生活習慣病の中で、
比較的関心の高いものの一つに
コレステロールがあります。

通常ですと、
コレステロール値が高いと、
動脈硬化から心筋梗塞や脳梗塞に
なりやすくなるので、
薬を飲んで下げた方がいいと
言われるのが一般的です。

ところが実際は
そう単純な話ではありません。

そもそも、
コレステロールは下げないといけないと
言われるようになったきっかけは
100年以上前にロシアで行われた実験が
もとになっています。

これは、ウサギに
栄養価の高い卵を食べ続けさせたら
動脈硬化を起こしたというものです。

ウサギは草食動物ですので、
卵を食べさせたらダメでしょう
という話にもなりそうですが、
要はこれが誤解の始まりです。

以来、私たち
卵を食べるとコレステロールが高くなるとか、
コレステロールが高いものを食べると
動脈硬化を起こすという迷信が
はびこってしまったのです。

実際、2015年までは厚労省も
コレステロールの摂取基準を
設けていました。

これによると成人男性は750㎎未満、
成人女性は600㎎未満というものです。

卵1個に含まれるコレステロールは
210㎎程度ですので、
1日3個も食べたらアウトとなります。

ところが実際には
1日10個の卵を5日間食べても
週7個の卵を8週間連続で食べても
血中のコレステロールが
変わらなかったのです。

実はコレステロールの多くは体内で作られ、
食事から摂ったコレステロールは、
その1/3~1/7程度にすぎません。

つまり、
コレステロールを減らす食事療法をしても
体内でのコレステロール合成が活発になり、
結果としてコレステロールは
それほど下がらないのです。

そんなこともあり、
2015年以降、厚労省も
コレステロールの摂取基準というものを
取り下げてしまいました。

にもかかわらず、
未だに、コレステロールを摂り過ぎては
いけないといった誤解が
多くの人に信じられているのが現状です。

そもそもコレステロールは
私たちにとって必要不可欠な物質なのです。

私たちの体は、
60兆(一説では37兆)の細胞から
構成されていると言われていますが、
その細胞を包む膜(細胞膜)や
ホルモン、胆汁酸の原材料になっているのが
コレステロールです。

さらに脳にも
コレステロールは不可欠な存在であり、
実際、脳内の脂質の1/3は
コレステロールであり、
神経細胞自身も
コレステロールを合成しています。

このように、
コレステロールは身体にとって
必要不可欠な存在なのです。

ですからコレステロールが少なくなると
脳出血を起こしやすくなったり、
免疫力が低下し、
がんになりやすくなるとも言われています。

そんな大切なコレステロールを
体の必要なところに
運ぶ役割を担っているのが
LDLコレステロールです。

にもかかわらず、
これに「悪玉」というレッテルを貼り、
むやみやたらと下げよとすること自体が
不適切だということを
まずは理解しておいて
もらいたいと思います。

また、動脈硬化の原因となるのは、
LDLコレステロール自体ではなく、
それが活性酸素により酸化された
酸化LDLコレステロールだということも
しっかりと理解しておいて
もらいたいと思います。

ですから、大切なのは
LDLコレステロールを下げることではなく、
いかに酸化を防ぐかということなのです。

では、LDLコレステロール値が高いと
動脈硬化が進み、
脳卒中や心筋梗塞になりやすくなり、
死亡率も高くなると言われていますが、
実際はどうなのでしょうか。

2009年に報告された論文で、
茨城県の住民のべ9万人を対象に
10年間にわたり調査結果があります。

これではっきりわかるのは、
LDLコレステロールが低くなるにつれ、
脳出血が増えるということです。

先ほども言ったように、
コレステロールは人体に必要なものであり
これが少ないと危険であり、
全体の死亡率も高くなります。

これは日本のみならず、
海外での研究でも同じ結果が出ており、
低コレステロールは
脳出血のリスクが高くなるというのは
間違いなさそうです。

さらに言うと、
低コレステロールの人は
がんによる死亡が多くなる傾向があります。

要するに、
コレステロールが低すぎるのが
最も危険ということです。

では高いのはよいのかというと
それも一概には言えません。

しかしいろいろな研究を見る限り、
現在、学会で定めている
140㎎/dl以上を高LDLコレステロール、
120~139㎎/dlを境界域高LDLコレステロール
という基準値には、
どうも根拠や説得力がありません。
(続く)