前回の続きです。
私の大好きなメンタルマジックの中には、
どう見ても超能力としか思えないものや、
未来の出来事を予知していたとしか
思えないものもあります。

以前、アメリカのあるマジシャンが
こんな予言マジックを披露しました。

透明のボックスに
あるメッセージを書いた紙を入れ、
蓋を閉じ、開けられないようにした状態で
施設の金庫に保管します。

そのボックスを開けるのは
一か月後の本番のステージで行います。

当日、金庫から取り出されたボックスが
ステージに運び込まれ、
多くの観客がいる前でそのボックスが開けられ、
観客の一人によって、
その中にあったメッセージが読み上げられます。

そこには、その日の朝刊の一面に載っていた
前日の飛行機事故のことが
書かれていたのです。

実際、この事故で200名以上の乗客が
亡くなっています。
その事実を1か月前の段階で、
彼は知っていたということになります。

これはあくまでメンタルマジックなのですが、
どう見ても予知能力があったとしか思えません。

事実、あまりの衝撃に、
世界中の新聞がこれを取り上げ、
またそのマジシャンは
テレビやラジオにも出演しました。

そこで彼は、あくまでもあれは
マジックだと主張したのですが、
多くの人は、
いや、超能力を発揮して予知したに違いないと
信じて疑いませんでした。

そのため、
事故が起こることがわかっていたのなら、
どうして未然にそれを防ぐような対応を
しなかったのかという意見や投書が
数多く寄せられ、
しばらく混乱が続きました。

こんなこともできてしまうのが
メンタルマジックのすごいところです。

上手な占い師なども、
過去や未来の事実を当てたり、
本人にしかわからないようなことを
言い当てたりすることをしますが、
これもメンタルマジックの一種です。

ここでは主に、
コールドリーディングという手法を使い、
いかに相手に当たったと思わせるか、
いかに心を読み取られて
いるかのように思わせるかを、
様々なテクニックや演出を使ってやっています。

最も有名なテクニックのひとつが
パーナム効果を利用した方法でしょう。

例えば、相手に対して
「あなたには人に好かれたいという
強い欲求がありますね」
「今までに腰や背中に
問題を感じたことがありますね」

こんなことを言うと、
ほとんどの人は当たっていると思います。

しかしよく考えると、
人に好かれたいと思わない人は
まずいません。

また、今までに腰や背中を痛めたりぶつけたり、
違和感を持ったことがない人の方が
珍しいと思います。

このように、
誰にでも当てはまるようなことを
言ったとしても、
人は自分のことを言われていると錯覚し、
あたかも自の心や過去を
見通しているように思ってしまうのです。

こんなテクニックをたくさん使えば、
「もしかしてこの人って本物?」と
思ってしまっても無理はありません。

そうなれば、
あとは簡単に誘導の乗ってくれますし、
すべてが当たっているかのような
錯覚をさせることは
マジシャンや占い師にとっては
そう難しいことではありません。

このようにメンタルマジックは
人を信じさせたり、
思いをコントロールできたりするので、
中にはこのテクニックを悪用する人もいます。

高額な商品を買わせたり、
振込詐欺などは、
メンタルマジックのテクニックを悪用する
まさにその典型的な例です。

このテクニックを悪用するのは論外ですが、
教える側としては、
その人は良心に基づく行動をしてくれると
信じるしかありません。

私も当然、このテクニックは、
悩みや問題を抱えている人の手助けに使います。

さりげないコミュニケーションの中で、
知らず知らずのうちに
相手の気持ちが良い方向に向くようにしたり、
やってみようという気になるようなことを
言ったりしています。

小さい頃から夢中になっていたマジックの経験が
コミュニケーションに役立つなんて
当時は全く思いもしませんでした。

でもコミュニケーションのセミナーを
続けているうちに、
表面的なテクニックだけではなく、
マジックで培ったものの見方や感覚が
とても役立つことがわかってきました。

マジックが好きだった私が
心理療法やコミュニケーションに
強い関心を持つようになったのも、
ある意味、必然だったのかもしれないなと、
ふと思ったりする今日この頃です。