前回はダイエットを例に
心の二つの側面である
「思い」と「感情」の不一致を
解消させる方法について
「環境」や「行動」の視点から
お話をさせて頂きました。

今回は、思いと感情の不一致を
解消するのが最も難しい、
人間関係における「嫌い」という感情について
考えてみたいと思います。

例えば、前々回のブログで紹介したような、
自分勝手で短気で
思いやりのない母親が嫌いで、
ちょっとしたことですぐに喧嘩になる、
というケースを考えてみましょう。

小さいころから積み上げられた
ネガティブな経験や出来事があると
嫌なイメージや思いを変えることは
容易ではありません。

もちろん離れて暮らすことにより、
喧嘩になる状況をなくすという
「環境」を利用した対応も考えられます。

しかし、母親が高齢で
同居せざるをえない場合もあるので、
一緒にいながらも、
どうしたらうまく対応できるのかを
考えていく必要があります。

よく、
「母はもっと優しくなるべきだ」という思いを
「高齢なんだから許してあげよう」という思いに
変えることができれば、
嫌だという気持ちも軽減すると言われます。

確かにそうなのですが、
しかし、理屈通りにはいかないのが現実です。

過去のつらい経験や出来事の
積み重ねによって形成されたネガティブな思いは
きれいごとの言葉で変えられるほど、
軽くて浅いものではないのです。

ダイエットでも、
「5キロやせる」という強い思いを持つというのも
そんなに簡単なことではないのに、
ましてや、長い歴史がある母親への思いとなると
さらにハードルが高くなるので、
現実的には容易ではないことは
十分に察しがつくと思います。

また、ダイエットのときと同じように、
「行動」の視点をうまく使い、
多少なりとも母親が喜ぶようなこと、
例えばプレゼントを渡すなどというのも
決して悪いことではありません。

そんな小さな行動でも、
母親が喜んでくれたり
感謝の思いを持ってくれるという
成功体験を積み重ねていくことができたならば
母親の態度も多少は変わり、
母へのネガティブな思いも
少しは緩むかもしれません。

しかし、このような小さな成功体験の
積み重ねだけでは、
母親へのネガティブな思いを変えるまでには
なかなか至りません。

ではどうしたらよいのでしょうか。
このようにネガティブな思いが強い場合は、
それを無理に何とか変えようとするのではなく、
「時間」や「きっかけ」という要因も
取り入れながら、
自分の思いが緩んでくるのを「待つ」というのが
有効な方法になると思っています。

逆に、何とかしようと思えば思うほど、
思いが空回りしてしまい、
結局は喧嘩を繰り返すだけであり、
かえって状況を
悪化させてしまいかねません。

最も悪いのは、
いくら努力してもうまくいかないと、
自分の未熟さや努力不足を嘆き、
自分を責めてしまうことです。

そうなると、自尊心や自己肯定感が低下するため、
母親のことばかりではなく、
すべてのことに対してネガティブに
なってしまうからです。

ですから、先ずはよい意味で
自分の思いを変えることをあきらめることです。
あきらめるというのは、
問題の解決を放棄するという意味ではありません。

しばらくの間、自然の流れに任せておき、
時間の経過により、
状況が変わるような出来事やきっかけが
起こるのを待つという意味です。

何も考えずに、自然の流れに委ねておく方が、
何かしなくてはという思いがなくなる分、
ストレスの度合いが軽減しますし、
問題から離れることにより、
逆によいアイデアや工夫が
思いつきやすくなるものです。

また、事故や病気といった、
今までの流れとは異なる突発的な出来事が起こり、
それがきっかで母親の態度や気持ち、
さらには母親への自分の思いにも
変化が起こるかもしれません。

いずれにせよ、
何とか変えようともがくのではなく、
自ずと変わる「きっかけ」が来るのを
「待つ」というのも
とても有用な視点なのです。

これらすべての取り組みをしたにもかかわらず、
全く思いに変化がなかったならば、
どうするのか。

長い人生、すべてが思い通りに
なるわけではありません。

思いが変わらないことがあっても
それはそれでいいじゃないですか。
人生とはそんなものです。