ブログ:無意識と有害援助

先月はZoomでの開催も含め、
ホリスティックコミュニケーションの
体験セミナーを4回行いました。

これは今月末から始まる実践セミナーに先立ち、
ホリスティックコミュニケーションの
考え方とその実際についてのポイントを
1時間程度でお話するというものです。

話だけではなかなか伝わらない部分もあるので、
通常の体験セミナーでは、
デモンストレーションもさせてもらいます。
(Zoomセミナーではやりませんでした)

体験セミナーは、
10年以上にわたってさせてもらっていますが、
話をする内容の重点の置き方は、
年を追うごとに少しずつ変わってきました。

当初は、悩みや問題を解決するための
考え方や具体的な質問の仕方を中心に
話をしていました。

例えば、問題の原因を探すのではなく、
「できていること」「うまくやれそうなこと」に
焦点を当て、それを引きだすためには
こんな質問をしたらいいといった具合です。

しかし途中から、
有害援助の話も入れるようになりました。

これは、よかれと思ってクライエントに言う
アドバイスや励ましの言葉が、
いかに相手を傷つけ、落ち込ませているのかに
気づいてもらいたいとう思いからです。

典型的な有害援助の言葉は
「クヨクヨしていても仕方ないですよ」
「もっと自分に自信を持ちましょう」
「過去と他人は変えられません、
先ずは自分が変わらなくては」

これらは、言っていることは正論ですし、
一見よさそうにも思えますが、
実際には全く役立たないどころか、
かえって相手を傷つける言葉なのです。

なぜならば、
クヨクヨするのをやめたり、
自分に自信をもったりすることが
できないから悩んでいるのに、
それを変えなさいと言われても無理なのです。

また「まずは自分が変わらなくては」というのも、
正にその通りなのですが、
それができたら苦労はいりません。

本人からすれば、
「変わらないといけないのはあなたですよ」と
言われているような気になり、
私がいけないの!?と、不快になり、
中には落ち込んでしまう人もいます。

セラピストは相手の思いに
寄り添うことが大切だと言いながらも、
よかれと思ってしている言葉かけで、
知らず知らずのうちに相手を傷つけていることに
気づいていないのです。

だからこそ、先ずはそのことに
気づいてもらいたいという思いから
有害援助の話をするようになりました。

この話をすると多くの人が、
思い当たる節があると言います。

いかに多くの人が、
知らないうちに有害援助を
してしまっているのかが
よくわかります。

それから、最近よく
話をするようになったテーマのひとつに
「無意識」があります。

このブログでも、
無意識の話は何度も書いていますが、
ホリスティックコミュニケーションは
無意識に働きかけ、無意識の力を活用する
コミュニケーションだと言っても
過言ではありません。

通常の会話は意識に働きかけることが多いのですが、
それだとクライエントは頭で考えてしまうのです。

悩みや問題を抱えている人は
ネガティブ思考に陥っているため、
「うまくやれていること」に
目を向けてもらおうと思っても
なかなかうまくいきません。

当然、そのことを指摘しても、
頭ではわかっていても実際にはできません。

だからこそ無意識に働きかける質問が
重要になってくるのです。

無意識に働きかけるとは、
クライエントが知らず知らずのうちに
「うまくやれていること」など、
肯定的な面に目を向けてしまうような質問を
するということです。

例えば、
プレゼンがうまくできないと悩んでいる人に対して
「プレゼンがうまくできたことはありましたか」
と、たずねてしまうと、
うまくできたことなんて
あるわけないという思いが邪魔をして
さほど考えることもなく、
「そんなことはありません」と
答えられてしまいます。

そうではなく、
「今までで、どのようなときには、
うまくプレゼンができたときがありましたか」
と、たずねるのです。

これは「前提を含んだ質問」と言い、
すでにプレゼンができたことがあるという前提で
質問をするというテクニックです。

前提を含んだ質問をすると、
プレゼンをうまくできたことが
あるか否かという事実を考える余地を与えず、
いきなり無意識の中にある
「うまくできた体験」に
目を向けざるを得なくなるため、
意識レベルでの抵抗や反発を
うまくすり抜けることができるのです。

つまり前提を含んだ質問は、
意識に邪魔されることなく、
無意識に直接アクセスできる
ひとつの有用な質問の仕方なのです。

このように、
無意識に直接働きかけるアプローチに
重きを置いているのが
ホリスティックコミュニケーションの
大きな特徴のひとつです。

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