前回は心の二つの側面、
つまり思いや考えといった思考の側面と、
喜怒哀楽や「~したい」といった感情の側面の
二つがあるという話をしました。

思いと感情が一致している場合は
何の問題もありません。

つまり「食べたいものをたべたらいい」
という思いを持っている人の目の前に、
美味しそうなケーキが出てきて、
それを「食べたい」と思ったらならば
食べたらよいのです。
ここには何の問題もありません。

ところが、「太るので間食はしない」
という思いを持っている人に、
同様のことがあると、
思いと感情の不一致が起こります。

つまり「食べてはいけない」という思いと
「食べたい」という気持ちがぶつかり、
心の中で葛藤が生じるからです。
これはストレス状態です。

いくら自分に言い聞かせて、
「絶対に食べちゃだめ!」と思っていても、
たいていの場合は感情が勝つので、
目の前のケーキを食べてしまい、
その後、「やってしまった!」と
後悔するパターンを繰り返すことになります。

このようなときの対応の仕方には
二つの考え方があり、
その際に役立つのが、
「環境」と「行動」の視点です。

ひとつは思いと感情の不一致が起こる状況を
避ける工夫をすることです。
これは「環境」の視点からの対応です。

最も単純なのは、
間食ができてしまう状況を
作らないということです。

例えば家にはお菓子類は置かないとか、
友達と喫茶店に行っても、
「ケーキは注文しない」と
みんなで決めておくというものです。

ギャンブル依存や薬物依存でも、
それができない環境に置かれれば、
ほとんどの場合、依存はなくなります。
これと同じことです。

もうひとつの対応は、
「行動」から入っていくやり方です。

思いを直接的に変えるのは難しいのですが、
行動を通して
少しずつ思いを緩めることは可能です。

例えば、
「間食をしたくなったら水を飲む」と
決めておき、それを実行するという方法です。

もちろん、それですべてが
うまくいくわけではないのですが、
何回か成功体験を重ねていくうちに、
「結構、できるかもしれない」という思いが
目覚めてくればしめたものです。

成功体験が可能性や小さな自信を生みだし、
それが「間食はしてはいけない」という思いを
「間食はしなくても大丈夫」という思いに
変えていってくれるのです。

そうなれば、ケーキやお菓子が出てきても、
「食べなくても大丈夫」という思いがあるので、
あまり食べたいという思いにもならず、
思いと感情の不一致が起こらずにすむわけです。

よく、5キロやせるといった目標を明確にするとか、
お気に入りの水着を
着ているイメージをしっかり持つといった、
やる気を高めるという方法も勧められています。

しかしこの方法は、
本気でそう思える程、イメージを強く持てれば
可能かもしれませんが、
実際にはなかなかそこまで本気になれず、
結局は食べたいという欲求に負けてしまうことが
しばしばです。

なぜならば、強い意志力を持ち続けるというのは
「食べたい」という感情と常に戦うことになり、
それだけエネルギーを消費するため、
いくら目標を定め、頑張るぞと思っても
なかなか難しいのです。

特に、仕事で疲れているときなどは、
意志力も低下するため、
つい少しくらいならいいかと思ってしまい、
間食をしてしまうことがしばしばです。

一度崩れると、もう止められません。
「もういいや」という思いが支配的になり、
すべてが元の木阿弥になってしまいます。

ですから、
よほど真剣になれる目標でもない限り、
意志力だけで感情をコントロールして、
間食をしないようにするというのは
難しいのです。

それよりも、様々な工夫を取り入れ、
小さな成功体験を重ねていくことで、
少しずつ「できる」という思いを
強くしていく方が、
ずっと成功率は高くなります。