(前回の続き)
人は自分の考えと異なる情報を与えられると
それは無視し、
逆に自分の考えに固執するようになります。

なぜならば、人は自分の考え方が
正しいと思っているからです。

そんな相手の思いを変えるのに、
大切になってくるのが、
許容ゾーンの考え方です。

自分にとって新しい情報が、
許容範囲内のものであれば、
受け入れられますし、
許容できないレベルのものであれば、
拒絶されます。

つまり、相手の考えや思いのなかで
許容範囲の部分を探すことが
ひとつのポイントになります。

例えば、相手の許容範囲に入るまで
お願い事を小さくするというのは
よく使われるテクニックです。

例えば、毎日缶コーヒーを
10本飲んでいる人に、
缶コーヒーを飲むのをやめなさいと言っても、
まずやめてくれません。

つまり、缶コーヒーの飲み過ぎが
健康によくないとわかっていても
それをいきなりやめるというのは
拒絶領域の要望です。

そうではなく、
10本のうち1本をミネラルウォーターに
変えるという提案であれば、
これならば受け入れてくれるかもしれません。

もちろん、それも拒絶されたならば、
何本に1本くらいなら
缶コーヒーをミネラルウォーターに
変更できるかとたずねたらよいのです。

そのような質問をすれば、
例えば30本に1本とか50本に1本、
つまり、3日や5日に1本程度なら
できると言ってくれます。

その人にとっては、
そのレベルが許容範囲だということですから、
そこまで小さくする必要があります。

第一歩を踏み出してくれれば、
あとは2本、3本と
少しずつ増やすことはできるので、
最終的には缶コーヒーをやめられる
可能性も出てきます。

また、人はリスクのある状況や
不確実な状況を嫌い、
その評価も低くなります。

たとえば、テレビショッピングなどで
サプリメントや布団の宣伝をしていますが、
購入する側からすれば、
それが本当に効果があるのか、
よく眠れるようになるのかはわかりません。
つまり効果に関しては不確実です。

その不確実性のために
人は購入をためらうのですが、
もしも、最初の1か月は無料だったり、
効果が感じられなければ返品可能であれば、
とりあえず試してみようと思う人は
十分にいると思います。

つまり不確実性のあるものに対しては
お試しで簡単に経験できることが
大切になってきます。

そうすることによって
不確実性のためにためらわせている行動を
促すことができるのです。

さらに、一度手に入れてしまうと、
多少の不満があっても「まあいいか」と
思ってしまう傾向があるため、
より購入してくれる可能性が高くなります。

また、自分が信じているものに対して、
誰かにあれこれ言われたとしても
そんなことは無視して、
自分の信念を貫こうとします。

しかしいろいろな人から
同じ事を言われると、
人は自分の考えを変える可能性が
高くなります。

以前私は、ニンジンジュースが
身体によいということを知り、
これを実践することにしました。

ところが、ある時ナースに
先生、最近飲み過ぎていませんか?と
聞かれることが多くなったのです。

ニンジンリンゴジュースを飲み続けると
手や顔が黄色くなってくるので、
それを見て黄疸が出ていると思ったのでしょう。

最初は言われても
全く気にしなかったのですが、
人と会うたびに、同じことを言われるので、
それが煩わしくなり、
結局1年を機に飲むのをやめました。

当然、顔色は通常に色にもどり、
肝臓が悪いのでは?などと言われることも
なくなりました。

このように、最初は気にならなくても、
異なる人から同じ事を言われると、
段々と気になってくるのが人の心理です。

上司への提案でも、
異なる人が続けざまに、
同じ提案をしてきたならば、
最初は受け入れる気がなくても、
何か気になり、
その提案を考えてくれたりします。

人は異なる人から、
同じ事を言われると、
段々と気持ちが変わってくるのです。

このように、
その人の決断や行動を妨げている
心理的障害を取り除くような対応をすることで
人は決断や行動を変えるようになります。

説得して変えるとか、
ごり押しをして変えようとするのではなく、
抵抗を緩めることで変えるという視点も
大切だなとこの本を読みながら思った次第です。