などの
オメガ3系脂肪酸が
HDLコレステロールを増やし、
LDLコレステロールや中性脂肪を
減らす働きがあります。

実際、魚を多く食べている人は
あまり食べない人に比べると
心筋梗塞などの合併症が
少なくなるという研究報告もあります。

なお適量のアルコールは、
HDLコレステロールを
増やす働きがあります。

だから私は、
HDLコレステロールが
比較的高いのだと納得しました!?

逆に、酸化LDLコレステロールを
増やしてしまう食品もあります。

その代表がファーストフードや
インスタントラーメン、マーガリン、
菓子パン、スナック菓子、揚げ物
ケーキ、クッキー、チョコレート、
アイスクリームなど
トランス脂肪酸を多く使った
超加工食品です。

トランス脂肪酸は植物油から作る
人工の油ですが、
腐りにくく長持ちし、しかも安く、
揚げ物などのは最適の油で、
全世界で使われていました。

しかし近年、トランス脂肪酸は
心疾患や認知症になるリスクを
高めることがわかり
世界中で規制する方向に動いていますが、
日本ではまだ規制はありません。

これに関しては
面白いユーチューブを見つけたので
こちらをご覧ください。
世界も震撼!日本だけトランス脂肪酸を規制しない理由 – YouTube

最後に、
コレステロールを下げる薬についても
触れておきます。

コレステロールの薬の中で
世界で一番飲まれているのが
「スタチン」という
LDLコレステロールを減らす薬です。

これを飲むと確かに
LDLコレステロールが減るのですが、
死亡リスクは減らず、
心臓病などのリスクが少ない人は
逆に死亡率を高めてしまうという
データが出ています。

当然、副作用もあります。
それは細胞の機能を弱めてしまうことによる
免疫機能の低下や
糖尿病のリスクを高めることです。

頻度は少ないですが、
重大な副作用としては
横紋筋融解症があります。

なお、家族性高コレステロール血症血症は
遺伝性疾患であり、
この場合は薬によって
LDLコレステロールを下げる必要があります。

瞼の上などの皮膚や関節部分に
黄色いイボ状の塊が見られるのが特徴で、
日本には25万人以上いると言われています。

まとめです。
1)食事に含まれるコレステロール量と
血中コレステロール値は無関係

2)コレステロールは
身体にとって重要であり、
細胞膜やホルモン、神経細胞に必要不可欠

3)LDLコレステロールが
低すぎるのは危険

4)動脈硬化に関係が深いのは
酸化LDLコレステロールであり、
酸化を予防するのは緑黄野菜

5)LDLコレステロールだけが高い場合は、
あまり気にしなくてもよい

6)特に更年期の女性は
LDLコレステロールが高くなるのが自然であり
ある程度高い方が総死亡率は低くなる

7)動脈硬化の原因には
肥満や高血圧、糖尿病、喫煙なども影響

8)薬を飲み始める前に、
先ずは食習慣の改善を考える

以上です。
お付き合いいただき
ありがとうございました。