ブログ:コミュニケーション医学連続講座
来週の9月16日から
ホリスティックヘルス情報室で
月1回のペースで全4回の
コミュニケーション医学連続講座を
開催することになりました。
→コミュニケーション医学連続講座案内
本来は、夜の19時~21時頃に
Zoomで開催される講座だそうですが、
その時間には仕事はしないし、
9時には寝るからと言って、
一度はお断りしました。
そうしたら、
録画映像でOKと言われたので、
それならばということでお受けしました。
ところが、1回が約2時間で、
これが4回あるので合計8時間です。
こんな長い時間、
一体何を話そうかと少々悩みましたが、
とりあえずの全体の構想を練って、
先日、第1回目の録画を終了しました。
今回は、コミュニケーション医学についての
集大成の話になるので、
いっそのこと、この講演をまとめて
本にして出版するのも
いいなと思うようになりました。
まあ、実際にはどうなるかわかりませんが、
とりあえず取り組んでいます。
第1回は総論で、
「コミュニケーション医学とは」です。
そもそもコミュニケーション医学って何?
という話ですが、とりあえず
『様々な「かかわり」「きっかけ」
「コミュニケーション」が治療効果を
左右するという視点に立った医療、医学』
としました。
今回強調したかったことのひとつに、
「儀式」と「道具」の話があります。
すべての治療には
プラシーボ的な側面があるという話です。
プラシーボ(乳糖などの薬効がないもの)を
服用しても、
うつや痛みといった症状が軽減することは
よく知られた事実です。
だからこそ、薬の効果を実証し、
厚労省から認可をもらうためには、
必ず実薬とプラシーボの比較試験をして、
実薬を飲んだ人の方が、
プラシーボを服用した人よりも、
症状の軽減効果があったということを
証明する必要があるのです。
ここで重要になってくるのは、
実薬を内服して症状が軽減した場合でも、
そこにはプラシーボ反応によるものも
含まれているということです。
プラシーボ反応とは、
内服などの治療を受けた際、
これで症状がよくなるかもという
無意識レベルでの期待感により
実際に症状が軽減することを言います。
つまり、プラシーボ反応とは
期待感や安心感、信頼感といった
心の働きにより生じるものなのです。
言い換えるならばプラシーボ反応とは、
「心の治癒力」の働きそのもののことです。
ここで私が投げかけた質問があります。
心の働きによって症状が軽減するのであれば、
実際、プラシーボなどを使わなくても
心の持ち方だけで症状を軽減させることが
できるのではないかという質問です。
答えは、yes or NO!です。
どういうことかというと、
確かにイメージだとか瞑想などを通して、
心の力だけで症状を軽減させることは
ある程度は可能です。
そういう意味ではyesです。
しかし、
そういうことに慣れていない普通の人が、
そう簡単にできることではなく、
その意味ではNO!なのです。
安心感や期待感といった感覚は、
何かの「きっかけ」があってこそ
生まれるものなのです。
その「きっかけ」となるのが、
プラシーボを飲むという行為なのです。
その行為があって初めて、
「これで効くかも」という期待感が生まれ、
「飲んだから大丈夫」という安心感も
出てくるものなのです。
その結果、期待感や安心感という
心の治癒力が引き出され、
症状が軽減するのです。
その意味では、
「心の治癒力」を機能させるためには、
きっかけとなるプラシーボは
必要不可欠な存在だと言えます。
ですから、
「病は気から」とか「気持ちの持ちよう」と
よく言われますが、
それは間違いだということがわかります。
何のきっかけもなしに、
そんな思いを持つことなど
できないのです!
さて、ここでようやく
「道具」と「儀式」の話ができます。
いま述べたようにプラシーボは
「心の治癒力」を引きだすために使われる
「道具」であり、
プラシーボを飲むという行動が
その「儀式」になるのです。
このような「きっかけ」があるからそこ、
期待感や安心感がうまれ、
結果として症状が軽減するのです。
この「道具」と「儀式」という考え方は
通常の薬を飲んだときにも当てはまります。
ただし、プラシーボのときと異なるのは、
症状の軽減には、
薬そのものの効果も含まれるということです。
そうは言っても薬効には
プラシーボ反応による効果が
30~60%も含まれると言われています。
ですから「道具」や「儀式」による
プラシーボ反応の側面は、
薬そのものの効果よりも
症状の軽減に大きな影響を与えている可能性が
十分にあるということです。
それが代替療法であればなおさらのことです。
ところが、医者はもちろんのこと、
代替療法の治療家やセラピストも
治療そのものによる効果にばかり目を向け、
「道具」や「儀式」による
プラシーボ反応の側面があることは
あまり重視しません。
これはとてももったいないことなのです。
なぜならば、「道具」と「儀式」を通した
かかわり方や説明の仕方いかんで、
プラシーボ反応を大いに引きだし、
治療効果をさらに上げることができるからです。
そんなことを考えていたので、
今回の講演では、
「道具」と「儀式」の意味や重要性について
少々強調して話をしました。
(続く)