前回は、
治療効果は治療そのものだけではなく、
体の治癒力(自然治癒力)や心の治癒力が
複雑に影響を及ぼしあった結果として
決まるという話をしました。

実は、もうひとつ治療効果を左右する
大きな要因があります。
それが医者や治療者のかかわりです。

医者や治療者のかかわり方や
コミュニケーションの仕方いかんで、
患者さんは安心したり不安になったり、
期待感を持ったり絶望したりと
かなり大きく影響をうけるものです。

このような心の状態の変化は
当然のことながら心の治癒力を
左右することになり、
それはそのまま治療効果に
反映されることになるのです。

ただし、これも病気の程度や
治療方法にも左右されます。

例えば外科手術の場合、
手術そのものの治療効果は
やはり大きいと言わざるをえません。

もちろん、術後の回復には、
患者さんの体の治癒力や心の治癒力が
関与することは知られています。

実際そのことは、
同じ手術を受けても、
窓側で外の景色が見える部屋と
廊下側の部屋で過ごす患者さんとでは
前者の方が、
回復が早いという事実からもわかります。

そうは言っても外科手術の場合、
人柄か腕のよさかと言われれば、
多くの人は人柄よりも
腕のよさを優先するのではないでしょうか。

ですから、
医者の態度やコミュニケーションは
とても重要であるとはいえ、
実際には、治療の種類によっても
その重要度は変わってくるのです。

ただ、多くの治療では、
やはり医者の態度はコミュニケーションの
うまい下手は患者さんの心の治癒力に
大きな影響を与えるため、
治療効果を左右する重要な要因であることには
変わりありません。

では、医者や治療者が、
イケメンや美人であったりした場合も
治療効果に影響を及ぼすのでしょうか?
これは、少々複雑な問題を孕んでいます。

以前、ボランティアでカラーセラピストが
2週間に1度、緩和ケア病棟に
カラーセラピーをしに来てくれていました。

それを受けた三人の
前立腺がんの患者さんの腫瘍マーカーが、
劇的に低下したということがありました。

通常、末期がんの患者さんは、
抗がん剤治療などをしない限り、
腫瘍マーカーが下がることはないので、
これはとても不思議な現象でした。

なぜそのようなことが起きたのかを
私なりに考えた結果、
これは「お姉ちゃん療法」による効果だ!
という考えにたどり着きました。

どういうことかというと、
カラーセラピーをするセラピストが、
とてもきれいな女性だったのです。

そのため、80~90歳代の
おじいちゃんからすると
若くてきれいな女性が来てくれるのを
毎回、とても楽しみにしていたのです。

実際、
通常は10分程度で終わるカラーセラピーを
楽し気なお話が延々続くため、
毎回1~2時間経つこともざらでした。

つまり、この患者さんの
腫瘍マーカーが下がったのは、
きれいなお姉さんと毎回楽しく話をすることで
喜びという心の治癒力が
大いに引きだされた結果ではないかと
考えたわけです。

このような事実から、
患者さんとかかわる医者や担当ナース、
ボランティアが
とてもきれいだったり格好よかったりして、
ウキウキしたりドキドキしたりするのであれば、
それにより心の治癒力が最大限に発揮され、
治療効果にも大いに反映されるのではと
思った次第です。

その意味では、医療者の容姿は
治療における大きな要因だと言っても
よいのではないかと密かに思っています。

当然、これは女性患者にも言えることです。
主治医がとてもイケメンで、
自分のお気に入れであれば、
当然ときめくでしょうし、
診察に行くのが楽しみになることでしょう。

この状況は明らかに、
心の治癒力を高めることになります。

ですから、私は「イケメン療法」も
当然ありだと思っています。

実際、講演などでこの話をすると、
女性の参加者はニコニコしながら
大きくうなずいてくれます。

それを見て、
女性も私の考えに「同意」してくれたと、
勝手に思っています。

もっとも、
「お姉ちゃん療法」や「イケメン療法」は
それを全面に出すことはないので、
患者さんにとっては
とても楽しい「秘密の治療」になります。

そうは言っても、
心の治癒力は容姿だけに
影響を受けるわけではなく、
態度やコミュニケーションの仕方など、
総合的な印象で左右されるものです。

私などは容姿ではどうにもならないので、
態度やコミュニケーションの仕方で
点数を稼ぐしかありません。

でも、それで患者さんに
好意的な印象を持ってもらえるのであれば、
それで十分、心の治癒力を引きだすことは
可能だというわけです。

最後に、ひとつだけ
言い忘れたことがあります。
実は「お姉ちゃん療法」や
「イケメン療法」にも最大の欠点があります。

それは、患者さんが知らず知らずのうちに
治療を長引かせるため、
なかなか治療が終了しないということです。