人は、周りの目を気にして、
違うと思っていても自分の判断を変え、
周囲に合わせようとすることが
しばしばあります。

このような傾向は日本人のみならず、
欧米人でも見られます。

そのことを示したのがアッシュの実験です。

これはどのようなものかというと、
被験者1人とサクラ7人の
合計8人のグループを作り、
みんなに以下のような
2種類のカードを見せます。

左のカードに書かれた1本の線分と
長さが同じなのは、
右のカードのA、B、Cのうちどれかを
試験官が各々に聞きます。

答えは明らかです。
上図で言えば「C」です。

普通であれば、
間違える人はほとんどいません。

このような問題を18種類用意し、
そのうち12問でサクラの全員が、
わざと不正解の「A」と答えます。

すると被検者は、
「あれ?」と思いながらも、
自分だけ違う答え(実はそれが正解)を
言うのがはばかられ、
サクラが答えた不正解の答えに合わせ、
自分も「A」と答えてしまう人が
結構いることがわかりました。

つまり、周囲に同調して
自分が正しいと思った答えを引っ込め、
周りの人に合わせてしまうのです。

この実験では、
ひとりでやった場合は99%以上の人が
正解するのですが、
上記のようなグループの場合、
誤回答率が36.8%にもなったのです。

一方、周囲に同調されず、
自分が正しいと思った答えを
最期まで言い続けた人は
全体の25%程度でした。

つまり、少なくとも一度以上、
サクラに同調して
不正解の答えを言ってしまった人が
75%もいたということです。

これはアメリカ人を対象とした研究ですが、
日本人を対象とした研究も行われており、
同様の結果が出ています。
『ウチ』への同調 日本人もアメリカ人と変わらず

会議でも反対意見を言えないとか、
食事に誘われたら嫌でも付き合うとか、
皆が残業しているから帰りにくいとか、
これらはすべて同調圧力によるものです。

もちろん、多少の意見の違いがあっても、
チームが一丸となり、
よい仕事ができるという場合もあるので、
同調することが、
必ずしも悪いというわけではありません。

また、同調圧力があったとしても、
そんなことは意に介さず、
マイペースで行動する人もいます。
(私はこちらのタイプです)

この場合も、
大きな問題が生じない限り、
その人の考えや行動はある程度、
認められるべきだと思います。

ところが、同調しないことが
あたかも悪いことだと言わんばかりに、
注意や怒りをぶつけたり、
職場でのワクチン接種のように、
権威を振りかざし、
命令に従わせようとしたりするのは
どうかと思います。

人は、上の人からの命令であれば、
自分の意に反したことであっても、
それに従ってしまうことは
ミルグラムの実験でよく知られています。

この実験内容をごく簡単に言うと、
まず、生徒役(サクラ)と
教師役(被検者)に分かれ、
教師が問題を出し、生徒がそれに答えます。

ただし、間違えると罰として
生徒に電流を流すように
指導者に言われます。

電流の強さは、最初は45ボルトで、
一問間違えるごとに
15ボルトずつ上げていくように言われ、
最高450ボルトまで上げられます。

実は、実際には電流は流れず、
生徒役は演技で悲鳴を上げるのですが、
教師役は、生徒役の悲鳴だけが聞こえ、
姿は見えないようになっています。

途中、被検者が絶叫し、
もだえ苦しむ声を聞いても、
指導者は「もっと上げてください」と
淡々と言います。

はたして教師役は、
指導者の言われるままに、
どこまで電流の強さを
上げ続けるのでしょうか。

事前に専門家の意見を聞くと、
電流の強さを最大450ボルトまで上げる人は、
ほとんどいないだろうというのが
みんなの一致した見解でした。

しかし実際には、40人中26人(65%)が、
最大電圧まで上げたのでした。

この実験から、
指導者のような
「権威」のある人から言われると、
自分が意図しないことであったとしても
それに従ってしまうという心理が働くことが
明らかになりました。

どうも私たちは、
自分の意に反することであっても、
周囲の人がみな同じような意見であれば、
それに同調してしまう傾向があるようです。

また、権威ある人に言われると、
自分の意に反していても、
それに従ってしまう傾向もあります。

このことは、
現代のコロナ禍における
われわれの行動を理解するのに役立ちます。

政府の指示に従い、
マスクの着用を徹底するのは、
その背景に、このような同調圧力や権威が
関係しているのではないかと思っています。

そのことについては
次回に述べさせていただきます。