先日、面白い本を見つけました。
ジョーナ・バーガー著の
「一瞬で人の心が変わる伝え方の技術」
(かんき出版)です。

ここで述べられているのは、
どうしたら人の心が変わるような
コミュニケーションが
取れるかということなのですが、
今までにない切り口での話だったので
一気に読んでしまいました。

その切り口とは、
変化を妨げている障害物を取り除く
という視点です。

人の考えや思いを変えさせるというのは
そう簡単なことではありません。

無理に変えよと思っても
変わるわけもなく、
それどころか
かえって頑なになってしまうのが普通です。

ところがこの著者は、
人を変えようとするのではなく、
変わるのを妨げている障害物を
取り除いてあげれば、
人は自ずと変わっていくと言うのです。

まさにその通りだと思いました。

私のコミュニケーションの考え方は、
希望や可能性に
自ずと目を向けざるをえない状況を作り、
それをきっかけとして、
行動の変化を促すというやり方をしています。

ですから、障害物を取り除くという視点は
あまり意識していませんでした。

ただ、ここで言う障害物とは、
人間関係や職場環境といった
物理的な障害物のことではなく、
人が自ずと抱いてしまう
心のクセのようなものを言っています。

例えば、人は変化よりも現状維持を好むとか、
不確かなものには手を出そうとしないといった、
そんな心のクセを誰もが持っています。

このような障害物としての心のクセを
緩めたり外したりするための
様々な視点やアプローチを
ここでは紹介してくれています。

ですから、私のやっている
コミュニケーションの考え方と
重なっているところも多く、
とても共感を覚えるとともに、
大変勉強になりました。

この本では変化を妨げる5大要因として
「心理的リアクタンス」「保有効果」「心理的距離」
「不確実性」「補強証拠の不足」を挙げており、
これらを減らすような伝え方をすれば、
人は自ら進んで考えと行動を
変えてくれるというのです。

ここでは、これらについて
面白そうなところをピックアップし、
それを簡単に紹介させて頂きます。

人は誰かに言われたことに従って行動するのには
やや抵抗を持つ傾向があります。
なぜならば、自分の行動は自分で決めたいと
思っているからです。

そんな抵抗を外すテクニックがあります。
それが選択肢の提示です。
例えばブロッコリーや鶏肉が嫌いな子供に
「どっちを先に食べる?
ブロッコリー?それとも鶏肉?」と
たずねるのです。

これはよく使う手です。
このような選択肢を与えて
本人に選んでもらうと、
あたかも本人が自分の意志で
ものごとを決定したかのように
思ってしまうのです。

ですから、
ブロッコリーを食べなさいと言うよりも、
食べてくれる可能性がずっと高くなるのです。

また、相手を理解するテクニックとして
「戦術的共感」があります。

例として取り上げられていたのは、
人質交渉でのやりとりでしたので、
一般的な方法ではないのかなと思いきや、
全くそんなことはありませんでした。

要するに、相手の思いや感情を理解し、
共感を示すことで信頼関係を築くと同時に、
相手に影響力を与える下地を整えるというのが
戦術的共感です。

もちろん、私が人質交渉を
することはありませんが、
入院患者さんやその家族が激怒している状況には
何度か対応したことはあります。

まさに、そのときの対応が
この戦術的共感だなと思いました。

相手の激怒を受け入れ、時には謝罪しつつ、
相手の思いに共感的態度で接するのですが、
同時に、状況を改善するための方向性を
模索する作業もしていくのです。

その意味では、
3月22日と26日のブログで書いた
「共感してはいけない!?①②」の
「認知的共感」に似ているなと思いました。

情緒的な共感ではなく、
冷静な視点を持った共感は
相手に影響を与える状況を作るのには
必要不可欠な要素だということを
改めて認識させられた次第でした。
(続く)