前回は、自信が持てない人が
抱きがちなネガティブ思考の扱い方、
対応の仕方について
ACT(アクト)の考え方に基づいて
話をしました。

今回は、行動についての話です。

ネガティブな思いを受けとめ、
今に意識を向けることができたとしても
目標に向かって何かしらの行動を
取らなければ何も変わりませんし、
自信も持てるようにもなりません。

しかし新たな行動をしようとすると、
「怖いなあ」「不安だなあ」「嫌だなあ」といった
感覚が湧き上がってくるのが普通です。

人は、今まで慣れ親しんだ
居心地のいい状況から抜け出し、
不快感を伴う新たな行動を取ろうとすると
抵抗を感じるものです。

ここで大切になってくるのが、
自分の「価値」を
はっきりさせるということです。

価値とは、挑戦、思いやり、楽しさなど
その人を行動へと突き動かす
原動力となるものであり、
自分が進むべき方向性を
示してくれるものでもあります。

例えば私の場合は、
自由:生き方や行動において自由を重んじる
楽しさ:楽しい行動を求め、没頭する
独立性:独自の道を行くことを重んじる
自己啓発:成長や向上をし続けようとする
などです。

なお「価値リスト」を見たい方は
以下をご覧ください
→価値リスト

このような、自分の持っている価値を
はっきりさせることが、
目標に向かって進んで行き、
困難に立ち向かうためには大切になります。

また、価値には
正しいも間違っているもありませんし、
自由と協調性といった、
相矛盾する価値を持っていても構いません。

さらに今の価値と、
5年後、10年後の価値が
変わることも当然あります。

人は矛盾に満ちた生き物であり、
何事も諸行無常です。

当然、満足感や幸福感をもたらすものなど
人それぞれ全くちがうに決まっています。
人の価値とはそのようなものです。

話はそれますが、
私は高級料亭や高級レストランは
どうも居心地が悪く、
赤ちょうちんや大衆酒場の方が
ずっと好きです。
(どうでもいい話でした)

話を戻しましょう。

ただし、この価値を
ルールや命令と間違える人がいます。

例えば、自分は
このような人間でなければならない
という思いから、
「受容」「思いやり」「感謝」「勇気」
といった価値を選ぶ人もいます。

そのような価値をもって行動するとき、
自分の力が最大限に発揮され、
喜びや幸福感を感じるのであれば、
それはそれでよいのですが、
義務感や「ねばならない」という思いで
動いているのであれば、
それは価値ではなくルールや命令です。

価値と、ルールや命令は似て非なるものです。
ここは気をつけなくてはいけません。

また、自分に価値ある行動だとしても、
新たな第一歩を踏みだすには、
居心地のいいコンフォートゾーンから出て、
不安や恐れに直面しなければなりません。

そのときに生じる感情や感覚に
どのように対処するのかも重要です。

例えば、講演を頼まれ、
初めて多くの人前で
話をすることになったとしましょう。

当然、不安や緊張があり、
心臓はドキドキし、胸が締め付けられ、
手は汗ばんできます。

この場合も、ネガティブな思考と同様、
まずは、自分の感情や感覚の存在に
気づくことが重要です。

その際、その感覚を最も強く感じる
身体部分に注意を向け、
「あ、恐れだな」「パクパクが来たな」
といった具合に名前で呼びながら、
その感情、感覚を受け止め、
居場所を作ってあげるのです。

居場所を作るというのは
その感情に抵抗したり、
コントロールしようとするのではなく、
「このままそこにいてもいいよ」と受けとめ、
そこに存在することを
許してあげるということです。

あとは自分の周囲にある
見えるもの、聞こえるもの、
感触、匂いといったものにも意識を向け、
すべてとのつながりを感じつつ、
感覚を拡張すればよいのです。

このように、
恐れや不安の存在を感じつつ、
周囲にも意識を向け、
感覚が拡張すれば、
不安や恐れにばかり集中しないですみます。

そうなれば、
あとは自ずと、自分がやるべきことに
集中できるようになります。

この考え方は、森田療法の「あるがまま」と
全く同じです。

森田療法との違いは、
ACTの方がより詳しく、
「あるがまま」でいられるためのテクニックを
詳しく教えてくれているところです。

要するに不快な思考も感情も、
それを何とかしようとするのではなく、
そのまま受けとめ、そこに置いておき、
それとは別に、
今やるべきことに意識を向け、
その行動に集中すればよいということです。

このようにして、
不安や恐れを持ちながらも
自分にとって価値あることに取り組み
少しずつ経験を積み重ねていくことにより
次第に自信がついてくるというわけです。

興味のある方はぜひ、
「自信がなくても
行動すれば自信はあとからついてくる」
(筑摩書房)を
お読みください。