ブログ:自信はなくてもいい①

先日、ラス・ハリス著
「自信がなくても行動すれば
自信はあとからついてくる」(筑摩書房)を
読みました。

ラス・ハリスの本は
以前にも紹介しましたが、
これは3冊目の翻訳本です。

今回はその内容を
二回に分けて紹介させて頂きます。

この本は、
どうしたら自信のない自分が
自信が持てるようになるかということについて
ACT(アクト)という心理療法の
考え方に基づいて書かれています。

一般的に自信とは、不安や恐れがなく、
確信に満ちた強い「感情」だと
定義されています。

しかしこの本での自信の定義は違います。
不安や恐れがありながらも、
自分を信頼して行う「行動」が
自信だというのです。

例えば、初めて人前で講演をするような場合、
不安や恐れがないわけではありません。
でも、自分を信じ、やるしかないと思い
講演に臨みます。

これが自信の行動です。

つまり、不安や恐れがあってもいいのです。
その不安や恐れを持ちながらも、
自分にとって価値ある行動をすることが
自信だというのです。

そういった行動ができれば、
自ずと、一般的な意味での自信、
つまり確信に満ちた心も
あとからついてくるというのが
著者の言いたいことです。

しかしたいていの人は、
不安や恐れを抱くことを避け、
自分にとって価値ある行動であっても
それをしないため、
いつまでたっても自信が持てないのです。

自信のない人には以下のような特徴があります。
1,期待が大きすぎる
2,自己評価が厳しい
3,怖れにとらわれている
4,経験が不足している
5,スキルが不足している

では、これらに対処し、
不安や恐れを抱きつつも、
自分にとって価値ある行動を取るには
どうしたらよいのでしょうか。

そのためには、
「自分はダメだ」とか
「失敗したらどうしよう」といった
ネガティブな思いをいかに中和し、
意識を今ここに向け、
行動に集中できるかがポイントになります。

先ずネガティブな思い込みに
どのように対処するかです。

一般的に、ネガティブな思いに対しては
それに対抗しようとしたり、
排除しようとしたりしますが、
これは逆効果です。

なぜならばネガティブな思いに
意識を向けることで
より一層こだわってしまうからです。

ではどうするのか。
それはネガティブな思いを受け入れるのです。

もちろん、
これはそう簡単なことではありません。
でも、ACTはそれを実行するための
「脱フュージョン」というテクニックを
持っています。

脱フュージョンについては
以前にも紹介しましたが、
これは、自分のネガティブな思いに
巻き込まれている状態から
自分を切り離なすための方法です。

例えば、
「自分はだめだ…という思考を持っている」
と心の中でつぶやいたり、
ハッピーバースデーの歌に載せて、
「自分はダメだ~♪」と歌ったりするのです。

そうすることで、
自分のネガティブな思いを客観視したり、
歌詞にすることで、
意味を伴った言葉を「単なる言葉」に
変換したりすることができるので、
ネガティブな思いが弱毒化されるのです。

もしもこれがうまくできるようになると、
猛毒をもったマムシやハブを
ガラス越しに見ているかのように、
自分のネガティブな思いを
不安や恐れの感情を持たずに
客観的に眺められるようになります。

ですから、ネガティブな思いを
排除しようとする必要はないのです。

もちろん、そうは言っても、
一瞬そのようにできても、
またすぐにネガティブな思いが
湧き上がってきてしまうのが一般的です。

でも、それでいいのです。
ネガティブな思いに
また捕まっていることに気づいたならば、
脱フュージョンのテクニックを使って
同じように弱毒化し、
あとはそれを繰り返せばよいのです。

これ以外にも、
ネガティブな思いに
名前を付けるという方法もあります。

「また、ダメ子(夫)がわめいている」
「ミスター悲観の登場だ」
「悲劇のヒロイン物語の始まりだ」
といった具合です。

こうすることで、
自分のネガティブな思いを客観視できるので、
その思いから少し距離を置くことができます。

また、実際に
仕事で失敗をしてしまったとしても、
そんな自分を「ダメな人間」と
評価するのではなく、
「確認を怠ったのがまずかった」と考え、
同じ失敗を繰り返さないように
対応策を考えればよいのです。

つまり、「行動」を評価するのは大切ですが、
「自分」を評価する必要はないということです。
(続く)

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