前回は心の治癒力に対して、
多くの人が持っている誤解について
お話をしました。

要するに、
「気の持ちよう」「自分を変える!」
「やる気や意欲が大切」といった思いが、
心の治癒力を発揮させるのに重要、
というのは大きな誤解だという話です。

これらはすべて「意識的」な思いです。
しかし、心の治癒力は、
肯定的な思いが持っている「無意識の力」です。

前回も言ったように、
意識的な思いは、
無意識の力を抑圧してしまうため
心の治癒力がうまく
発揮できなくなってしまうのです。

では、どうしたら心の治癒力を
うまく発揮させることが
できるのでしょうか。

キーワードとなるのは、
「つながり」「きっかけ」「行動」です。

人は、様々なつながりによって
知らず知らずのうちに
心の治癒力が引き出されます。

典型的な「つながり」は、
信頼できる人や存在、落ち着ける環境です。

それにより安心感や信頼感、
安らぎやくつろぎ、癒しといった
心の治癒力が自ずと活性化されます。

これらは、心の治癒力が
遺憾なく発揮されるための
下準備としてとても大切になってきます。

さらに「きっかけ」は
心の治癒力が最大限に発揮されるための
重要な要素となります。

例えば、誰かの一言、
本や講演で語られていた言葉など、
気づきやひらめきをもたらす言葉や
コミュニケーションがその典型です。

さらには、
インパクトのある経験や体験なども、
気づきや希望、可能性という心の治癒力を
引き出す可能性がおおいにあります。

また西洋医学にせよ、代替療法にせよ
治療的なかかわりも、
心の治癒力を引きだすきっかけになります。

それらにより、安心感や期待感、希望が
引き出される可能性が十分にあるからです。

このように、
心の治癒力を引きだすための「きっかけ」は、
様々なものが存在しており、
そこに医者やセラピストが関わるのであれば、
その人にとってどのようなきっかけが、
最も適切に機能するかを考えながら
対応することが大切になってきます。

最後は「行動」です。
これをもう少し正確に言うと、
「それならできると思える
小さな第一歩としての行動です」

多くの人が誤解していることのひとつに
「やる気を出すから行動する」
というものがあります。

実際は逆であり、
「行動するから、やる気が出てくる」のです。

例えば、夕食後の片付けを考えれば、
すぐに理解できると思います。

食器を流しに持っていき、
それを洗って片付けるという作業は、
なかなかやる気が起こらないという人も
多いと思います。

しかし、お皿一枚だけ洗うのであれば、
それならできると思い、
お皿を一枚洗うという行動をします。

ところが、一歩踏み出せると、
ついでにもう一枚、さらにもう一枚と思え、
結局、全部片づけることができてしまうのです。

このことからもわかるように、
やる気は行動することにより出てくるものであり、
あくまでも、行動が先なのです。

そして、行動を起こすためには、
「それならできる」と思えるような
小さな行動であることが重要です。

いきなり、すべての食器を
洗う気にはなりませんが、
「それならできる」と思えるほどの
小さなことであれば
行動に移ることが可能だからです。

「それならできる」という思いも、
無意識レベルの思いです。
「それならできると思うぞ!」などと
意識しなくても自ずと持てるからです。

その思いに応じて、
小さな行動を取りさえすれば、
自ずとやる気が引き出され、
結果として、それがさらなる行動を促し、
そこに良循環が生まれ、
最終的には目的を果たすことが
できるというわけです。

このように、「小さな行動」は、
片付けや勉強、運動や食事療法など
やらなくてはいけないと思いながらも、
なかなかその気になれなかったり、
やったとしても三日坊主で終わってしまうような、
そんなことには有用です。

今述べた
「つながり」「きっかけ」「行動」はすべて、
無意識レベルに働きかけることで、
心の治癒力をうまく引き出すという
働きをしています。

ですから、私たちは、
「がんばる」とか「自分を変える」という
思いに意識を向けるのではなく、
どうしたらそのような状況を作れるのか、
どうしたらそのような状況を
提供できるかに
意識を向ける必要があるのです。

その点を十分に理解していないと、
つい、意識的に頑張ってしまったり、
思いを変えようと無駄な努力を
してしまうことになります。

この点は、いくら強調しても
強調しすぎることはないくらい
大切なことです。

是非、その点を
ご理解いただけたらと思います。