ブログ:強い期待は効果を半減

前回の続きで、
プラシーボ反応にかかわる
意外な事実についてお話させて頂きます。

以前にもお話したのですが、
「これはプラシーボで薬効はありません」
と言ってプラシーボを飲んでもらっても
プラシーボ反応が起こり、
実際、症状が改善します。

ただし、その場合大切な条件があります。
それは、次のようなことをしっかりと
説明する必要があるということです。

プラシーボ反応はとても強力であること、
プラシーボを内服すると
条件反射的に自然治癒力が反応すること、
毎日、欠かさずしっかりと服用すること、
などです。

ただし、納得してもらう必要はありません。
本当かな~と、
疑念を持ちながら飲んでもらっても
全く構わないのです。

なぜならば、
プラシーボ反応があるという事実を
知ってもらって上で、
実際にプラシーボを服用すれば、
多かれ少なかれ条件反射的に
プラシーボ反応が起こるからです。

これがまさに心の治癒力であり
無意識の持つ力なのです。

実際、期待感の程度が
プラシーボ反応に及ぼす影響を見てみると
面白い事実が浮かび上がってきます。

それは、期待感は中等度レベルで
最もプラシーボ反応が発揮されるのですが、
軽度の期待感でも中等度と同様に
プラシーボ反応が発揮されることが
わかっています。

「本当かな~」という少々疑いの気持ちは
裏を返せば「もしかしたら‥」という思いが
多少なりともあるということであり、
それは軽度の期待感を
持っているということを意味します。

ですから、
プラシーボでも効くということに
多少の疑念があったとしても、
決められた期間しっかりと飲むという
「儀式」をしてもらえれば
それでよいのです。

一方、強い期待感は
かえってプラシーボ反応が
あまり発揮されなくなってしまうことも
わかっています。

なぜそうなるのか詳細はわかりませんが、
期待感が強すぎると、
現実の効果が思った程ではないと
感じることが多く、
かえって失望感が強くなることが
ひとつの要因かもしれないと考えています。

いずれにせよ、
プラシーボだとわかって服用しても、
また、多少の疑念があったとしても
プラシーボ反応は起こりますし、
実際、症状も改善します。

そのため、
今ではプラシーボは購入できますし、
アマゾンでも買うことができます。
https://corp.placebo.co.jp/products/placeplus/

また、ラベルにも
かなりの効果があることが知られてします。

薬の瓶に「プラシーボ」というラベルを貼り、
中身には本当の鎮痛剤を入れた場合と、
「鎮痛剤」というラベルを貼ったものに
プラシーボを入れたものを用意し、
片頭痛発作が起きたときに
どちらかを飲んでもらうという研究があります。

結果は、どちらも頭痛の軽減を認め、
両者に有意差はないというものでした。

つまり、ラベルに「プラシーボ」と
貼ってあるだけで、
本物の鎮痛剤の有効性が
低下してしまうということです。

逆に、ラベルに「鎮痛剤」と貼ってあると、
たとえ中身がプラシーボであったとしても、
それなりに鎮痛効果を発揮するのです。

さらに、ラベルではなく、
医者の言葉であっても、
薬の効果を高めたり低下させたりします。

例えば、喘息発作の患者さんには
通常、気管支拡張剤の吸入をします。
すると気管支が開き発作が楽になります。

逆に、気管支収縮剤を吸入すれば
当然、気管支が収縮するため
息苦しさは強くなり症状は悪化します。

そこで喘息発作を起こした患者さんに
一方のグループには
気管支拡張剤ですと言って、
実際、拡張剤を吸入してもらいます。

もう一方のグルーブには、
気管支収縮剤を吸入してもらいますと言って
実際には拡張剤の吸入をしてもらいます。

どちらのグループでも
気管支収縮剤を
吸入してもらっているのですが、
収縮剤ですと言われた方は、
拡張剤ですと言われた方よりも
気管支の拡張程度が半分だったのです。

つまり、医者の言葉いかんで、
同じ薬を使っているのに、
明らかに身体の反応に影響を及ぼしたのです。

要するに、ラベルにせよ言葉にせよ、
また、プラシーボだと伝えたとしても、
患者さんの「思い込み反応」により
心の治癒力は左右され、
その結果、
症状が改善したり悪化したりするのです。

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